審査対象の11人が
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2018年10月10日決定30年以上前の“松橋事件”
再審認めるか

どんな
裁判か

  • 30年以上前の殺人事件で有罪判決が確定した男性が再審(裁判のやり直し)を求めた
  • 4人の裁判官全員一致で裁判のやり直し認める
  • その後、やり直しの裁判で男性の無罪が確定

1985年、当時の熊本県松橋町、いまの宇城市の住宅で59歳の男性が刃物で刺され殺害されたいわゆる「松橋事件」。熊本市の宮田浩喜さん(最高裁決定当時85歳)は殺人などの罪で懲役13年の刑が確定して服役した後、無実を訴えて再審を求めました。
弁護団は、凶器とされた小刀の形と遺体の傷が合わないとする専門家の鑑定などを新たな証拠として提出し、福岡高裁は2017年11月、捜査段階での本人の自白は客観的な事実と矛盾して信用できないとして、熊本地裁に続いて再審を認める決定を出しました。

これに対して検察が特別抗告しましたが、最高裁第2小法廷は、退ける決定を出し再審を認めました。その後、熊本地裁でやり直しの裁判が始まり、事件から30年以上がたった2019年3月、無罪判決が言い渡されて確定しました。

いわゆる「松橋事件」では、遺体が見つかったおよそ2週間後に、被害者の男性と将棋仲間だった当時51歳の宮田さんが逮捕されました。警察の取り調べに対し、自白したとされましたが、5回目の裁判で、「うその自白をさせられた」と無罪を主張。物的証拠がほとんどなく、自白の信用性が争われましたが、裁判所は、供述内容に不自然な点はなく信用できるとして、懲役13年を言い渡し、1990年に刑が確定。
宮田さんは判決後も無実を訴え続け、弁護団が宮田さんの服役中に再審請求に向けて事件の証拠を調べたところ、自白の供述と矛盾する点が出てきたのです。弁護団は、有罪の大きな根拠とされた自白に信用性がなくなったとして、2012年、裁判のやり直しを求めました。その結果、熊本地裁は、「自白の重要な部分に客観的事実との矛盾がある」として再審を認める決定を出し、福岡高裁も裁判のやり直しを認める決定を出しました。最高裁で裁判のやり直しが認められるまで、33年という長い年月がかかりました。
やり直しの裁判で無罪が確定したあと、宮田さんは2020年10月に病気で亡くなりました。87歳でした。

審査対象の裁判官たちの判断は

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