2023年3月22日
ユン・ソンニョル大統領 韓国 北朝鮮 経済 朝鮮半島 注目の人物

【詳しく】韓国ユン大統領「日本は数十回 反省と謝罪を表明」

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は3月21日の閣議で日本について言及し、岸田総理大臣との首脳会談をきっかけに関係改善を着実に進めたい意向を重ねて強調しました。
この日の発言は約20分間。近年の韓国の大統領が会議でこれだけの時間を割いて日本との関係改善について述べるのは異例です。
韓国では未来志向だと評価する意見が出る一方、日本におもねるものだと激しい反発も起きています。
発言の注目点を詳しくお伝えします。

※以下、ユン大統領の発言抜粋

“これ以上は放置できない”

「もし、われわれが現在と過去を競わせたら、必ず未来を逃すことになるだろう」

自由への強い熱望と不屈のリーダーシップで第2次世界大戦を勝利に導いたイギリスのウィンストン・チャーチル首相の言葉です。

過去は直視して記憶しなければなりませんが、過去に足を引っ張られてはいけません。これまで韓日関係は悪化の一途をたどってきました。両国政府間の対話が途絶え、韓日関係は破局の一歩手前で放置されてきました。

私は去年5月の大統領就任以来、存在自体、不透明になってしまった韓日関係の正常化の方策について悩んできました。まるで出口のない迷路の中に閉じ込められた気分でした。

しかし、手をこまねいてただ見ているわけにはいきませんでした。日増しに激しくなる米中競争、サプライチェーンの危機、北の核脅威の高度化など、韓国を取り巻く複合的な危機の中で韓日協力の必要性はさらに高まっているからです。

“反日感情の利用は大統領の責務を裏切る”

韓日関係は、片方がより多く得ればもう片方がそれだけ失うというゼロサムの関係ではありません。韓日関係は共に努力して共により多く得るウィンウィンの関係になることができるし、必ずそうならなければなりません。 

しかし、前政権は泥沼に陥った韓日関係をそのまま放置しました。その余波で両国国民と在日同胞が被害を受け、両国の安全保障と経済は深い対立に陥ってしまいました。

私も、目の前の政治的利益のための楽な道を選び過去最悪の韓日関係を放置する大統領になる可能性もありました。しかし、昨今の厳しい国際情勢を後回しにして、私までもが敵対的ナショナリズムと反日感情を刺激して国内政治に利用しようとするなら、大統領としての責務を裏切ることになると思いました。

“日本は数十回にわたり反省と謝罪を表明”

韓国社会には排他的民族主義と反日を叫びながら政治的な利益を得ようとする勢力が厳然と存在します。日本はすでに数十回にわたって我々に歴史問題について反省と謝罪を表明しています。今回の韓日首脳会談で、日本政府は1998年の「キム・デジュン(金大中)-小渕宣言」をはじめ歴史認識に関する歴代政権の立場を全体的に引き継ぐとの立場を明確にしました。

“まずは韓国が先に両国の障害物を取り除く”

これからは堂々と自信を持って日本と接しなければなりません。最高の技術と経済力を発揮し、デジタルの力量とソフトパワーを見せつけ、日本と協力して善意の競争を繰り広げなければなりません。

今や韓日両政府はそれぞれ、自身を振り返り、韓日関係の正常化と発展を妨げる障害物を自ら取り除いていく努力を傾けなければなりません。韓国が先に障害物を取り除いていけば、きっと日本も呼応してくるはずです。

“GSOMIAを完全正常化”

先週木曜日、私が日本に向けて出発する2時間半前に北がICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射しました。私は北の核・ミサイルに関する韓日間の完璧な情報共有を急ぐべきだと判断し、韓日首脳会談で前提条件なしに先制的にGSOMIAを完全正常化することを宣言しました。

2019年に韓国がとったGSOMIA終了宣言とその猶予による制度的不確実性を取り除くことで、韓米日・韓日間の軍事情報の協力強化という足場を築きました。

“不幸な過去を乗り越える努力は初めてではない”

両国間の不幸な過去の痛みを乗り越え、日本と新たに目指す点を導き出そうという努力は今回が初めてではありません。

1965年、パク・チョンヒ(朴正煕)大統領は韓日間共通の利益・安全・繁栄を模索する新しい時代に入ったとして、日本との国交正常化を進めました。

当時、屈辱的で売国的な外交だという激しい反対世論が沸き起こりましたが、パク大統領は被害意識と劣等感にとらわれて日本なら無条件に怖がることがまさに屈辱的な姿勢だと指摘しました。そして国交正常化がどのような結果に帰結するかは我々の姿勢と覚悟にかかっているとし、最終的に国交正常化を果たしました。

その後、浮き沈みを繰り返していた韓日関係の新たな地平を開いたのは1998年、キム・デジュン大統領でした。

キム大統領は小渕首相との首脳会談を通じて「21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ」を宣言しました。キム大統領は日本での演説で、歴史的に韓国と日本の関係が不幸だったのは日本が韓国を侵略した7年間と植民地支配の35年間だったとして、50年足らずの不幸な歴史のために1500年にわたる交流と協力の歴史全体を無意味にするのは実に愚かなことだと述べました。

またキム大統領は1965年の国交正常化以降、飛躍的に拡大した両国間の交流と協力を通じて必要不可欠なパートナーに発展した韓日関係を未来志向的な関係にしていかなければならない時だとし、両国首脳の宣言が政府間の歴史認識問題を決着させ、平和と繁栄に向けた共同の未来を切り開くための礎となるとしました。

“歴史の新しい転換点”

首脳会談では北東アジア域内の対話と協力の活性化に向けて、韓中日3か国の首脳会議の再稼働に向けて共に努力することにしました。

今後も韓日両首脳は形式にこだわらず、必要なら随時会う「シャトル外交」を通じて積極的にコミュニケーションし協力していきます。今回の訪問を通じた関係改善努力が結実するよう、各省庁は協力体系の構築とともに、後続措置に万全を期すよう重ねてお願いします。

今、私たちは歴史の新しい転換点に立っています。私は賢明な国民を信じています。韓日関係の正常化は結局、韓国国民に新たな自負心を呼び起こし、国民と企業に大きな恩恵で報いるでしょう。そして何よりも、未来の世代にとって大きな希望と機会になるのは明らかです。            

国際ニュース

国際ニュースランキング

    特集一覧へ戻る
    トップページへ戻る