今までやってきてこんなに悔しいことはない

久保建英

サッカー

東京オリンピックで4位に終わったサッカー男子の日本代表。3位決定戦のメキシコ戦で試合終了のホイッスルが鳴ると久保建英はうつ伏せのまま倒れ込んだ。
そして人目をはばからず、声を上げて泣いた。

「今までサッカーやってきてこんなに悔しいことはない」

20歳の久保が攻撃の中心として引っ張ったチームはヨーロッパの主要リーグや年齢制限のない代表で活躍する選手も多く、日本史上最強という呼び声も高かった。

しかし、10代でスペイン1部リーグに渡った久保は激しい競争に身を置いてきたからこそ、日本が強豪国に近づいているという実感はあまりなかったという。それだけに「世界を驚かせる」と東京オリンピックにかけて本気で金メダルを目指した。
そして初戦から3試合連続ゴールを挙げて予選リーグ3連勝に大きく貢献した。

中2日で6試合を戦う過酷な日程だったが、このうちの5試合でフル出場。延長戦で120分を戦い抜いた試合もあった。
しかし、初めての決勝進出がかかった準決勝のスペイン戦で敗れると、3位決定戦のメキシコ戦でも及ばず、53年ぶりの銅メダルには届かなかった。いずれもオリンピックで金メダル獲得経験のあるサッカー強豪国に対し、久保はゴールをあげてチームを救うことはできず、メダルへの夢はついえた。

「すごくいいチームだったし、今までで一番強いと言われてきて、その分期待もあって自分たちも自信を持ってやることができた。でも勝てなかった。もう終わっちゃった。最後笑って終われなかったのが一番」

2012年のロンドン大会に続いて、準決勝に進みながら今回も勝負どころで2連敗し、メダルには届かなかった。

「テレビや新聞であと一歩足りないと言われ続けて、このままだとずっと言われていくと思う。自分がサッカーをやめるときまでに最後の試合に勝って、きょう負けてよかったと言えたらいいと思う」

日本代表として、国を背負う戦いはすぐにやってくる。9月からワールドカップカタール大会のアジア最終予選が始まる。
流した涙は絶対に無駄にしない。
日本サッカーの歴史を塗り替えるため久保は立ち止まらずに前を向く。

「最終予選で絶対にポジションをつかんで本大会に出る。こういった試合に出場する証を得てもう1回リベンジしたい」

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