ワンチャンスをものにするしかない

阿部一二三

柔道

東京オリンピック、柔道男子66キロ級で金メダルを獲得した阿部一二三。2014年のユースオリンピックで金メダルを獲得したあとの講道館杯、全日本体重別選手権を史上初めて高校2年生で制し、この頃から”東京オリンピックの星”と期待されていた。
その後は、世界選手権を2017年から2連覇。順調だったー。
東京オリンピックへの歩みに待ったをかけたのは、ライバルの丸山城志郎。阿部は2018年から2019年の世界選手権にかけて3連敗を喫し、一時は、オリンピックの代表争いで逆転された。
それでも2019年11月の国際大会の決勝で丸山選手に雪辱を果たし、2020年12月、異例の直接対決となった内定選手決定戦で、24分間にわたった激闘の末、再び丸山を破り初めてのオリンピック代表の座をつかんだ。

「あの厳しい戦いに勝てたのは自分自身の自信になった。いちばん成長したのは心の部分」

初めてのオリンピックの舞台、阿部は得意の担ぎ技と、それを警戒する相手に対しては足技を使って思いどおりに試合を進めた。
決勝では豪快な大外刈りで技ありを奪い、その後は相手の力技を冷静にいなして優勢勝ち。金メダルをつかみとった。

その直前には妹の詩が金メダル。柔道で史上初めてオリンピックの同じ大会で、きょうだいで金メダル獲得となった。

「冷静に一本を取りにいく自分の柔道ができました。ワンチャンスをものにするしかないと思っていました。先に妹が金メダルを取ったので自分も絶対にやってやると燃えました。歴史に名を刻めてよかったです」

柔道