教えて先輩!バラ農家 田中 綾華さん

#農業女子26歳の“バラ色の人生”

2019年11月06日 (聞き手:伊藤七海)

自分の好きなことを仕事にするのって、どう思いますか?そんな夢を実現している人がいます。大学を中退して、なんと農業の世界に飛びこみ、活躍している田中綾華さん(26)です。夢も希望もなく普通の女子大生だったと話す田中さんが、農業で起業することになったきっかけとは。

食べられるバラ その味は?

学生
伊藤

きょうはよろしくお願いします。さっそくですが、食べられるバラ・・・。

はい、おすすめは上の方です。食べてみますか?

田中さん

いただきます。うわっ、おいしい!

なんかTheバラって感じですね。後味がしっかりきて、鼻に抜けるような感じで。

秋になるともっと香りが強くなります。

なかなかバラを食べようとは思わないじゃないですか。食べられると知ったきっかけは?

バラが元々好きだったんですけれど、大学1年生の時に母が「食べられるバラがある」って教えてくれて、すごくワクワクしたというか、無限の可能性を感じたんですね。

朝起きてバラ農園で一日をスタートするのって、幸せだし最高じゃんって。

田中さんは、通常は5年かかるといわれる新品種の開発に2年で成功。自ら会社を立ち上げ、無農薬の「食べられるバラ」を栽培。ジャムやお茶、化粧品などの開発にも乗り出しています。

今は、食べられるバラの栽培と商品開発。加工食品と化粧品の販売。それに自社ネットと法人営業、広報は全部統括しています。

すごく多岐にわたっていますね。

実際に化粧品を自社で作ったりできているので、すごい達成感がありますよ。(笑)

好きを仕事に!

なぜバラを仕事にしようと思ったのですか?

自分の好きな事を仕事にしたいと思ったんです。人生を考えたときに、一日の相当な割合を仕事が占めますよね。それが楽しくなかったら、プライベートな時間も楽しくないだろうなって。

大学時代に夢とか目標が特にあったわけではないんですけど、その時に好きだったのがバラだったんです。

「留学するから、休学する」っていう話は周りでもよく聞きますが、大学を辞めるのはすごい決断だと思ったのですけれど。

1秒でも若いうちに早く習得したいなと。頭が柔らかいうちに習得して、一人前になりたいなって思っていたんです。

家族に農家はいないのですが、農業の世界ってやっぱり知識と経験が何より重要視されるというのを感じていて。

周りから反対はされませんでしたか?

反対されましたね、とても(笑)

それでもやるんだ、と。

そうですね。それまでは、勉強しないでラクして遊んで、美容と彼氏とファッションと、そんな話しかしていなかったし。逆に夢とか目標を語っている人たちを見ると、ダサくない?みたいな。

でも、それってただのひがみだなと思って。

大学時代の田中さん

大学にいても、農業にどう活かせるかというビジョンが描けなかったので、時間を浪費するよりは、早いうちに農業をやろうと思いました。

なんで起業しようと思ったのですか。

もともとは起業するつもりはなくて、普通にバラ農家で働いていたんです。

でも食べられるバラの良さを、SNSとかでどんどん広めていきたかったんですね。バラ好きとして。

大阪のバラ農家で修行していたころの田中さん

ただ、私が働いていた農家の人たちは、情報発信にすごい消極的で。このままだったら、バラの可能性がここで終わっちゃう。だったら自分でやろう!っていう感じでした。

起業して失敗したことはありますか。

2年ぐらいバラを学んで、もう知識がついていたと思ったんですけれど、バラが全滅しちゃって、3000本ぐらい。自分の知識不足でね。

農家って作物が育たないと売るものがないので、もうお金的にもヤバイって感じで。

大変ですよね。起業するっていうのは。

起業するのは全然大変じゃないんです。続けるのが大変ですね。私、バラを枯らしてから、農業の専門学校みたいなところに入ったんです。

専門的知識を入れなくちゃならないと。

それでも、楽しいですね。好きだからっていうのもありますし、成長しているのを知識で測れるので、達成感がありましたね。

農業学校在学中には、学生起業家のビジネスコンテストに出場

「好き」を仕事にする秘けつ

田中さんは今年8月に東京・南青山に初の直営店をオープン。大学を中退してから6年、今では年商1億円を超える企業に成長した。

好きを仕事にするって、みんなできればそうしたいと思うんですけれど、難しいじゃないですか?

好きを仕事にするのは、すごくいいことなんじゃないかな。自分でその道を選んだので、その分、他人のせいにしないというか

「上司がムカつくから、この会社辞めたい」となるのは、その仕事が好きじゃないからじゃないかな。好きだったら、「なんかムカつくけど、仕事好きだからやる」って思うんですよ。

好きを仕事にするっていうのは、すごくポジティブになれるし、あとはやっぱり豊かになれるって思っていますね。

情報は“お金” 伝えることの大切さ

田中さんのある1日のスケジュールを教えてもらいました。

色々なSNSを使っていますね。

インスタは女性が追いかけているものを見るために使ってます。フェイスブックは先輩の起業家とかの投稿を見て勉強させてもらったり。

ツイッターは、時事ネタとか自分が気になった問題に対して、みんながどう思ってるのか検索して、価値観の幅を広げるために使っています。

ユーチューブで一番よく見るのは、やっぱり美容のチャンネル。どういう風にお客さんに伝えれば分かりやすいかなとか、どういう言葉が刺さるかなとか。

あと、落語のチャンネルしゃべり方とか、間とか、抑揚とか。長い歴史がある分、それだけ多くの人たちを感動させているものなので。

田中さんにとって、情報って何ですか。

うーん・・・、情報とは「お金」かな。

お金? どういった意味でしょうか。

情報って持っているだけじゃ何の役にも立たないというか。でも、持っていると安心できるし。情報もお金も使うことによって価値が得られるかな。

自分が情報を発信する時には、受け取る人にとっては有益な情報は何か、相手が何を望んでいるかを考えているんです。

インスタはどちらかというと普段の自分、女性の農家・起業家ってこんな風に毎日生きているみたいな、リアルが見えればいいかなって。

ツイッターはビジネス寄り、フェイスブックはもう仕事のためという感じで。相手が何を求めているか、あと自分をどう見せたいかによって、発信する情報を変えていますね。

常に読み手を意識して、発信しているんですね。

お金も情報も、生かすも殺すも自分次第と思っているんです。両方ともにすごい大切だからこそ、自分のためや他人のために使ったり。

あっ、でも、めっちゃガメツイって思われません?大丈夫かな、お金とか言わないほうがよかったかな?(笑)

田中

大丈夫だと思います(笑)

若い世代が農業を変える

なんか農業のイメージが変わりました。よく見ると服装も農家っぽくない感じですよね。

このオーバーオールも表参道で買ったものです。せっかくなら、かわいいものを着たいっていうか。うちの会社、ほとんどが女性なんですけど、みんな普通におしゃれしています。

でも、ヤバい日があるんですよ。剪定作業や苗を植える作業、めちゃくちゃ力仕事なんですよ。そのときはみんなガチつなぎで、みんなすっぴん(笑)

力仕事は女性が多いと、やっぱり大変ですか。

意外とできるなというのもありますね。正直、時間はかかっちゃうんですけれど、でも、できなくはないという。

田中さんと従業員の皆さん

9月に行われた「マイナビ農業アワード」で最優秀賞を受賞した田中さん。高齢化が進む農業の世界で、6次産業化を進めていることが評価されました。

 

※6次産業化 = 農業や漁業などの1次産業に従事する人が、食品加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)にも取り組み、価値を高めること。1×2×3=6から名付けられた。

マイナビ農業アワードの授賞式

これから農業界をどのようにしていきたいですか。

農業に後継者がいない理由の一つは、儲かっていないからなんです。なぜかって、自分たちで値段を決められていないから儲かっていない。

いいものを作ったら、ブランディングして付加価値をつけて、ちゃんと適正価格でモノを売る。そういう仕組み作りをしたいというのが私の目標です。

若い農家さんとよく交流していると、色んなことをやって発信している人が本当に多いです。

例えば、農業と農作物体験と音楽フェス。キュウリを買って、みんなで料理して、夜みんなで踊ろうぜみたいな。

すごい、エネルギーが。

農家自体が甘えちゃいけないと、自分自身で喝を入れていて。農家自身の工夫もまだまだできる。

これから5Gの世界が来るじゃないですか。動画がもっと盛んになるなと思っていて、そこで1番勝てると思うのが農業だなって思ったんです。

消費者の方って農作業を見る機会が少なくて。でもどうやってものができて、誰が作ってとかを動画で配信すれば、1番響く。

農業って、アナログから抜け出して、情報発信っていうのがポイントになってくる1番の産業じゃないかなと思っているんです。

仕事は幸せの手段

改めて、田中さんにとって仕事とは?

「幸せの手段」かな。私は好きなことを仕事にして、色々な価値観がえられたと思っているので。

結婚しても仕事は続けたいと思っているし、だからこそ幸せの手段かな。

何をやればいいか分からない人たちはどうすればいいでしょうか。

自分自身が幸せになるための、幸せの逆算をして欲しいなと思いますね。

幸せの逆算・・・ですか?

幸せって人によって定義がすごい違ったりとか、価値観が違ったりすると思うんですけど、自分自身の幸せって何だろうって深掘りしていって、そのためにはどうすればいいだろうって。

夢とか目標がない人でも幸せになりたいとは思っていると思うので、自分の感じる幸せってなんだろうって逆算してもらえれば、近道になるんじゃないかな。

田中さんは、他の選択肢はありましたか?

自分が学生の時に想像していた職業はOLだったんです。大人の職業といえば、OLだと。

でも、やっぱり価値観は年々変わってくるし、世間を知らなすぎた、世間知らずだったというのはありますね。

起業に興味がある学生に向けて、一言お願いします。

どんどん起業して欲しいなと思います。早く仲間になろうよって。人生は有限だから。

自分が何をして世界に対し、何ができるのかっていうのは起業家になってえられた価値観。なので、どんどん挑戦していって欲しいなと思います。

ありがとうございます。お話を聞いて、パワーをもらった気がします!

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