オンライン就活 面接担当もつらいよ!?

大学生の就職活動が本格化していますが、いま主流になっているのはオンライン面接です。ただ「対面のようには伝わらない」と感じているのは、学生だけではなく企業の側も同じようです。そうした中、面接担当者の話の聞き方などを点数化するなどデータによって面接の質を改善する試みが始まっています。

話がしやすい面接か? AI解析で“脱・担当者任せ”

年間600人ほどの学生を採用している大手通信会社「ソフトバンク」。現在ほぼすべての面接をオンラインで行っていますが、面接担当の社員には戸惑いがあるといいます。

人事担当者

「オンラインは顔が見えているとはいえ、空気感とかは共有できない。いま何を考えているのか、どう本音を引き出せばいいのか、ちょっと難しい」

そこで2022年から導入したのが、AIを使った面接担当者のトレーニングシステムです。

大学生を相手にした模擬面接の様子を取材しました。AIが面接担当者の表情や話の聞き方、声の調子など300の項目を解析。お互いがどのぐらいの割合で話しているかも記録します。

そして、面接担当者が学生の話に耳を傾けていたかや笑顔で対応していたかといった項目をAIが点数化します。いわば“話がしやすい面接だったか”どうかをデータで示すのです。

担当者は「AIに解析されることによって可視化されるというのは、自分がしゃべりすぎているとか分かるという意味でいいのかなと思う」と話します。

会社の人事部ではこのシステムを活用して、これまで担当者任せになっていた面接の質をデータに基づいて改善していきたいと考えています。

人事本部 源田泰之本部長

「面接というのが狭い会議室の中でブラックボックス化している。この中で行われているものが本当に適正かどうかを確認したい。オンラインによって、よりよい面接の質や内容になる」

面接が会社の印象を左右? 質向上のニーズ高まる

このシステムを開発した人事のデジタル化を専門に支援するベンチャー企業「ゼンキゲン」は、「面接の印象が悪かった企業には、内定が出てもいきたくない」と考える学生は多く、面接の質を高めたいという企業のニーズが高まっているとみています。

野澤比日樹CEO

「面接を受けたことで『その会社に入社したくない』、面接体験が悪すぎたためにそのように(感じる)体験をしてしまった。面接体験を向上させていくことを人事部としても求めているし、これから(システムの)利用は広がっていくだろう」

求める人材 情報開示と言語化へ

これからの採用面接に求められることは何か。リクルート就職みらい研究所の増本全所長は「感覚的な面接から情報開示と言語化へ」がポイントだといいます。

対面の面接ではその場の雰囲気など感覚に頼るところがありましたが、オンラインではそれが伝わりづらくなります。そのため面接で何を確かめるのかを情報開示して求める人材像などをしっかり言葉にすることが必要だということです。

例えば自転車販売会社の「ダイワサイクル」は、実際に面接を行う担当者が学生に聞きたいことを事前に動画で公開しています。「当社はチームで仕事を進めることが多いので、これまでチームで物事を進めた経験があるか」などと伝えています。

この試みを始めてから学生のエントリーが15%増えたそうです。

パソコンの四角い画面に映る面接担当者は学生にとってはまさに“会社の顔”となります。企業イメージを決めてしまうかもしれない責任が重い担当ですが、学生とのよい出会いにつなげていってほしいと思います。

【2022年3月14日放送】