携帯ショップが大変身 来店者減少でカフェや野菜販売も

NTTドコモは2025年度までに販売店の数が3割ほど減る見通しを明らかにしました。店の数が減る分、サービスをどう充実させるのか。井伊基之社長に聞きました。

4年で700店減少の見通し

携帯ショップは携帯電話の普及とともに増え、NTTドコモでは現在2300店ほどに上っています。しかしコロナ禍で来店者数が減少したこともあって、会社は今後4年間で約700店が減るという新たな見通しを立てました。

井伊基之社長
「実は去年(2021年)から今年(22年)に向かって3割ぐらい来店客の数が減っている。われわれだけが『ショップに必ず来てください』という仕事のやり方を続けていたら取り残されてしまう」

カフェ、野菜、工芸品 多様化するショップ

客との接点をどう生み出していくのか。いま会社は既存の店舗の改革に乗り出しています。

東京・東久留米市にある携帯ショップを訪ねました。ここは21年に売り場の4分の1をカフェに改装しました。

カフェでは猫を描いたラテアートを楽しんだり、隣の店のパンを持ち込んで食べたりすることができます。

ショップを運営する代理店はこれまで取り扱うことができる商品が限られていましたが、会社がその制限を緩和しました。そこでこの店はカフェを新設しました。

携帯ショップ 横島真次店長
「来店者(の数)は減っている状況なので、ふだんドコモを利用していない方の来店を目的として(カフェを)設立した」

ほかにも、地元でとれた野菜や地域の工芸品を扱うショップも出てきました。

さらにモノを販売する以外にも、スマホ教室やマイナンバーカードの手続きといったサポート機能を強化。デジタル技術を生かし地域を支える拠点にしていく考えです。

井伊社長
「地域を巻き込みデジタルで置いてきぼりになる人をつくらないように、みんなで盛り上げていく。それをお手伝いする役割がいっぱいあると思っているので、それが責任」

店員のオンライン勤務を促進

また、最近増えているオンラインの手続きも、進化を目指しています。リアルな店舗で働く専門知識を持った店員をオンラインにシフトさせ、客がスマホなどから簡単に相談できるようにしようとしています。

将来的にはアバターを使った接客も導入したいということです。これなら店のスタッフも自宅から接客できるといいます。

井伊社長
「リモートで家から何でもできる時代に、お客様のリモートへの需要に今のうちに対応してスタッフの働き方も今のうちに変えていこうと」

ほかの大手携帯電話各社は携帯ショップについて、KDDIが「市場の状況を見ながら検討」、ソフトバンクが「今のところ積極的に減らす方針はない」としています。

コロナでオンライン化が進む中で、リアルな店の役割や接客のしかたを見直すことは、あらゆる業界に共通の課題となっています。

(経済部 記者 岡谷宏基)
【2022年6月23日放送】