私たちが体を動かそうとして筋肉を収縮させると、筋肉から微弱な電気信号「筋電」が発生します。その信号を捉えて機械の動きに変換することで、身体にまひのある人のリハビリや、障がいのある人の生活に役立てようという技術開発が進められています。
指がまひ リハビリを支えるロボット
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福島県会津若松市の竹田綜合病院では、脳卒中などで指がまひして動かない患者のリハビリテーションに、ロボットが試験的に導入されています。
私たちが手の指を動かすときには、脳から出た指令が神経を通じて腕の筋肉に伝わります。
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指令を受けた腕の筋肉が収縮することで指が動きますが、その際に腕から微弱な電気信号が発生します。その信号をセンサーで捉え、AIが解析してロボットの動きに変換すると、動かそうとする指の動きと同じ動きをロボットがするという仕組みです。
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まひした指をどう動かしたいのか、ロボットが腕の筋肉の信号から読み取って手助けします。これを繰り返し行うことで、効果的なリハビリにつなげようというのです。
当初はほとんどものを握ることができなかったという患者さんは、ロボットを使って約3か月リハビリしたところ、ロボットなしでも一部のものを握ることができるまでに回復しました。
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総合病院 リハビリテーション部 作業療法士 江口未優さん
「(患者)ご本人の筋肉の電気信号をしっかりと分析して、それをアシストしてくれるので、(患者が)自分の手を動かすという感覚をつかみやすいところがいいところ」
開発した東京のベンチャー企業「メルティンMMI」には2022年9月の発売以降、全国の病院から問い合わせが来ているということです。
ベンチャー企業 粕谷昌宏 CEO
「今は手の部分だけだが、最終的には足やそのほかの部分にも展開して、全身どこでもという形でビジネス展開していくというのが最終的なビジョン」
こめかみの筋肉の電気信号で車いすを操る
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奈良市の「システムデザイン・ラボ」は、頭にかぶった器具でこめかみの筋肉が出す微弱な信号を読み取って、車いすを操る技術を開発しました。
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この車いすは「筋電位電動車いす」といい、利用者が両方の奥歯をかみしめると前進。右の奥歯をかみしめれば右に曲がり、左をかみしめれば左に曲がります。また、かむのをやめると停止します。
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脳性まひなどで手足がほとんど動かせないという構井遼さん(21)に使ってもらいながら、約4年間改良を重ねました。この男性は今では、車いすを使ってスポーツを楽しむまでに活動範囲が広がったといいます。
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技術を開発した 杉本義己 代表
「僕たちは(車いすを使う男性が)ちょっと動けるようになると思っていたけれど、やっぱり自分で動けるということに関して、僕らが思っている何倍もの欲望がある。喜んでもらえたら、こちらもまた次の意欲がわく」
今後は、さまざまなメーカーの車いすを動かせるよう改良するなどして製品化したいとしています。
こうした技術は義手などにも使われているということで、今後さらなる応用が進みそうです。
【2023年2月13日放送】
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