京都のオーバーツーリズム どう向き合う?

京都の「オーバーツーリズム」対策どうする?京都市は「バス1日券」の販売を終了し地下鉄に利用客を分散化。一方、隣県・福井県は京都に来た外国人富裕層をターゲットにモニターツアーを企画。ヘリコプターで客を県内に運ぶ“特別感”あるツアーとは?

京都のバスが大混雑

毎日、多くの観光客でにぎわう京都。清水寺近くのバス乗り場では観光客が長い列をつくり、一度に全員乗り込めないこともあります。

ふだんからバスを利用する地域住民の暮らしにも影響が出ています。通院でバスを使うという高齢の女性は次のように話しました。

「観光客の大きな荷物があって(バスを)降りにくい」「ベビーカーで乗り降りができない」といった市民の声も多く寄せられているということです。

「バス1日券」販売終了 地下鉄に分散化図る

京都市はバスに観光客が集中する事態を防ぐため、市内を走るバスに1日に何度でも乗ることができる「バス1日券」の販売を9月で終了しました。

バスの車内には販売終了のお知らせが

その代わり、バスだけでなく市営地下鉄でも利用できる「地下鉄・バス1日券」をバス車内で販売するなどして対策を強化しています。観光客に地下鉄の利用も促し、移動手段を分散させようとしています

京都市交通局 北尾雅則 営業推進課長
「効果はあると思っているが、ほかの施策も組み合わせて混雑対策を図っていきたい」

京都では臨時バスの増便や観光地への直行便を設けるなどのオーバーツーリズム対策も進められています。

ねらうは京都の外国人客 隣県・福井がモニターツアー

小浜市のヘリポートに到着した外国人観光客

一方、京都府に隣接する福井県は、京都のオーバーツーリズムを逆手にとり、混雑が少ない県内に観光客を誘致しようとモニターツアーを企画しました。

ターゲットは京都に来た外国人の富裕層です。取材した日は、小浜市のヘリポートにアメリカやイギリス国籍の4人が到着しました。ヘリコプターを使って京都から福井県内に移動することでわずか30分ほどで到着し、大幅に移動時間を短縮できます。

またハイヤーで効率よく観光できる“特別感”をテーマにしています。

県内はハイヤーで移動

観光客4人がまず訪れたのは、若狭町のビール工房です。製造工程を見学し、ビールを試飲。そして地元でとれた天然のうなぎや自慢の海産物をふんだんに使ったランチを味わいました。

ビールを試飲し…
ランチを味わう。「イカがクリーミー!」

2日間にわたって、豊かな自然や日本ならではのお座敷遊びを体験するなど特別感のあるツアーを楽しみました。

お座敷遊びなども体験
帰りもヘリコプターで。「Thank you so much!」

モニターツアーに参加した外国人客
「とてもよかった。非常に特別でユニークで、本当にすばらしい経験だった」

福井県嶺南振興局 嶺南プロジェクト推進室 田渕洋平 室長
「福井でしか体験できないスペシャルなものを提供していく。福井県にはそういったポテンシャルがあるのかなと改めて実感したので、広くPR・販売して福井県のインバウンドが増えるように努力していきたい」

福井県は2022年の外国人の宿泊客数が全国でワースト4位ということです。人気観光地の周辺の自治体がどこまで観光客を地元に誘致するかも、オーバーツーリズム対策につながるかもしれません。
(京都局 清水阿喜子、櫻井亮 福井局 二村康介)
【2023年11月24日放送】
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