全てを完璧に

稲見萌寧

ゴルフ

稲見萌寧は2018年にプロデビューしたばかりの21歳。次々と若手が活躍する女子ゴルフの国内ツアーで無類の強さを誇り、2021年は7月までに5勝を挙げる驚異的な成績を残している。
その強さを支えているのは、気持ちの強さだ。

「何かを1回やったら全てを完璧にしたい。例えば部屋掃除でも1回やるともう隅の隅まで全てをきれいにしなきゃ、気が済まない。最後まで完璧にしたいというのは、生まれ持った性格かな」

みずから完璧主義者と称する、その性格はゴルフの練習にもあらわれている。優勝した大会の翌日でも練習を欠かすことはなく、周囲からは「練習の虫」と呼ばれる。
気がすむまで練習に打ち込むと気がつけば1日10時間にも及ぶ日がある。豊富な練習量で磨いた正確なアイアンが持ち味でチャンスにつける「パーオン率」は国内トップクラスだ。

さらに2021年はウエイトトレーニングやキックボクシングなどを取り入れ、1日4食の食事など1年を通してツアーを戦い続けられるような体を作ってきた。完璧主義者らしくあくまで競技に対してストイックだ。

「これまでにも増して勝ちたい欲であったりとか、誰にも負けたくないという気持ちはすごい強い。だからこそ複数回の優勝ができているのかな」

ふだんは本音を明かさない完璧主義者も、大逆転で東京オリンピックの代表に選ばれたあとは、21歳の素顔ものぞかせた。

「めちゃくちゃうれしい。自分のゴルフ人生だけでは収まらないぐらい、人生の記憶に残る名誉なこと、一生に一度の夢の舞台なので、攻める気持ちを奮い立たせて上位争いがしたい」

地元開催のオリンピックで世界にどんなゴルフを見せるのか、そのプランも完璧に遂行するつもりだ。

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