防災用の備蓄も“シェア”で!?

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東日本大震災から11日で11年。震災が起きた日は、東京都内で多くの人が帰宅困難者になりました。これを教訓に東京都は条例で企業などに対し、従業員の3日分の水や食料などの備蓄に努めるよう求めています。

しかし東京商工会議所が21年に行った調査では、3日分以上の備蓄に対応できている企業は、飲料水で47.5%、食料で40.0%と5割以下にとどまっています。「保管場所が確保できない」ことや「維持管理の負担が大きい」ことが大きな理由です。

そこで備蓄の場所をシェアする新しいビジネスが始まっています。

都心のオフィス 備蓄場所の確保が大きな課題

東京・港区のビルに入居する商社「兼松」。およそ700人が勤務しています。

会社には備蓄庫がありますが、22年11月にはオフィスを東京駅近くに移転する予定で、備蓄品の新たな置き場所が問題になっています。移転先の賃料は、坪単価が今の約2倍になるため、備蓄品のスペースが十分確保できないおそれがあるのです。

梶内尚史 総務課長

「ここ(今のオフィス)が約2400坪の面積を持っているが、丸の内に行くと約2000坪。スペースも小さくなるので『どうやって置くの』というのが大きな課題」

備蓄庫をシェアする新サービス

企業の備蓄のネックになっているスペースや費用の課題を解決するため、新たなサービスが動き出しています。都心部の空きスペースを確保し近隣の企業に備蓄庫として利用してもらうというものです。

スタートアップ企業「Laspy」は、貸倉庫や鉄道の高架下、企業の遊休スペースなど有効活用されていない場所を借り上げて備蓄庫として整備し、近隣の企業でシェアするサービスを始めようとしています。利用する企業から従業員の人数に応じて、月額料金を受け取るビジネスモデルです。

スタートアップ企業 藪原拓人 社長

「街の“もったいないスペース”を備蓄庫化するというところで、お客さんに対しても安くサービスを提供することができる」

取材した日、藪原さんは備蓄庫として整備できそうな場所を訪れ「500人とか1000人近い備蓄を保管できる可能性もある」と見通しを語りました。この場所を管理する「平和不動産」の荒大樹さんは「現在収益を生むもの(スペース)ではないので、外部のお客様の備蓄品のために使っていただくことで、ビジネスチャンスとしてあるのかな」と話しました。

備蓄品の調達や管理、更新も

このスタートアップ企業は備蓄品の調達や管理、更新も担います。例えば、1人分の非常食や水を小分けにした箱は重さは3キロほどで、持ち運びしやすいものを選んだといいます。

備蓄スペースの確保に悩んでいた商社も、オフィスの移転と同時にこのサービスを利用することになりました。

総務課長の梶内さんは「コスト面でも管理する人件費を含めると、メリットが出てくると考えている」と話しました。

スタートアップ企業は2022年4月から試験的にサービスを始め、今後、備蓄庫を都内各地に広げていくことにしています。

スタートアップ企業 藪原社長

「どこのコミュニティーにいても、必ずそこに皆さん自身の備蓄があるという状態をつくっていきたい」

このサービスでは、備蓄庫が近い場合は利用する企業の人に歩いて取りに行ってもらい、少し離れた場所の場合はトラックで配送する体制も整えるとしています。災害時の道路事情を考えると、備蓄庫をどれだけ確保できるかが課題になりそうです。

【2022年3月9日放送】