スーパーで売れ残った弁当やレストランでの食べ残しなどの「食品ロス」は2021年度に523万トンありました。これに食品を加工する際に出る端材といった「食品廃棄物など」も含めると、その量は2402万トンに膨れ上がります。この食品廃棄物などを最後までおいしく使い切ろうと、企業が動き始めています。
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牛丼チェーンから出るタマネギの端材 どうする?
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牛丼の具材として欠かせないタマネギ。大手牛丼チェーンでは、東日本だけで1日10トンほどのタマネギが使われ、そのうち約500キロの端材が利用されずに廃棄されていました。
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大手牛丼チェーン 黒川眞行さん
「規格外であっても食べられるものなので、使えるようなものにしたいというのがあった」
高温の水蒸気で乾燥粉末に
こうしたむだを減らすため、埼玉県富士見市のスタートアップ企業は「過熱蒸煎機」という装置をつくり上げました。
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食品工場から出たタマネギの端材を細かく裁断したあと、この装置に入れます。装置の中で高温にした水蒸気をあてると、5秒~10秒で乾燥した粉末にできるといいます。
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装置を開発したスタートアップ企業の加納千裕社長は以前、食品メーカーに勤めていた時から廃棄物をどうにかしたいと感じていました。
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装置を開発したスタートアップ企業 加納千裕 社長
「熱をかけている時間が長いと栄養価が失われてしまったり、風味がとんでしまったりするが、瞬時に乾燥殺菌することで品質も保たれる」
大手牛丼チェーンは、この装置の正式導入を決定しました。タマネギの端材から作った粉末は、ベーカリーのチェーンなどで利用が始まっています。
捨てられていたオリーブの葉も…
農家の間でも、この装置を導入する動きが出てきています。香川県高松市でオリーブ農家を営む澳敬夫さんは、実を収穫したあと葉の部分は捨てていました。しかし、この装置を使って葉をお茶や菓子などに活用できないか検討を進めています。
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オリーブ園 澳敬夫 園主
「ふつうの乾燥、90度で1時間とかの乾燥だと、苦い。おいしくない。これ(装置)だったらすっきりした味が出た」
澳さんと装置を開発したスタートアップの加納社長は、取材した日、オリーブの葉のパウダーを使った菓子を試食しました。
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菓子を試作したチョコレート工場 八十川恭一さん
「粉末にオリーブ(の葉)がなることによって、幅がとても広がるので、すごく革新的なこと」
粉末を買い取り 販路開拓も
装置を開発したスタートアップは、取引先の農家が装置を導入しやすいようにビジネスモデルを工夫しています。農家が装置を購入したりレンタルしたりして作った粉末をすべて買い取り、販路の開拓まで行うのです。
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農家にとっては、売れ残って在庫を抱えるリスクがなくなり、新たな収入にもつながる仕組みです。
オリーブ園 澳 園主
「『作りさえすれば買ってやるよ』となると生産者がいっぱい増えてくると思う」
装置を開発したスタートアップ企業 加納 社長
「もとの原料より高付加価値な食材に変えることができる技術。“隠れフードロス”をかけ算的に減らしていく仕組みになっていくのではないか」
捨てられていたものに新たな価値を生む取り組み、今後の広がりが注目されます。
【2023年11月13日放送】
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