商品やサービスなど利用者の意見を集めて改善につなげるマーケティング。AIを活用することで、より精度の高い声を集めようという取り組みが進んでいます。
不満の声にAIで“優先順位” 商品開発に生かす例も
身の回りの商品やサービスへの不満の声を買い取るサイト。商品名とともに不満の声を送ると、ポイントをもらうことができて金券に換えられます。これまでに累計4000万件以上の声が寄せられたといいます。
このサイトを運営する東京都内のリサーチ会社は、膨大な数の声をマーケティングにつなげるためAIを活用しています。
例えば、コーヒー一般についての不満の声。これをグラフで視覚化し、AIがさまざまな意見を優先度の高い順に整理します。グラフの上にいくほどAIが「改善が急がれる」と判断した声が表示されています。
取材したケースでAIが重視していたのは、“商品の表示より甘みが強いと感じた”という意見でした。
一方、対応の必要性が低いと判断された意見はグラフの下のほうに表示されています。
サイトを運営するリサーチ会社「インサイトテック」 伊藤友博 社長
「AIを用いることによって“意見の量”と“意見の質”の両面から優先的に対処すべき不満をあぶり出す。そういう手法をとっている」
ある飲料メーカーは、この分析データをもとに新商品を開発しました。多く寄せられた意見の中からAIが「課題」として選んだのが、家で使用済みの飲み物のペットボトルがかさばってしまうことでした。
そこでこのメーカーは、水で溶かす顆粒型のお茶を新たに開発しました。すると家庭のごみを減らせると評判になり、定番商品になりました。
飲料メーカー 三橋祐太郎さん
「今回の不満の情報、調査手法がなければ(商品化に)思い至らなかった」
賛成・反対 AI交え議論
AIを活用することで、議論を活発にしようというサービスもあります。約1万人が利用するSNSのサイトでは、さまざまな議論のテーマが設定されています。
例えば、「登山者に対して入山料を取るべきか?」というテーマ。
このサイトでは、テーマに対して賛成・反対のお互いが妥協点を探るために、AIが議論に加わるのです。
奈良県田原本町では、このサイトを利用して「職員の服装のカジュアル化」について町民に議論を促しました。
AIを交えた議論を受け、節度を守って不快感を与えなければカジュアル化は問題ないという結論に至りました。
サイトを運営する会社「Polimill」 伊藤あやめさん
「(全国の)10%~20%の自治体に参加してもらうことを目標に、いろんなこと(地域課題)を知ってもらって何か考えるきっかけをつくれたらいい」
今は文章をつくり出す生成AIの技術も進化しています。マーケティングでAIが使われる場面は今後も増えてきそうです。
【2024年3月25日放送】
あわせて読みたい