熱中症対策の最前線 現場で働く人を「暑さ」から守る!

多くの地域で猛暑日が続き、危険な暑さが予想されています。警備業や建設業など暑い中で作業を行う人たちを守るため、熱中症対策の技術やサービスが進化しています。

ウエアラブル端末の開発 建設会社や大学も共同で研究

「体調、大丈夫です!」。作業員の男性が腕を突き出した

高速道路の耐震工事が行われている愛媛県四国中央市の現場。炎天下での作業が続くこともあり、腕時計型の端末が導入されました。腕の脈拍から体の中の体温を測ることで体温の上昇を予測し、色と振動で危険を知らせます

体温が通常の状態なら端末は「緑」、体温が上がり始めると「黄色」になり、危険な状態まで上昇すると「赤」に変化します。

端末の色を見ながら、みんなで休憩

大林組 浦山川橋耐震工事事務所 田上優介 所長
「みんなが体調のことを意識するきっかけになっているんじゃないか。全体的な管理が少しでも達成できるメリットがある」

この端末を開発したのは、ウエアラブル製品を製造販売する会社「ミツフジ」です。大学や、大手建設会社「前田建設工業」と共同で2年にわたる研究を進め、体温の上昇変化を脈拍からとらえるアルゴリズムを開発しました。

これまでは企業向けに販売していましたが、6月からは個人向けに、熱中症になった場合の入院補償がついた商品として販売を始めました。

ウエアラブル製品を製造販売する会社 三寺歩 社長
「例えばクラブ活動で使う、農作業で使う、もしくは会社の現場で使う。あらゆる利用シーンで熱中症の対策となるような製品にしたい」

塗料で防ぐ室内の熱中症

工場の窓際で室温を測ると…「45度」!

室内での熱中症対策も進んでいます。静岡県湖西市にある自動車部品メーカー「ベルソニカ」の工場を取材すると、窓からの日差しで窓際の温度が45度に達していました。工場の担当者によると、これまで「ちょっと気分を悪くするとか、そういった作業者の方も出てしまっていた」といいます。

そこで対策として取り入れたのが、塗料による遮熱です。浜松にある建設会社「丸源竹内組」が、塗料とその塗り方を5年かけて独自に開発しました。

窓の遮熱を手がける建設会社 竹内隆介 社長
「お客様が『毎年、毎年、暑くてたまらない』と。『熱中症で倒れたら困るから何とかしてほしい』と。じゃあ、ないものは自分で作ると言って、作ったのがきっかけ」

この塗料のいちばんの特徴は、室内が暗くならないことです。光を取り込みながら熱だけを抑えることができるというのです。

塗料を塗ったあと窓際の温度を測ると、35度と塗る前に比べて10度ほど下がっていました。

導入した工場 野末秀明さん
「体感として非常に温度が下がってきているので、従業員からも喜ばれている」

職場での熱中症の発生件数(2022年、東京労働局管内)を業種別で見てみると、最も多いのが警備業で全体の24%を占め、次いで建設業が18%でした。屋内作業でも熱中症は発生しています。特に梅雨明け直後に増える傾向があるということで、企業には計画的な対策が求められています。

【2023年7月18日放送】
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