テレビを見ていた子どもたちとマスターズの舞台でトップ争いを

松山英樹

ゴルフ

男子ゴルフの世界最高峰の大会「マスターズ・トーナメント」。メジャー大会の優勝者や世界各地のツアーの賞金ランキング上位者など限られた選手のみが招待されるまさにゴルフ界の頂点に位置する大会だ。その優勝者がはおる「グリーンジャケット」はすべてのゴルファーの憧れだとされる。
2021年、この大会を制し、日本選手としてグリーンジャケットに初めて袖を通した松山英樹。帰国後の記者会見で語ったのは日本の男子ゴルフ界の未来への思いだった。

「日本人がグリーンジャケットを着られるんだということを証明できた。僕がタイガー・ウッズ選手のようになりたいと思ったように、子どもたちが僕みたいになりたいと思ってくれたら」

その言葉の背景には、人気が低迷する国内男子ゴルフの厳しい現状がある。
人気の女子ツアーに比べ、年々大会が減り続け、2020年は新型コロナの影響も受けて年間で開かれた大会の数はわずか6だった。

「今は女子ツアーに押されている形だが男子ツアーも魅力はある。すごく面白い戦いが見られるけど、なかなか面白さが伝わらないのが現状だと思う。僕が優勝したことで注目され、男子ツアーを見て面白いとなってくれたらすごくうれしい」

“男子ゴルフ界を盛り上げたい”
マスターズで無類の強さを誇ったタイガー・ウッズの背中を追って、初出場から10回目の挑戦で手に入れたメジャー制覇の称号。その姿は子どもたちの目にどう映っただろうか。

「僕が勝ったことで、テレビを見ていた子どもたちが、5年後、10年後にこの舞台に立って、その子たちとトップを争うことができたらすごく幸せ。そのためには僕もまだまだこれから先、勝っていかないといけないし、頑張っていきたい」

松山とその背中を追いかける選手がいつかマスターズで優勝争いをする。
男子ゴルフ界に再び光が差す未来を予感させる歴史的な快挙だった。

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