フランチャイズに個性を 販売する商品や営業時間もオーナーの自由に

コンビニなどに代表されるフランチャイズチェーン。このビジネスモデルは、本部が、一定のお金を払った加盟店に「共通の店名やロゴなどの使用」を認め、どの店でも「同じサービスや商品を販売」し、「経営ノウハウを提供」するというものです。

いま飲食業界では、フランチャイズの一般的な要件をあえて緩めることで、フランチャイズ店でありながら個性を打ち出そうという動きが広がっています。

店名はオーナーの自由

テイクアウトの海鮮丼を主力商品とするチェーン店。全国で約380のフランチャイズ店を展開しています。

東京・江東区にある店の名前は「丼丸」。一方、福島県郡山市にあるフランチャイズ店の名前は「丼マルシェ」。同じチェーンでも名前が違います。

このフランチャイズ店の本部は、海鮮丼さえ提供すれば、店の名前はオーナーの自由だとしています。

海鮮丼チェーン運営会社「ササフネ」 亀山政典社長
「自分で置き換えた名前で頑張っていく。それによっていろんなチャレンジ精神が出る」

海鮮丼は共通 ほかの商品は自由

この運営会社では、店名だけでなく販売する商品もオーナーの自由にしました。例えば福島のフランチャイズ店では2月から、海鮮丼に加えてコッペパンも売り始めました。

店のオーナー井上博さんは、近隣にコッペパンの専門店がなかったことに目をつけたのです。

ミルフィーユカツのコッペパンとネギトロ丼を買い求めた客は「1つのお店で2つの(種類の)商品が買えるのは助かる」と話しました。

この店はコロナ禍でのテイクアウト需要をつかみ、売り上げが20%増えました。

ほかのフランチャイズ店では、焼き鳥や、から揚げ、そばを販売するところもあり、売り上げが拡大しているといいます。

海鮮丼チェーン運営会社 亀山社長
「時代の変化はわれわれの想像する以上に速い。(経営を)自由にやって結果を出してもらえればいい」

ラーメンの味守れば 営業時間もデザインも自由

一方、神奈川県伊勢原市にあるラーメンのフランチャイズ店。麺やスープなどの食材を関西地方の本部から仕入れています。

本部では現在22あるフランチャイズ店に対し、ラーメンの味を守れば店名は自由とし、営業時間や店舗のデザインもオーナーに委ねました

ラーメンチェーン運営会社「全力フーズ」 髙橋博司 代表
「(営業時間などを)一括にするとフランチャイズ店のほうもかなり負担がかかると思うし、その店の特徴をいかに出すか、地域の方に愛されるかが、いちばん大事」

本部の店の営業時間は、多くが午前11時から深夜0時までで年中無休です。

一方、神奈川のフランチャイズ店は閉店を2時間早めて午後10時にしています。定休日も設けました。

飲食業界の人手不足が課題になる中、深夜労働をなくし休日も確保することで、従業員が働きやすい店舗を目指そうとしています。

フランチャイズ店のオーナー 生澤英介さん
「営業時間は任せていただけるということだったので、われわれも運営がしやすく、スタッフにも負荷をかけずにできる」

このビジネスモデルは、本店の知名度を生かせないことや、独自の店舗運営でお客を集められなければオーナーの自己責任になるといったリスクもあります。一方、オーナーの個性や力量によるところも大きく、やりがいにつながりそうです。
【2022年7月12日放送】