家電もリサイクル 待ったなし?! 最前線の開発現場を取材

環境意識が高まる中、大手電機メーカーが再生素材の活用やリサイクル技術の向上に力を入れています。

ウォーターサーバーのボトルを活用したスマホ 入社3年目の若手が開発

大手電機メーカーのシャープが開発したスマートフォンは、本体の35%が再生プラスチックでできています。

開発の中心となったのは入社3年目の福永萌々香さんです。入社後すぐに新製品の開発を任された福永さんは、再生プラスチックの活用を提案しました。

シャープ 通信事業部 福永萌々香さん
「(同世代の)若年層は自分たちが生きていくこれからの時代を気にしているので、環境配慮はなくてはならない。必須かなと思う」

しかし初めての試みだったため、素材をどう調達するかなど課題が山積。目をつけたのが、入手しやすいウォーターサーバーのボトルでした。

金属を使ったものと比べて強度が落ちるため、試験を重ね設計を改善することで強度を高めました。

福永さん
「環境配慮とひと言で言っても可能性がたくさんある。もっといろんな素材の可能性を見てみたいと考えている」

冷蔵庫のリサイクル率アップへ ガラスドアを分解する新技術

大型家電を廃棄する際に、いかにリサイクル率を高めるかも課題です。

ここ数年各メーカーで増えているのが、ドアの表面にガラスを使った冷蔵庫です。家電製品にデザイン性が求められる中、急速に広がっています。

2021年度に国内で廃棄された冷蔵庫は350万台余りで、ガラスドアの比率は現在5%ほどですが、2030年には20%を超えると見込まれています。

しかし、ガラスドアのリサイクルには課題があります。
家電製品のリサイクルを手がける「関東エコリサイクル」の市本和久社長によると、冷蔵庫から取り外したガラスの扉は「手での分解が難しいので、今までは産廃として埋め立て処理となっていた」といいます。

このため大手電機メーカーの日立では、4年かけて新たなリサイクル技術を開発しました。ガラスと密着している断熱材を自動で切断したうえで、押し出して分離します。

<分解された冷蔵庫のガラスドア>

ガラスは砕いて再びガラスの原料に。そしてプラスチックはほかの家電に、断熱材は固形燃料として再利用できるようになりました。

このメーカーは今後、商品開発の段階からリサイクルを考えた設計を強化する考えです。

日立グローバルライフソリューションズ 伊藤芳子 常務取締役
「将来的にリサイクルが可能な分離しやすい設計にしておく。資源循環型の事業モデルを目指している」

リサイクルの課題はメーカー各社が直面しています。冷蔵庫のガラスドアを分解する技術を開発したメーカーでは、廃棄された他社の冷蔵庫も受け入れてリサイクルを行っているということです。
(経済部 記者 早川沙希)
【2022年7月21日放送】