新潟県の佐渡が「起業の島」に⁉ 官民をあげた企業誘致で全国の起業家たちから注目され始めています。これまでに誘致した企業の数はおよそ20。大都市から離れた島がビジネスの場として選ばれている理由とは?
東京のIT企業 新拠点に佐渡を選んだ理由は?
佐渡島にあるレンタルオフィス。ここに2021年12月、東京のIT企業「YAZ」が新たな拠点を設けました。
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社員の女性は長年東京で働いてきましたが、介護との両立を図ろうと家族と一緒に佐渡に移り住み、テレワークで人事や広報の仕事をしています。
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仕事の合間には国の特別天然記念物のトキが飛ぶ風景を眺めたり、自然や海の幸を堪能したりしています。
社員の女性
「佐渡での生活と仕事が両立できているのは、すごくよかった」
この会社が新たな進出先に佐渡を選んだ理由は、ベンチャーへの支援が手厚いことです。
田中康之社長
「自治体の支援とか周りの会社とか目立ち始めているのがおもしろい」
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離島での事業ノウハウ 地元経営者が助言
進出企業の支援に中心的な役割を果たしているのが、地元でIT企業「taneCREATIVE」を経営する榎崇斗社長です。
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榎さんがモットーとしているのが、ビジネスが成功する確率を高めるための懇切丁寧な指導です。経営者仲間とともに事業計画の作り方や経営のノウハウを無料でアドバイスしています。
取材した日は、飲食店やブライダル関連で起業したいという男性の相談に乗りました。榎さんは「飲食店はできるかぎり小さくして予約があった時だけ開く形で、固定費ができるだけかからない仕組みづくりを構築していただければ」と助言。佐渡の場合、冬場は観光客が少なくなることから、経費を抑えつつ利益が出る方法を考えるよう伝えました。
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相談した男性
「離島ならではの独自の考え方やあり方も含めたアドバイスをいただける。ありがたい」
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ビジネスコンテストで資金調達を支援
榎さんと経営者仲間たちはさらに、事業を始めたばかりの人が突き当たる資金調達の問題にも対応するため、新たな仕掛けをつくりました。佐渡市と共同でビジネスコンテストを始めたのです。
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入賞した起業家には補助金が得やすくなる特典をつけ、事業が軌道に乗るまで支えようとしています。このコンテストに入賞した複数の企業が佐渡に拠点を設けるということです。
コンテストでは佐渡市の渡辺市長が「起業の島、成功率ナンバーワンの島を目指していきたい」とあいさつしました。
優勝した「チューニング」という会社を経営するイワモトユウさんは「大都市だと埋もれてしまうけれども、少し都会から離れたところだと個性を際立たせることができるので頑張る」と話しました。
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進出企業を支援している榎さん
「島内の受け入れ体制が、行政と民間が一体となって動いているところが最大の強み。お手伝いできることは積極的にやらせていただき、一緒に起業の成功を実現したい」
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今後は、企業を集めるだけでなく事業が育つよう支援を行い、地域に根づいてもらえるかが課題です。
(新潟局 記者 野口恭平)
【2022年3月3日放送】