日本×スペイン タイムライン
スペインとは

スペインは世界ランキング7位。ワールドカップは12大会連続16回目の出場で2010年の南アフリカ大会で初優勝を果たしています。
(※世界ランキングは10月6日現在)
2000年代後半~2010年代前半に黄金期
2000年代後半から2010年代前半にかけては現在、J1のヴィッセル神戸でプレーするイニエスタ選手などを中心に、ヨーロッパ選手権で2連覇を達成し、黄金時代を築きました。
現在のスタイル
細かいパスワークと足元のテクニックに優れ、高いボールキープ率と流れるような攻撃が持ち味です。
バルセロナの新星19歳のぺドリ選手や代表で最年少ゴールをマークした18歳の逸材ガビ選手など注目の若手も台頭しています。
世界が注目するテクニシャンをそろえボールを回しながら攻撃の糸口を探るスペインらしいスタイルは変わりません。
去年のヨーロッパ選手権4強のメンバーを軸に2回目の頂点を狙います。
スペイン代表 日程・結果は、こちらから
予選の戦いぶり

ヨーロッパ予選では初戦のギリシャ戦で1対1で引き分け、第4戦のスウェーデン戦で1対2で敗れましたが、残る6試合はすべて勝ち、8試合の通算成績を6勝1敗1引き分けとして、グループ1位で本大会への出場を決めました。
ヨーロッパ予選
対戦日 | 対戦国 | 結果 |
---|---|---|
3/25 | ギリシャ | △1-1 |
3/28 | ジョージア | ○2-1 |
3/31 | コソボ | ○3-1 |
9/2 | スウェーデン | ●1-2 |
9/5 | ジョージア | ○4-0 |
9/8 | コソボ | ○2-0 |
11/11 | ギリシャ | ○1-0 |
11/14 | スウェーデン | ○1-0 |
日本との対戦成績
日本は、これまで強化試合で1回対戦して敗れています。また、去年行われた東京オリンピックの準決勝では24歳以下の代表も0対1で敗れています。
注目選手

スペイン代表で注目されるのが19歳のミッドフィルダー、ペドリ選手です。
攻撃の中心を担う選手で、スペイン1部リーグの強豪 バルセロナに所属しています。
テクニックに秀でたスペイン代表の選手の中でも、ひときわ足元の技術に優れていて、正確なパスを供給して攻撃のリズムを作ります。
また、去年の東京オリンピックにも出場し、スペイン代表の銀メダルの原動力となるなど国際大会での経験も豊富です。
所属するバルセロナでの背番号は「8」。
2010年の南アフリカ大会でスペイン代表のワールドカップ初優勝に貢献し、現在はJ1のヴィッセル神戸に所属するイニエスタ選手が背負っていた番号を与えられています。
プロフィール項目 | 内容 |
---|---|
生年月日 | 2002年11月25日生 |
身長 | 1m74cm |
体重 | 60kg |
※9月25日現在※
スペイン代表メンバー26人
11日にスペインのルイス・エンリケ監督が記者会見を開いてスペインの代表メンバー26人を発表しました。
バルセロナの司令塔 ペドリ選手 初選出

このうちスペイン1部リーグの強豪、バルセロナで司令塔として活躍する19歳のペドリ選手は初めての選出となりました。テクニックに秀でたスペイン代表の選手の中でもひときわ足元の技術に優れ、正確なパスを供給して攻撃のリズムを作ります。

ペドリ選手とともに中盤での活躍が期待される18歳のガビ選手はチーム最年少で選ばれました。
また、12年前の南アフリカ大会でスペインの初優勝に貢献したメンバーからは34歳のセルヒオ・ブスケツ選手が唯一選ばれ4大会連続4回目の選出となりました。

このほかディフェンダーのジョルディ・アルバ選手が3回目の選出となりました。
スペイン代表は今月17日にヨルダンとの強化試合を行ったあと、23日にコスタリカとの初戦を迎え、来月1日に日本と第3戦で対戦します。
ポジション | 代表メンバー |
---|---|
GK | ウナイ・シモン(スペイン1部・ビルバオ) |
GK | ロベルト・サンチェス(イングランドプレミアリーグ・ブライトン) |
GK | ダビッド・ラジャ(イングランドプレミアリーグ・ブレントフォード) |
DF | ダニエル・カルバハル(スペイン1部・レアルマドリード) |
DF | エリック・ガルシア(スペイン1部・バルセロナ) |
DF | ジョルディ・アルバ(スペイン1部・バルセロナ) |
DF | セサル・アスピリクエタ(イングランドプレミアリーグ・チェルシー) |
DF | アイメリク・ラポルテ(イングランドプレミアリーグ・マンチェスターシティ) |
DF | パウ・トーレス(スペイン1部・ビジャレアル) |
DF | アレハンドロ・バルデ(スペイン1部・バルセロナ) |
DF | ウーゴ・ギジャモン(スペイン1部・バレンシア) |
MF | ロドリ(イングランドプレミアリーグ・マンチェスターシティ) |
MF | セルヒオ・ブスケツ(スペイン1部・バルセロナ) |
MF | コケ・レスレクシオン(スペイン1部・アトレティコマドリード) |
MF | ガビ(スペイン1部・バルセロナ) |
MF | カルロス・ソレール(フランス1部・パリサンジェルマン) |
MF | ペドリ(スペイン1部・バルセロナ) |
MF | マルコス・ジョレンテ(スペイン1部・アトレティコマドリード) |
FW | アルバロ・モラタ(スペイン1部・アトレティコマドリード) |
FW | ダニ・オルモ(ドイツ1部・ライプチヒ) |
FW | フェラン・トーレス(スペイン1部・バルセロナ) |
FW | パブロ・サラビア(フランス1部・パリサンジェルマン) |
FW | ニコ・ウィリアムス(スペイン1部・ビルバオ) |
FW | マルコ・アセンシオ(スペイン1部・レアルマドリード) |
FW | アンス・ファティ(スペイン1部・バルセロナ) |
FW | ジェレミ・ピノ(スペイン1部・ビジャレアル) |
NHKサッカー解説 佐藤寿人さんに聞く~厳しい組み合わせこそ ワールドカップの醍醐味がある!

元日本代表フォワードでJ1歴代3位の通算161得点をマークした佐藤寿人さんは、森保一監督と深い関係があります。
若手時代に所属したベガルタ仙台では、現役だった森保監督がキャプテンを務めていました。
その後、サンフレッチェ広島で指揮官となった森保監督のもとでは主力としてJ1でリーグ2連覇を達成。森保監督をよく知る佐藤さんは今の日本代表をどう見ているのでしょうか。
(取材・構成 アナウンサー 小宮山晃義)
佐藤さん
日本代表に森保監督らしさを感じるのはチームを一枚岩にするマネジメント力です。
ワールドカップアジア最終予選は初戦で敗れるという逆境からのスタートでしたが、個々の力に頼るのではなくチームとして苦しい状況を乗り越え前進しました。試合以外で森保さんが選手と会話する姿が印象に残っています。
森保さんがチームと真摯に向き合う姿勢は選手時代から変わりませんし、対話を重視したチーム作りはサンフレッチェ時代から培ってきたものです。

優勝経験のあるドイツ、スペインと同じ組に入り厳しい戦いが予想されます。ベスト8まであと一歩のところまで迫ったロシア大会から4年、世界トップとの差は縮まっていると感じますか。
佐藤さん
4年が経って、どれだけ差が埋まっているかというところは正直まだわかりません。日本はアジア最終予選で厳しい戦いを勝ち抜きましたが、自分たちより圧倒的に力がある相手と試合をする機会は多くありませんでした。真剣勝負のワールドカップでドイツやスペインを相手に、どのくらいの力を発揮できるのか楽しみです。選手はこの組み合わせを望んでいたでしょうし、それがワールドカップの醍醐味だと思います。今の日本代表は「強豪相手でも打ち勝つ」という強いメンタルを持ち合わせていると感じます。
攻撃のカギは“両サイドの推進力”
厳しいグループでどのように勝ち点を積み重ねていけばよいのでしょうか。「日本代表は攻撃陣のタレントが豊富で誰を起用するかは、ぜいたくな悩み」と佐藤さんが口にするように、前線には鎌田大地選手(ドイツ フランクフルト)や、久保建英選手(スペイン レアルソシエダード)、堂安律選手(ドイツ フライブルク)、南野拓実選手(フランス モナコ)など個人技に長けた選手がいます。
強豪チームと対戦する上で攻撃のポイントは何になりますか。
佐藤さん
日本の強みとも言える“両サイドの推進力”です。
ワールドカップの戦いでは、特にそこを生かしてほしいです。
右サイドの伊東純也選手、左サイドの三笘薫選手、この2人はドリブルで仕掛けて相手の守備を崩すことができるキーマンとも言える存在です。

久保選手や鎌田選手などフィールド中央で活躍できる選手もそろっています。あえてサイドをポイントに挙げるのはなぜですか。
佐藤さん
アジアの戦いでは中央から縦パスを通して前線の選手のコンビネーションで相手を崩すことができましたが、世界の強豪は守備のブロックが堅く、そう簡単に中央で起点を作らせてもらえません。相手の守備ブロックの外側でボールを回し、比較的スペースが空くサイドから攻め込む方がゴールに近づくことができると思います。2人の突破力を生かしてチャンスを広げて欲しいですね。
伊東選手は今シーズン、ベルギーからフランス1部リーグのスタッド・ランスに活躍の場を移しました。
相手を圧倒するスピードが目を引く選手ですが、佐藤さんが感じる持ち味は何でしょうか。
佐藤さん
伊東選手はスピードを武器に縦に仕掛けることができますし、相手の出方によって逆を突いて中へ運ぶこともできます。ヨーロッパで長くプレーする中で幅が広がりました。強豪相手に伊東選手がボールを持って仕掛ける回数をどれだけ増やすことができるかがポイントだと思います。さらに伊東選手はキックの精度が高くゴール前へ上げるクロスボールは日本の武器です。得点とアシストの両方で貢献できるのは大きな魅力です。

三笘選手は昨シーズンの途中に川崎フロンターレからヨーロッパへ渡りました。持ち味のドリブルはレベルアップしていますか。
佐藤さん
そうですね。昨シーズンはベルギーのリーグで経験を積み、今シーズンは世界のトップ選手が集まるイングランドのプレミアリーグでプレーしています。相手のレベルが上がっても三笘選手のドリブルは通用しています。

佐藤さん
強みは常に自分の間合いでボールを持てること。独特のリズムがあり、相手選手は簡単に飛び込むことができません。ワールドカップでも三笘選手の間合いで、ある程度勝負できるのではないかと期待しています。
第3戦の相手スペインには“百戦錬磨のサイドバック”がいる
第3戦で対戦するスペインの印象について佐藤さんは「伝統的な美しいパス回しだけではなく、守備の強度が高く奪って速く攻めることもできる」と言います。日本が崩すべきサイドにも世界トップレベルの選手が待ち受けています。
伊東選手、三笘選手が対じするスペインのサイドバックの印象は。
佐藤さん
両サイドバックには能力と経験値を兼ね備えた選手がそろっています。
伊東選手が対する左サイドバックはスペインの強豪
バルセロナで世界的なサイドバックとして活躍してきたジョルディ・アルバ選手。
右サイドバックはイングランドプレミアリーグのチェルシーでプレーするセサル・アスピリクエタ選手。
ともにスペイン代表を支えてきた33歳のベテランです。こういった選手を崩すのは簡単ではありません。

つけ入る隙はありますか。
佐藤さん
隙を探すのは難しいですね。アスピリクエタ選手は1対1の守備に定評があり、三笘選手のドリブルが通用するか楽しみです。

佐藤さん
アルバ選手はもともとスピードを持ち味に相手陣内に攻め込む攻撃的なサイドバックでした。ただベテランになり以前ほどのスピードと運動量で前へ前へと攻め込んでくる印象は薄れました。伊東選手がアルバ選手を引き出して背後にできたスペースを攻略することができれば面白いですね。
“背中を取られるな” 守備のキーマン・遠藤航選手の奮闘が不可欠
一方、佐藤さんが守備のキーマンに挙げたのがドイツ1部リーグのシュツットガルトで活躍するボランチ、遠藤航選手です。センターバックの前に位置取り、攻守のかじ取り役として活躍してきました。
遠藤選手が守備の鍵を握るのはなぜですか
佐藤さん
ドイツやスペインといった世界トップクラスの攻撃力を持つチームは、遠藤選手が守るエリアを攻略することに長けているからです。具体的にはセンターバックとボランチの間、遠藤選手の背後のスペースです。ここで相手に攻撃の起点を作られるとセンターバックが引き出されてゴール前にスペースが生まれてしまいます。遠藤選手の背後で相手にボールを受けられるシーンが多くなると難しい展開になります。

遠藤選手に期待することは
佐藤さん
背中を取られないような、絶妙なポジション取りを期待したいです。ドイツやスペインは少しのすき間があればパスを通してきます。たった一歩でも立つ位置を間違えると、遠藤選手の背後のスペースを使われて最終的にゴール前まで侵入されて失点という形になってしまいます。
遠藤選手は1対1の球際で競り勝つ“デュエル”の強さに注目が集まりますが、相手の動きを予測する能力も非常に高い選手です。細かく守備のポジションを修正しながら危険なスペースを埋めるような動きを繰り返すことができます。
結果的に相手との間合いを詰め、遠藤選手の間合いで相手からボールを刈り取ることができるのです。相手からすると攻撃のスイッチを入れたいスペースを遠藤選手がどのくらい埋めることができるかは、1次リーグ突破の重要なポイントです。

スペイン攻撃陣を支える若き才能に要注意
佐藤さんは第3戦で戦うスペインには「遠藤選手の背後を巧みに狙ってくる選手がそろっている」と言います。
スペインで注意すべき選手を教えてください。

佐藤さん
10代のミッドフィルダー、ペドリ選手とガビ選手です。19歳のペドリ選手はバルセロナの中心で東京オリンピックでは銀メダルを獲得しました。18歳のガビ選手はバルセロナの育成組織で育ち、去年17歳にしてスペイン代表デビューを果たした逸材です。2人とも身長は1メートル70センチ代前半で身体能力の高さで相手を圧倒するタイプではありませんが、若くしてサッカーIQが非常に高い選手です。
ペドリ選手には東京オリンピックで日本も対戦して苦しめられました。2人にサッカーIQの高さを感じるところはどこですか。

佐藤さん
ポジショニングです。
相手の守備がどのスペースを埋めようとしているのか立ち位置を観察し、常に相手が嫌がるところにポジションを取ります。更にプレーの判断が非常に早いです。パスを受ける体の向きや角度まで緻密に計算しボールを受けた時には既に次のプレーを選択しているので、相手に守備を整える時間を与えません。
スペイン相手に無失点で試合を終えるのは難しいでしょう。何とか1失点にとどめて、日本がサイドを起点に得点することができれば、引き分けに持ち込むことができるのではないでしょうか。
佐藤さんの1次リーグ予想 日本は1勝2分で2位通過
順位 | チーム・成績予想 | 勝敗 |
---|---|---|
1位 | スペイン(2勝1分) | 〇ドイツ 〇コスタリカ △日本 |
2位 | 日本(1勝2分) | 〇コスタリカ △ドイツ △スペイン |
3位 | ドイツ(1勝1敗1分) | 〇コスタリカ △日本 ●スペイン |
4位 | コスタリカ(3敗) | ●ドイツ ●スペイン ●日本 |
初戦のドイツ戦で引き分けることが前提の予想です。
ドイツは第2戦でスペインと対戦します。ドイツが日本と引き分けると、スペイン戦はリスクを負って勝ちにいくでしょう。
今のスペインはカウンターも持ち味としているので、ドイツが攻めて来てくれれば戦いやすいのではないでしょうか。
スペインが2連勝して1次リーグ突破を決めた上で日本との第3戦を迎えてくれれば、メンバーを落としてくることも考えられます。そうなれば日本は勝ち点を奪う可能性が高まると考えます。
森保さんにとっては今までのキャリアの中で一番プレッシャーがかかる大会になると思います。
その重圧をはね返して日本代表を決勝トーナメントに導いてほしいです。
カタールの地で森保さんが笑顔で選手に親指を立てる姿が見られることを楽しみにしています。