教えて先輩!ヘッドハンター中田莉沙さん

転職市場で求められる人材ってどんな人?

2020年07月31日
(聞き手:伊藤七海 佐々木快 白賀エチエンヌ)

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ヘッドハンターってどんなイメージですか?中田莉沙さんは25歳の若さで、転職サイトが主催したヘッドハンターイベントで「IT・インターネット部門」のMVPを獲得。年間500人以上に会うという中田さんに、転職市場で求められる人材について聞きました。

ヘッドハンターってどんな仕事?

学生
白賀

まず、現在の仕事について教えていただけますか?

はい。スタートアップの企業を人材の面で支援しています。

中田さん

日本のスタートアップ、成長産業といわれる企業への投資額は、どんどん増えているんです。例えば、メルカリとかが、すごく想像しやすいと思います。

勢いがありますよね。

フォースタートアップス 中田莉沙さん(25)
2019年度 IT・インターネット部門MVP ヘッドハンターに

でも投資額と比べて見合う人材が足りているかというと実はそうではなくて。

「ヒト・モノ・カネ」のバランスがすごく大事なのに、今は「ヒト」が大きく欠けていると思っています。

学生
伊藤

人がいちばんの課題なんですね。

企業が大きくなると必然的に人が必要になってきますが、実際の転職ではみんな大手や外資系を見ていて、スタートアップはあまり視野に入っていないことが多いんです。

私の仕事は、「会社のビジョンを達成するためにはどのような人が必要か」、「会社を変えうるような人材はどういう人か」を起業家の人たちとディスカッションして探しに行くことです。

なるほど。

うちの会社ではヘッドハンターではなくて、人の「資産」という意味で、ヒューマンキャピタリストと表現しています。

距離をとって取材をしました。

どうやって人を探すんですか?

例えばビズリーチさんなど、転職希望者が登録しているサイトのデータベースを使うこともありますし、あとは友人からの紹介もあります。

学生
佐々木

今はどんな人にアプローチしているんですか?

いろんな人にアプローチしていますが、やはり物づくりをする人、サービスをつくる人はすごく大事ですね。

皆さんもスマホでFacebookやInstagramを見ると思いますが、やっぱり作る人が必要じゃないですか。

開発メンバーがいるか、いないかで資金調達が決まるくらい大事なので、エンジニアには注力してお会いしています

会えば3分でわかる

年間でどのくらいの人に会うんですか?

具体的な数はわからないですけど、たぶんこの会社にいたらイベントで会う人も含めて年間500から600人くらいかな。

すごい・・。面談では、どれぐらいの時間話すんですか。

一応面談は1時間なんですよ。その1時間で知ろうとする努力はします。

中田さんの主な1日のスケジュールです。

ただ、うちの会社でも結構みんな、「会って3分くらいでわかる」って言いますね。

そんな短時間で・・

じゃあ僕らも、もう見透かされているかもしれないですね(笑)

やっぱりその人の第一印象って、後に引きずるじゃないですか。

印象や質問の仕方とかね。話をしてみるとその人の大事にしている部分とか、常に思ってることは発言として出てくると思うので。

そうなんですね。

自分の大事にしているものは自然と言葉に出てくるなと感じますね。

会ってから採用するまではどれくらいかかるんですか?

スタートアップの場合、スピード感もほかの企業と全然違っていて、1週間で社内のニーズが変わることもあるんですよ。

なのでニーズが出た段階でお知らせいただいて、そこから探し始めて1か月で採用ということもありました。

スピード勝負なんですね。

そうですね。どういう人を採るかでも、会社が成長できるスピードは変わってきます

起業家が何を考えて、何を目指していているのか伝えるのが本当に大事で、起業家の思いを代弁できるように、日々勉強するよう心がけています。

キラリと光る人は、どこが違う?

中田さんが、「この人はキラリと光る」って感じるのってどんな人ですか?

自分が大事にしているものを分かっている人には感じます。でも意外といないんですよね。

えー。そうなんですか?

自分のやりたいことを明確にするというより、自分にとって何がずっと大切にしている価値観なのかで良いと思うんです。

そんなにやりたいことあったら、みんなやってるよ!と言われるかもしれませんが(笑)

たとえば、先日会った人は、「会社の中で自分の意見が通り過ぎちゃうのが怖いんです」と話していました。

どういうことですか。

やりたいことはできるかもしれないけれども、本来だったら上手くいかない提案も通ってしまう可能性があることを心配していて。

今のままでは自分の成長にもストッパーがかかってしまうし、会社もより良くならないと思うんですよねって。

そんな風に考えるなんて、すごい利他主義で自己成長意欲が強い人じゃないですか。

たしかに。

このように、人って好きなことよりも、自分が嫌に感じることのほうが分かりやすいんですよね。

あとですね、何に怒りを感じるか、とか。たぶん大事な守りたいものがあるから怒るじゃないですか。

自分のビジョンがある方だと、こちらとしても、「この起業家と合いそうだな」とかすごくイメージしやすいんです。

行動する勇気を

求められる人材ってどんな人ですか?

ソフトの部分で申し訳ないんですけれど、やっぱり行動する勇気のある人だと思うんですよね。

今の時代、コロナとかで世の中も、もうどうしていいか分からないって感じじゃないですか?

この先どうなるか想像できないですね。

そこに対して自分なりの仮説を立てて、それに対してどう行動できるか

例えば就活もそうで、第1志望だと思っていた会社が、実際触れてみると全然違いましたってことがあると思うんです。

それって、ちゃんと行動したり、人に会ったり、自分でよく調べた結果として、最終的に分かることなので、やっぱり行動する勇気って本当に大事だなと思います。

自分から動くことが大切なんですね。

ことわざみたいな話になっちゃいますが、やっぱり100回誰かに聞くのと、自分が1回行動してみるのは全然違うと思うし、行動する裏には勇気が必要だと思います。

会社でよく言うのは、「率先して自分が前に倒れる人」には、みんなついて行くよねって。

前に倒れる人…?

例えば、お化け屋敷で先導していける人とかですかね。一番先頭にいる人って、「わあ!」ってやられた時いちばん衝撃を受けるじゃないですか。

はい。

でもそれを顧みずに仲間のために動けるかっていう。例えになってるか、ちょっとわからないですけど(笑)

特にスタートアップは未来が分からない部分も多いと思いますが、それに対して自分で言ったことを有言実行していくというか。

常にチャレンジし続ける人は、信頼を得ていくんじゃないかと思いますね。

かっこいいですね。

起業家やスタートアップ界わいでは、直近では「キングダム」や「梨泰院クラス」がはやっています。

本当に仲間というか、お互いに背中を預けられるような人たちと働けるんで、やっぱりそういうのはなかなか他にはないんですよね。

中田さんとフォースタートアップスの仲間たち(緊急事態宣言前に撮影)

後編では、中田さんがヘッドハンターになった理由、そしてこれから社会人になる大学生に向けてのアドバイスをうかがいます。

 

大学を中退し起業したバラ農家 田中綾華さんの記事は、こちらからご覧ください。

キリンのSNSの中の人 山崎真理子さんの記事は、こちらからご覧ください。

 

編集 成田大輔

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