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大嘗祭
「大嘗祭(だいじょうさい)」は毎年11月に国と国民の安寧や五穀豊穣を祈って行われる宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)「新嘗祭(にいなめさい)」を即位後、初めて大規模に行うもので、皇位継承に伴う一世に一度の重要な儀式とされています。
7世紀後半の天武天皇の時代から歴代の天皇が即位後に「大嘗祭」を行うことが皇室の伝統となってきました。
「大嘗祭」に関する一連の儀式は令和元(2019)年5月8日、皇居の「宮中三殿(きゅうちゅうさんでん)」で、天皇陛下が即位の礼と大嘗祭の中心的な儀式の期日を皇室の祖先や神々に伝えられる儀式から始まりました。
天皇陛下が即位後に宮中祭祀に臨むのはこれが初めてで、平安時代から儀式での天皇の装束とされる「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」に初めて身を包まれました。皇后さまも古式ゆかしい装束に身を包み、「おすべらかし」と呼ばれる髪型で儀式に臨まれました。
5月13日には、大嘗祭で使う米を収穫する2つの地方を決める「斎田点定(さいでんてんてい)の儀」が、宮中三殿にある国内の神々をまつる神殿で行われました。儀式では、亀の甲羅をあぶってひびの入り具合で物事を定める、「亀卜(きぼく)」と呼ばれる宮中に伝わる占いが行われ、「大嘗祭」で使う米を収穫する東の「悠紀(ゆき)」地方に栃木県が、西の「主基(すき)」地方に京都府が選ばれました。
その後、米を収穫する田んぼ「斎田」が決まりました。栃木県は「とちぎの星」という品種が作付けされた高根沢町の田んぼに、京都府は「キヌヒカリ」という品種が作付けされた南丹市の田んぼになりました。
そして9月27日、栃木、京都それぞれの田んぼで、米を収穫する儀式、「斎田抜穂(さいでんぬきほのぎ)の儀」が行われました。
収穫された精米と玄米は宮内庁が買い取り、その後、皇居に運ばれています。
「大嘗祭」の中心的な儀式として、
▽11月14日~15日 「大嘗宮(だいじょうきゅう)の儀」
▽11月16日と18日に「大饗(だいきょう)の儀」
が行われます。
このうち「大嘗宮の儀」は皇居・東御苑のおよそ90メートル四方の敷地に特別に設営された「大嘗宮」という建物で、夕方から翌日の夜明け前まで行われます。
「大嘗宮」は7月下旬から3か月余りかけて皇居・東御苑に設営されました。
儀式では天皇陛下が斎田で収穫された米などを天照大神(あまてらすおおみかみ)とすべての神々に供えたうえで、みずからも食べ、国と国民の安寧や五穀豊穣などを祈られます。
大嘗宮には愛知県でつくられた「繒服(にぎたえ)」という絹の反物と、徳島県でつくられた「麁服(あらたえ)」という麻の反物が供えられるほか、「庭積(にわづみ)の机代物(つくえしろもの)」と呼ばれる全国の都道府県から寄せられた特産物も置かれます。
また「大饗の儀」は、天皇陛下が「大嘗宮の儀」に参列した人たちを招いて催される饗宴で、皇居・宮殿で2回行われます。
この中心的な2つの儀式には皇族方のほか三権の長や閣僚など700人近くが参列する予定です。
その後も、「天照大神」をまつる伊勢神宮に参拝する儀式などが行われ、12月4日に宮中三殿に参拝されて天皇陛下の即位に伴う一連の儀式がすべて終わります。
大嘗祭について、政府は前回の平成の大嘗祭にあたっての見解を踏襲し、儀式の宗教性を踏まえ国事行為ではなく皇室の行事として行う一方で、国にとっての重要な儀式でもあるとして、費用は皇室関連の公的な予算にあたる「宮廷費」から支出しています。
これについて秋篠宮さまは去年11月の記者会見で、「宗教色が強いもので、国費で賄うことが適当かどうか」などと話し、天皇の生活費にあたる予算の「内廷費」から支出されるべきだという政府の決定とは異なる意見を述べられています。