この悔しい経験をしたから強くなれたと言える未来にしていきたい

高田真希

バスケットボール #苦しいとき

銀メダルを獲得した東京オリンピックで、チームの中心だった高田真希は、そのキャプテンシーを買われ、次のパリオリンピックを目指すワールドカップでも日本代表のキャプテンに指名された。

大会に向け、高田は次のように語っていた。

「アメリカに勝って世界一になるための練習を重ねてきた。目標に向けて何をしないといけないかがより明確になり、オリンピックの時とはバスケット自体が違う」

セットプレーからスリーポイントシュートを量産する日本の戦略は、東京オリンピックの決勝の舞台ではアメリカに研究され、金メダルには届かなかった。
その経験から、日本はこれまでのセットプレーを捨て、相手の守りに応じて選手がみずから判断してオフェンスを選択していく新しい戦略を打ち出した。

「日本がまた何か面白いことをやっているなと思ってもらいたい」

高田は新たな日本のバスケットに自信をのぞかせていた。

そして迎えたワールドカップ。
オリンピック銀メダルという誇りを胸にオーストラリアに乗り込んだ日本は、世界の高い壁にあえなく跳ね返された。
1勝4敗でグループリーグ敗退。
オリンピックで躍動したチームの姿は見る影もなく、世界一のアメリカと対戦する前に大会から姿を消す結果となった。


日本の新たな戦略は機能せず、最大の武器であるスリーポイントシュートの成功率は大会を通して低調なままだった。
チームで最も長い時間出場し、最多得点をマークするなどひとり気を吐いた高田の目には涙が浮かんでいた。

「この悔しい経験をしたから強くなれたと言える未来にしていきたい」

快進撃で注目された東京オリンピックから1年。
期待が高まる中で打ちのめされたワールドカップの経験をどう生かしていくかはパリオリンピックまでの残り2年にかかっている。

「自分たちはこのバスケットを信じるしかない。時間はかかるが、キャプテンとして、もっと細かいところを突き詰めていかないといけない」

届かなかった金メダルを目指して、日本代表の不動のキャプテンは信じた道を進む。

バスケットボール #苦しいとき