ジャンプが好きだという気持ちを軸に飛び続けたい

高梨沙羅

スキージャンプ  #やっぱ好きだなぁ

北京オリンピック、スキージャンプ混合団体。

まさかのスーツの規定違反で失格となって5か月。


現役続行を決めた高梨沙羅は、子どもの頃によく通った北海道士別市のジャンプ台で子どもたちが飛ぶ姿を見つめていた。
みずからの名前がついた大会で受付でビブスを渡したり、 子どもたちに声をかけたり、裏方に徹したことで改めて感じたことがあった。

「暑い中でもすごく頑張って飛んでいる子もいれば、すごく悔しそうにしている子もいて、小さい頃、私もあんな風だったな、懐かしいなと思いながら見ていた。やっぱり飛ぶことが好きじゃないと飛べないものなんだなと、再度、思った」


昨シーズン、北京大会後のワールドカップで2勝を挙げた高梨だったが、競技を続けるか悩み続けていた。

ジャンプからも 距離を置いていた。

「すごく苦しい時期だった。自分で考えたイメージをジャンプに体現できないので、すごく頭がパンクしそうになる感じで、一番辛かった」

現役を続けるかどうか方向性が定まらない中、自分の気持ちを確かめるために合宿をしたという。久しぶりに飛んだジャンプは、高梨にとって完成形にはほど遠いものだった。それでも自分の飛ぶ姿で驚いたり、喜んだりしてくれる人たちの姿に自然と元気をもらえるようになっていた。
ジャンプを作り上げる過程でも新しい感覚を感じていた。

これまでは、あくまで“作業のような感じだった”が、今はさまざまなことを試しながらアイデアを探っていく。

そこにも“コツコツ積み上げていく楽しさを感じた”という。

「純粋にトレーニングをしながら飛びながら、私はジャンプが好きなんだなということを再認識した時間だった。やはり自分の気持ち次第で体の動き方も変わってくるし、そこが今までの自分にとって一番、足りないところだったのかなと思っている。ジャンプが好きだという気持ちをしっかり軸に持って飛び続けたい」

先のことはまったくわからない。
それでも高梨は、大好きなスキージャンプを自分のため、周りの人たちのために飛び続ける。

スキージャンプ  #やっぱ好きだなぁ