良品計画 人事担当者に聞く

“社会に役立つ”を考え続ける

2019年07月25日 (聞き手:工藤菜摘 伊藤七海)

「無印良品」を展開する良品計画。洋服や文房具、生活用品、食品など、私たちの暮らしに身近な商品を扱う中で、「社会貢献をする」ということを常に考えているそうです。人事部総務部の齋藤陽子さんと中村和義さんが選んだマストなニュース3本は・・・?

脱プラスチック

プラスチックのゴミが、世界中で大きな問題になっている。

(詳しくはこちらをお読みください。)

1からわかる!プラスチックごみ問題(1)

1からわかる!プラスチックごみ問題(2)

学生
伊藤

まず1つ目のニュースですが、脱プラスチックを選ばれた理由を教えて頂きたいです。

良品計画は「商いで社会貢献をする」ということを目的に掲げているので、生活者だけではなくて、生産者や地球全体にとって「感じ良いくらし」をしていきたいという思いがあります。

齋藤さん

だからこそプラスチックの問題は、他人事ではないと思って選びました。

働く「人」に惹かれて入社を最終的には決めたという齋藤陽子さん

良品計画でも色々と対応している最中です。例えば4月にオープンした「無印良品 銀座」という世界旗艦店では3つの取り組みがスタートしています。

1つ目がショッピングバッグの変更。無印良品のロゴが入ったバック、「無印良品 銀座」はすべて紙のものに変更されています。

学生
工藤

そうなんですね。

2つ目に、マイバッグをお持ちのお客様にはMUJIパスポートというアプリを通じて、マイルをプレゼントする取り組みも始めました。

3つ目は、来年からですが、外箱や、靴下などを販売する時にかけるハンガーなども紙のものに切り替える予定です。

紙に変えられないものはどうするんですか?

無印良品の考え方として、商品にする時にゴミが出ないように何かできないか、ということがあります。

中村さん

例えばボールペンが袋入りだと、基本ゴミになっちゃうじゃないですか。でも、無印の店頭のボールペンはタグシールがそのままなんですね。

裸の状態なんですね。

あとは、ベッドのカバーも簡単な紐でくくられていて、触ると素材がわかるようになっています。化粧水のボトルも箱に入っていないです。

極力無駄な資源を使わないっていう考え方は誕生した当時からあるので、全てが急にプラスチックがゼロになるのは難しいけれども、何がいちばん適切なのかは考えています。

丁寧に説明してくださった中村和義さん

プラスチックから紙に変わることで、コストは変わりますか?

正直、コストの面では、やはりプラスチックの方が安価で大量に作りやすいです。

ただ、素材の点検や包装の簡略化など、いかに工夫して商品代金に乗せないようにできるかも次の課題だと思っています。

学生はこのニュースをどのように見ていけばいいですか?

マイバッグの取り組みのように、本当に小さいことでも構わないと思っています。

大きな世界のことだと捉えるのではなく、日常生活の中でどれぐらいのプラスチックに囲まれているんだろうとか、自分ごととして置き換えられるか、日々意識してみるといいと思います。

自分ごととしてとらえると。

そうですね。スーパーでもレジ袋もらわなかったら2円引きとか、実は身近にプラスチックに関わることもあるんですよね。

ニュースを聞いて、どこに自分の影響が及ぶのか、そうしたらこの会社がこうなるのかと紐付けてみれば、ニュースが楽しく見られるようになると思います。

ネット通販の市場規模拡大と店舗の減少

経済産業省の調査で、平成30年の国内のネット通販の市場規模は18兆円、前年に比べて8.96%増加している。

一方、別の調査では、平成28年の小売業の事業所数は平成24年の調査と比べて4.2%減少している。(総務省・経済産業省「平成28年経済センサス-活動調査 産業別集計(卸売業,小売業)結果」)

2つ目の小売業界の店舗減少は、どういう意図で選ばれているんですか?

ひとつ先に聞いてみたいんですけど、いいですか?最近買い物する時って店舗で買いますか?ネットで買うことが多いですか?

ものによってはネットとか使っちゃいます。

それはなぜですか?

安いからです。あとは、忙しくて買いに行く機会もなくて。

逆に、どんなものは店舗で買いますか?

実際に見て判断しないといけないものは店で買いますね。バッグとかアクセサリーとか。自分で使ったり、つけたり試してみないと判断できないです。

わかりました。やっぱり便利、早い、安いっていうとこで、ECサイトの売り上げって一般的に上がってきていると言われていますよね。実店舗がなくなるんじゃないかという話につながる背景があると思います。

でも、実は無印良品のECサイトの売上比率は、2、3年前までさかのぼっても変わっていないんです。

 

そうなんですね。

なぜかというと、ウェブの売り上げが伸びても、店舗の売り上げも伸び続けているから比率が変わらないんです。

私たちはやっぱり店舗が主役だと思っているんですね。店舗は決して利益を上げるための売り場としてだけ捉えているのではなくて、大事にしたい理念を店頭で伝える、理念の発信点と考えています。

売り場からメッセージを発信したいと。

だからこそ、あと2~3年後を目安に300店舗ぐらい増やしたいっていう思いを持っています。

理念の発信点だけではなくて、無印に接した事がない人にどんなアプローチができるかや、地域にどうしたら役に立てるかとか、そうした可能性を考え続けています。

これぞ無印!というテーブルで話を聞きました。

具体的に店舗で工夫されている点を教えてください。

サイトを見る時って、洋服だけ見たかったら、洋服だけ見ればそれで構わないですよね。

でも店舗だったら、食品や生活雑貨を見たりとか、暮らし関係で取り扱っているものに自然と触れる体験ができますよね。そういう体験の場としての店舗であることが重要だと考えています。

私も無印では結構フロアを見て回っているかも。これを買いに行こうって決めたけど、結局、色々回ってこれもいいなと。

うれしいです。何かいいものがあるんじゃないかって期待して、足を運んで下さるお客様の期待を超えるような売り場づくりを意識した店舗であり続けたいなって思います。

広がる自動運転

自動運転と聞くと、どんなイメージを持ちますか?

大きな事故もあるので、人なら大丈夫ということではないんですけど、大丈夫かなって思います。

私は逆に、すごく未来的な感じがします。

人によって捉え方が違うと思うんですけど、我々は自動運転バスが走ることをポジティブに捉える面がたくさんあると思っています。

例えば、高齢者の方の運転が危険だと感じるニュースがあったら、高齢者が免許を返納するためには何が必要かと、逆説的に考えてみてほしいと思います。高齢化が進む町に自動運転バスが普及したら、返納する人は増えるかもしれないですよね。

無印はフィンランドで2020年に実用化を目指している全自動運転で、全天候型のバスのデザインを手がけています。人口が減り続ける中での新たな一手として、社会を良くするためのツールとして、このニュースを選びました。

現地の様子です

なぜフィンランドなんですか?

フィンランドは、公道で全自動運転バスが走ることを許可している珍しいところなんです。

写真を見ると小さいバスですよね、なんであんな形をしてるんですか?

実は前後同じデザインで、前にも、反対方向にも進めるんです。山道って細い道で、行ったら切り返さなきゃけないんですけども、そのまま行って、戻ってということもできるような、小回りが利くサイズにあえてしています。

無印には、交通機関というイメージがなかったんですけど、なぜ自動運転バスを?

良品計画は、MUJIの商品だけを生み出すことをテーマにしているわけではないんです。

社会の役に立つ、暮らしの役に立つという方向性をいろいろな立ち位置から考えたいと思っているんです。今回それが全自動運転バスに合致したということです。

学生はこのニュースを聞いて、商品の開発や店舗での販売にとらわれず、人の暮らしのためになるようなものを考えて、視野を広げてほしいということでしょうか?

そうですね。例えばさっき免許返納の話をしたんですが、それと全自動運転バスって、遠いように感じるけど、ストーリーがつながると1つの道筋に感じられると思うんですよ。

その点と点のニュースを自分の中で面にしていくように癖をつけてもらえればと思います。

なるほど。

MUJIも商品開発、店舗だけじゃなくて、何でMUJIが全自動運転バスに急に乗り出すんだろうと疑問に思ってその部分を深掘りしてくれたら、企業研究という意味合いでも、就活で役立つと思います。

オフィスのなかにある、食事や休憩、打ち合わせができるスペース。無印良品のテイストでまとめられていて、無印好きにはたまらない空間です。

どんな学生に来てほしいと思いますか?

我々が求めるのは、とにかく自ら考えて行動ができる人です。

言われたことをそのままやる人ではなくて、なぜ今自分がこれをやる必要があって、指示を出した人はどんな意図を持っているんだろう。

どういうふうにその内容を使っていくんだろうということを、自分で考えられるか、それが日々の行動から見える人を魅力的に感じます。

どうしてもSNSで自分がフォローしたもの、見たいものだけ見ることが多くなっているので、自分で考えることは確かに大事だなと思います。

学生さんとお話をさせて頂く機会もあるんですけど、最初から答えを求めてしまう傾向が強まっていると思います。

自分で考えて道筋を立てるんじゃなくて、まずゴールを教えてくれないと動けませんっていう人は多くなってきてると感じています。

そういうとこ、あるかもです。

そうじゃなくて自分の想像力、頭を動かすっていうところを諦めないで、いかに行動し続けられるかは、今から意識してできる行動かなと思います。

たとえばよく「ガクチカ」とかって言われますよね。学生時代1番頑張ったこと。すごく皆さんテンプレートのように、上手に話します。

でも我々が知りたいのはなぜ頑張ったのか、そこで何がいちばん大変でどう乗り越えたのかなんです。でも、ちょっと突っ込んでしまうとフリーズしちゃう学生が多いかな。

我々は、テンプレートな質問じゃなくて、例えば、「サークルで代表しています」ときたら、「あなたのサークルの代表としての色とか特徴ってなんですか?」

「なにをいちばん気をつけているんですか?前の代表と比べてどんな違いあると思いますか?」って。

そういう質問をするんですね!

その人がどんな人なのか、だから今こういうふうになっているんだということを聞きたいんですね。

全く予期せぬ質問がきたときに、生き生き話せる人とそうじゃない人って明らかに違いますね。

常にポジティブに主体的に取り組んでいれば、何を聞かれても自然と笑顔で話せると思うので、ぜひ1個ずつ、自分で言葉にする癖をつけるだけで、全然違うと思いますよ。

話はここから齋藤さんが入社した理由に・・・

齋藤さんは入社何年目になりますか?

9年目ですね。

なぜ、無印に入ろうと思いましたか?

もともとこれがやりたいという、明確な意図があって良品計画に入社したわけでは正直なかったんですね。でも良品計画で働く「人」に惹かれて入社を最終的には決めました。

私は学生時代に頑張ったこと、皆さんが言う大好きな「ガクチカ」(笑)でいうと、留学してないし英語もしゃべれないんですね。やっていたのはゼミ活動とアルバイト、ものすごく普通の活動をしていて、仕事は必死になって誇りを持ってやりきれる仕事がしたいなって考えていました。

そうした時に良品計画で出会った社員の人たちが、皆さん志を大きく持っていて、MUJIをもっとよくしたいっていう誇りを持って向き合っている姿に強く惹かれたので、入社することに決めました。

入る前と入ってからはギャップはありましたか?

うーん、ないですね。

ない!

面接の最初から入社して今まで9年間、違和感を感じる事がなかったです。自分がいる姿を想像することが面接の時からできた唯一の企業だったので。

へえー!

入ってからも、「あ、なんかもっとこうしたいな」って思うことはあっても「こんなはずじゃなかった」というのは今までないですね。

伝えたことをすごくフラットに、素直でいい考えだよねって受け止めてくれるような懐に、自分の居心地の良さを感じていったという感じですね。

会社ってたくさんあるので、自分に合う会社を選ぶのはすごく難しいと思うんですね。

でも偽った姿で入っても偽りの自分を何十年も続けることって絶対できないと思っているので、本当にウソ偽りない自分のありのままの姿をいいよねって言ってくれる会社と出会ってほしいと思うし、皆さんにはウソ偽りない姿を見せてほしいというふうに強く思いますね。

 

自分らしくいるって、就職活動で難しいですよね。私も少しでもいい自分を見せたいって思っちゃうんで。

そうだと思います。だからそれを出す勇気みたいなものは、持ってほしいと思いますし、それを良いと思ってくれる企業は絶対あるはずなので、偽らずに臨んでほしいなと思います。