ソニー 人事担当者に聞く

「気づき」と「発見」をニュースから読み解く人に!

2019年03月01日
(聞き手:鈴木M貴大)

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テレビやオーディオだけでなく、ゲームや映画といったエンターテインメント関連、AIなど幅広い事業に取り組むソニー。説明会などで日頃から多くの学生と接している人事担当が選んだマストなニュースは…

大坂なおみ選手 全豪オープン優勝

2019年1月、大坂なおみ選手が全豪オープンの女子シングルスで優勝。去年の全米オープンに続く四大大会連覇を果たした。これにより大坂選手は世界ランキングで男女を通じてアジアで初めて世界ランキング1位となった。

学生
鈴木

最初に選ばれたのが「大坂なおみ選手、全豪オープン優勝」というのはすごく意外でした。ソニーとは関係がないように思えますが、なぜこのニュースを選んだのでしょうか。

ソニーと関係があるかといわれれば、そうではないんですが…試合、見ましたか?

山口さん

最後のほうだけ見ました。

実は私もその辺からなんですけど。
なぜこのニュースを挙げたのかというと、何か一つをやりきって結果を残すということをぜひ学生時代にやってほしいし、大事にしてほしいという思いからです。

採用担当として学生を見るときに意識しているのは、この人はどんな人なのかな、どういうこだわりがあり、どういったことが好きで、何をしてきたのかな、というところです。

例えば活躍しているプロ選手のニュースから、その選手が何を原動力に頑張っているのかなというところを咀嚼(そしゃく)し、みなさんは何を原動力にして何を大事に頑張っているのかを考えてほしいと思ってこのニュースを選びました。

なるほど。
そして大坂選手は多様な文化をもっていると思いますが、そういった面にも着目ですか?

そうですね。ソニーは昔から長くグローバルな採用をしていたり、国籍・性別・人種を問わずいろいろな取り組みをしています。多様性という面にも着目してくれたらうれしいです。

山口智史さん

就活中に見るのは経済ニュース中心になると思うんですが、世の中は経済だけで成り立っているわけではない、幅広くいろいろなものに着目することで、点と点が結びついて線になって、新しい気づきや発見につながっていくと、私たちは思っています

そして就活は、人生の次の一歩を決めるタイミング。この時だからこそ、今まで見てこなかった分野に目を向けることによって人生が豊かになるのではないか、選択肢が広がっていくのではないかと思っているので、ぜひ就活の時も、スポーツや芸術、音楽などいろいろなところに目を向けてくれるといいなという思いがあります。

馬さん

働き方改革関連法の成立

2018年6月に成立した「働き方改革関連法」。多くの企業でいま、働き方が変わろうとしている。

続いて、働き方改革関連法の成立ですね。基本的なところですが、企業にとってどのように重要なのですか?

いろいろな法律をまとめて関連法にしているのですが、ポイントとしては「より働きやすくすることで、より生産性や創造性を高めた働き方をする」ということ。日本の企業全体を良くしていきたい、そういう考えが一連の法律の背景にあると思っています。学生さんにとってもこれから働いていく中で重要になると思ってピックアップしました。

休みを取ったほうが、生産性や創造性を高めることにつながるのですか?

考え方はいろいろありますし、一概には言えませんが、同じ環境でずっと休みなく働いていると、どうしても頭が凝り固まりますし、疲れると思うんです。

そういう働き方が全部ダメかと言われれば、そうではない部分もあると思うのですが、定期的に休みを入れるなり、気分転換するなり、ちょっと別の場所に行ったり、そういう期間も必要だと思います。

働き方改革で、会社の利益に影響はないですか?

馬雪潼さん

働く時間と業績って、必ずしも連動しないと思うんです。

働く時間を削減するために、どう改良していくか、どうカバーするか考えていくんです、人間って。テクノロジーの力を借りることで、いくらでもカバーできます。人間が3時間かけていた仕事を、ロボット君が10秒でやってくれたりする。

働く時間よりも、創造性が重要ということですか?

人間は、創造性とか、よりきちんと成果が出せるような働き方、業務の流れ、テクノロジーによって問題を解決していこうと、この会社にはそういう人間がそろっていると思うので、業績が落ちるということはないかと。

昨年度は最高益でしたし、今年度も頑張ったら、もうちょっといけるのではと思っています。

AI技術の関連ニュース

最後は「AI技術の関連ニュース」ですが、どのような点が重要なのでしょうか。

世の中にAIの技術がどんどん普及してきて当たり前になりつつあるということを、みなさんに捉えておいてほしいと考えています。
AI技術の進歩によってできることがどんどん増え、生活を豊かにさせてくれた側面もあります。

実際に人間とAIが家族になることを一つのテーマに犬型のエンターテイメントロボット、aiboを発売し、いろいろな人に愛されています。

画像提供:ソニー

AIが生活をより豊かに、より便利にするという部分もありますが、映画の世界でよくあるように、AIと人間が戦って人間が滅ぼされる…といった部分も気になると思います。AIがどのように世の中を変えていったらいいのか、自分なりに考えていてほしいなと思って取り上げました。

AI=将来、と考えるのではなく、もう身近にあるものとして捉えることが就活でも重要な観点だと。

人間は変化に対応していきます。
私が就活したころに初めてスマートフォンが出てきたんですよ。ガラケーとスマートフォンを両方持って、ガラケーで電話をしながらスマートフォンで面接の予約をした始めのころでした。今では、みなさん、パソコンよりもほぼスマホですよね。ほんの数年の間でここまでガラッとライフスタイルが変わり、どんどん変わっていきますよね。

今はまだ、AIというと難しいものと思われがちですが、数年後には当たり前のようになっていて、いろいろなものに搭載され、自分たちの生活を豊かにすると思っています。
AIで、ああ世の中ってこういう方向に変わっているんだなって、その変化を感じ取ってほしいということです。

その変化は今後も続いていくんですね。

変化の流れをどうやって捉えるのか、そのためにニュースは大事だと思うんですよね。いろいろなところで報じられているニュースを見て、あ、こういう流れがどうもあるらしいとか、それをつかめるだけでも全然違うと思うので。

「aiboはAI技術が身近なところにやってきている象徴の一つです」というお二人。「めっちゃ賢い」「こうすると人は喜ぶらしいぞ、と学んでいく」「ふれあって育てると社交的に、あまり構わないと一人で遊んでいるようになる」などと力説してくださいました。

こういったAIの技術は、ソニーはもちろんですがGAFAや中国でもどんどん発展していっています。就活生としてはそういった動きも注目すべきですか?
(※GAFA:グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンといった巨大IT企業のこと)

そうですね、どこの企業が急に出てきて、どこがライバルになるか本当に分からない時代だと思いますので、自分には全然関係ないと思って知らないふりをしているよりは、何かこれは影響があるんじゃないかなって思ってほしいです。

AIやロボットの開発競争がどんどん進み、未知の世界に突入していく中で、どんな人材を採っていきたいですか?

大坂なおみ選手の話に戻りますが、逆に「人間らしい人」

作業や計算の速さや正確さでは人間はロボットに勝てないと思いますが、重要なのは人間の好奇心やこだわり、やりきろうという感情などだと思います。

そして、見たものをさらりと受け止めるだけではなく、これができるのだったらこれもできるのではないか、このこともやってみようかと、学生さんには考えて行動するというサイクルを、どんどん回してほしいと思います

僕たち私たちが就活する中で、どういったことをニュースで知っていくことが重要ですか?

得られたインプットを自分なりにまとめることは、必ずしてください。知っただけでは表面的なとらえ方だけで終わってしまうので、このニュースとこのニュースがつながるなとか、この人とこの人の話がつながるな、というように、いろいろな情報を自分の中でつなげてみて、そこから自分の考えとしてアウトプットしてみる。
ニュースを見たときにこの作業を必ずやると、より深い気づきが得られるのではないかと思います。

NHKさんが言ってるからといって鵜呑みにせず(笑)。
いろんなメディアを比較することですかね。同じニュースを違う新聞で読むとちょっと言ってること逆だなとか思うこと結構あると思いますね、むしろそういうところを見たほうが面白いなと個人的には思います。

 

ニュースは事実を伝えている部分が前提にあって、どう伝えたいかっていう意図があると思うので、それはそれで1つの意見というかメッセージと理解して、いろいろなものを比較する中で自分の意見にしていっていただきたいなと思います。

(取材に伺ってみて)
真面目で硬い…イメージを勝手に持っていたのですが、取材に伺うと、フランクで明るくて良い意味で予想外でした。3つのニュースを通じて、多角的な視野を持つ人材が欲しいというメッセージが伝わってきました。

また、AI技術の話でも、世界的なニュースを基に流れを理解することが重要で、ジェネラリスト的な観点も重要なのだと感じました。