宮殿「松の間」とは
「松の間」は宮殿の中央に位置し、重要な儀式が行われる「正殿(せいでん)」の中でも最も格式が高い部屋です。
3つの部屋が並ぶ「正殿」の中央にあり、広さはおよそ370平方メートル、天井の高さはおよそ8メートルあります。
宮殿の部屋の中で唯一床が板張りになっていて、厚さ5センチ近いケヤキの木材87枚が敷き詰められています。また、四方の壁には、若松の模様があしらわれた織物が張られています。
「松の間」では、内閣総理大臣と最高裁判所長官の親任式や、新たに着任した外国の大使の信任状捧呈式、それに「大綬章(だいじゅしょう)」や「文化勲章」の親授式などが行われているほか、新春恒例の「歌会始(うたかいはじめ)」の会場にもなっています。
また、「松の間」の両脇には、儀式の様子を見ることができる小部屋が目立たないように設けられていて、行事の撮影や取材はこの小部屋の窓越しに行われます。
皇位継承に伴う一連の儀式では、令和元(2019)年4月30日に行われた上皇さまの退位に伴う「退位礼正殿(たいいれいせいでん)の儀」のほか、5月1日に行われた天皇陛下の即位に伴う「剣璽等承継(けんじとうしょうけい)の儀」と「即位後朝見(ちょうけん)の儀」が「松の間」で行われました。
10月22日に行われた「即位礼正殿(そくいれいせいでん)の儀」では新天皇がのぼる「高御座(たかみくら)」と、新皇后がのぼる「御帳台(みちょうだい)」が「松の間」に設けられ、天皇陛下が「高御座」から即位を内外に宣言されました。