新型コロナの影響を受ける飲食業界では、客足がなかなか戻らないという店も少なくありません。そうしたなか店の味を“完全再現”して、売り上げや店の知名度アップを手伝う新たなビジネスが登場しています。
夜は店に食べに来ない形が定着?
千葉県市原市にあるラーメン店「ちばから」。濃厚な豚骨しょうゆスープと、もっちりとしたコシのある麺が人気で、昼間に訪れると店の外には長い行列ができていました。
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コロナ前は閉店まで行列が絶えませんでしたが、今は夜になると客足が減り、売り上げは10%以上落ちているといいます。
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ラーメン店 長谷川利恵さん
「(客の生活)リズムがそうなっているのか分からないが、(夜は食べに)来ない形が定着しちゃっている」
レシピを工場に提供 ライセンス収入
そこでこのラーメン店は新たな試みを始めました。おかみの長谷川さんが訪ねたのは、東京のベンチャー企業「グルメイノベーション」が運営するラーメンの製造工場です。この企業が2月から始めた新しいサービスを活用して、売り上げ回復を図ろうとしています。
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このサービスでは、ベンチャー企業はラーメン店からレシピの提供を受け、工場で味を再現して大量生産します。それを冷凍して、38万人以上の会員を抱えるこの企業のラーメン専門の通販サイトで販売します。
ラーメン店にはライセンス料として売り上げの2~4%が支払われ、知名度のアップにもつながります。
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ラーメン店 長谷川さん
「私たちがやるとなると労力も人も必要になる。(工場で)作って販売してもらうのはすごくいいことだと思う」
近づけるのではなく「完全再現」をめざす
このベンチャー企業は、店の味に「近づける」のではなく「完全に再現することを目指したい」としています。そのため塩分濃度やとろみなどを数値化して、店側と納得いくまで試食を重ねます。
試作の麺を試食し「麺がおいしい」と話したラーメン店の長谷川さん。ところがスープは「全然濃い」、「まだ脂が溶けていない」と指摘しました。
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スープの脂が気になった長谷川さんは使っている素材を確認。すると、店で使っているものとは異なる部分の脂が含まれていることが分かりました。
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ベンチャー企業とラーメン店は6月の発売を目指し完成を急いでいます。まずは月に数千食を売るのが目標です。
ラーメン店 長谷川さん
「あとちょっと改良すればできると思う」
ベンチャー企業 井上琢磨 代表
「(将来的に)この場所だけで10万食ぐらいまでは生産能力を増やせる。ライセンス収入という形でラーメン屋さんの売り上げに貢献できないかなと」
この新ビジネスでは店がレシピを渡しますが、機密保持の契約を結び、レシピの中身は工場の限られた人しか見られないようにしているそうです。
個人店ではなかなか難しい全国への販路拡大につながるのか。現在ラーメン店4店がこのサービスを利用しているそうです。
【2022年5月16日放送】