退位後のお暮らしは

上皇ご夫妻は上皇さまの退位のあと、原則すべての公務を天皇皇后両陛下に引き継ぎ、皇居にあるお住まいで仮住まい先への引っ越しに向けた準備などにあたられています。

代替わり後、皇居外への初めての外出(東京 港区 令和元(2019)年5月)

上皇さまの退位後、令和元(2019)年5月初めには天皇陛下の即位に伴う儀式や一般参賀が行われましたが、上皇ご夫妻はテレビを通じて見守り、両陛下が儀式や行事を無事に終えられたことを喜ばれていたということです。

6月上旬には上皇さまの在位中、時間的な余裕がなく積み残しとなっていた退位に関する儀式に臨まれました。

大正天皇陵を参拝された上皇さま(東京 八王子 令和元(2019)年6月)

東京 八王子市にある大正天皇陵に参拝したのに続き、上皇さまの退位後初めての地方訪問で、京都市にある孝明天皇陵と明治天皇陵に参拝し、一連の儀式をすべて終えられました。

JR京都駅に到着された上皇ご夫妻(令和元(2019)年6月)

上皇ご夫妻は皇位継承のあとも日課としている早朝の散策を続けるなど、規則正しい生活を送られています。上皇さまは週に3回程度、皇居にある生物学の研究所に通い、これまで通り魚類に関する研究も続けられています。

魚類図鑑 上皇さまが執筆されたページ

そうした中で上皇ご夫妻は天皇ご一家とのお住まいの入れ代わりに向けて、皇居にある吹上仙洞御所(ふきあげせんとうごしょ)から東京 港区の仮住まい先に移る準備を進められています。

宮内庁によりますと、ご夫妻は1日も早く両陛下が皇居に移られるのが大事だと考えていて、昼夜に関係なく時間をかけて荷物の整理や片づけに取り組まれているということです。

栃木 那須御用邸内を散策される上皇ご夫妻(令和元(2019)年7月)

こうした合間にお二人で過ごす穏やかなひとときも持たれています。7月には、栃木県の那須御用邸で静養し、お二人で腕を組んで散策などを楽しんだほか、8月の長野県軽井沢町での静養の際にはお二人が出会った思い出のテニスコートに足を運ばれました。

鳥類図鑑鑑賞 右手前は黒田清子さん(東京 豊島区 令和元(2019)年10月)

また10月11日には長女の黒田清子さんが企画して東京都内で開かれた鳥類の図鑑の特別展を訪れ、黒田さんの説明を受けながら展示を見て回られました。

一方で、皇位継承後、上皇后さまが相次いで手術を受けられたり、上皇さまが一時的に体調を崩されたりする出来事もありました。

上皇后さまは6月に2回に分けて両目の白内障の手術を受けたほか、9月には東大病院で早期の乳がんの摘出手術を受けられました。

退院される上皇后さま(東京 文京区 令和元(2019)年9月)

宮内庁によりますと、術後の経過は順調で、病理診断の結果、がんの再発のリスクは非常に低いと判断され、その後は薬の服用によるホルモン療法を受けられています。

また上皇さまも7月、一時的に強い脳貧血の症状が出て翌日の日程の一部を延期しましたが、体調はその後回復されました。

宮内庁の幹部の1人は、「お引っ越しで気がせいていらっしゃると思うが、ご高齢でもあり、まずは体を大事にしながら過ごしていただきたい」としています。

上皇ご夫妻は台風19号による大雨災害に大変心を痛められていて、10月20日の上皇后さまの85歳の誕生日に予定されていた祝賀行事はすべて取りやめられました。

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