教えて先輩!早大ラグビー部 後藤翔太さん【後編】

新型コロナの時代だからこそ 仕事選びの考え方は

2020年07月28日
(聞き手:石川将也 勝島杏奈 佐々木快)

早稲田大学ラグビー蹴球部コーチの後藤翔太さん。後編では、社会に出て行くうえでの心構えを聞きました。これまでの“人のつながり”があるから今がある、誰かの役に立つことを…。常に仕事探しをしているという後藤さんの思いとは。

勝つためには戦略

学生
勝島

大学時代の4年間で学んだ事とかそれが今に生きていることがあれば教えてください。

屋外の風通しの良い場所で距離を空けて取材しました。

例えば会社の場合は、全ての会社で黒字というのがあり得る。でもスポーツの場合はすべてのチームが勝ちってありえない。

後藤さん

最後に勝ったチームだけが勝ちで、それは以外全部負けってところでいくと、僕は戦略性という事を学びました。

早稲田に来る選手は一学年、推薦は多くて5人くらい、残る25人は一般受験で入ってくる。僕たちの時代ももちろんそうでした。

選手の素材…会社で例えると資本、でいうとボロ負けですよ。それでも日本一になるためにはどうするかって言ったら、もう頭振り絞って戦略を描くしかない。

戦略を描くとどうなりますか?

こういう風に勝っていくんだってイメージが出来る。すると人は動くし、自分の想いとかエネルギーとかも強くなっていくんです。

学生
佐々木

やっぱり日本一は、ほんの一握りの人間しかなれないと思いますが、どういう人がトップに上りつめられますか?

僕は運よく日本一のチームに居られましたがそもそも論でいうと、日本一がいいのかっていう話ですよ。

日本一になることが必要なのかって僕はまず考えてます。日本一になるってことは他の全てのチームを負けさせるっていうことですね。

悪い感じがします。その言葉だけを聞くと。

でしょう。自分たちは勝ちたいから、「どうしたら相手のシステムが崩壊するのか」「何が欠点なのか」、徹底的に分解するわけですよ。

その過程で、チームは1つになっていく。何かのターゲットに向かっていくことによって自分が変わっていくことを感じるとかね。ということに、僕は価値があると思うんですよ。

就活はマッチング

就職ではどうでしょうか?

就活で希望の会社に行けないから何なのって思うんですよ。そもそも会社は、誰かが作った枠で外側だけでしょ。

その前にもっと言うと、仕事って誰かの役に立つって事じゃん。自分が何の役に立てるのかなっていう事をもっと考えとかなきゃいけないと思います。

そもそも希望の会社って何だろう…皆さんの希望と作った人の希望は絶対違うと思うよ。就職活動に「受かる」「落ちる」ってただ自分の考え方とその会社がマッチしてなかったというくらいの話でね。

会社に受かることが目的ではないですよね。

今の仕事は先人のつながり

学生
石川

「誰かのために」っていうのが印象的だったんですけど、その原動力ってなんですか?

ことし1月、新国立競技場で5万7000人、超満員の中で試合をしました。

全国大学ラグビー選手権 決勝 VS明治大(2020年1月 新国立競技場)
 

優勝したときにだけ歌える「荒ぶる」という歌を歌っている姿を11年ぶりに見た時に、明らかに自分たちだけじゃ作れないって思ったんですよ。無理ですよね。5万7000人集められますか?

集められないです…。

早稲田でいうと、これまでの人が作ってきた100年の歴史の上に、僕自身は、乗っけてもらえているんだっていうのをすごく感じました。

会社にしても、誰かが作ってきてくれた会社があるから仕事を作れるんでしょ?ITだって、そもそもネットワーク環境を作った人がいて、機械を作った人がいて、今までの人たちが築いてきた歴史があるから。利己的でいいはずがないんです。

生きてる上でもそうですよね。

そう。自分で何かやってるように見えて、実は本当にいろんな人たちが築いてきたものの上に乗っかってる。

レギュラーの選手だけでなく全ての部員が大切という事にもなりますね。

彼らにとってここにいるって時間は有益な時間だと思う。試合に出られる選手だけがいて、試合で勝てる選手だけいればいいとか、一つもない。

ここにいる選手みんなが大事だし、その人たちがいろんな事を考えて、いろんな思いを持ちながら自分なりにしっかり答えを出していく。それで次に進んでいくことが大事かなと、思います。

後藤さんにとって仕事って一言で言うとどういう事ですか?

これまで社会を築いてきてくれたいろんな人たちから“プレゼント”してもらってるんですよ。

で、そのプレゼントされたものを何かで今度返そうということかなと思っています。

すべての人が天職のように思えますね。

プレゼントするって素敵なことですよね。価値観変わります。

僕の場合でいくと、この選手たちに大学4年間を通じて次のステップにいったときに、よかったなっていうふうに思ってもらうってところが僕ができる事だと思います。

後藤翔太さんの1日のスケジュールです。ミーティングが4回も。他のコーチなどと選手1人1人のケガの回復、課題、調子を把握し、情報を共有して次に生かすためです。

後藤さん「選手の成長スピードを速めるために見つかった課題は
すぐに修正しないといけません。『後でいいや』ではだめです

今、コロナ禍の時代に就職するとしたら

今、新型コロナで大変な状況ですけど、この時代に後藤さんが大学4年生だったら、何を考えて世の中に出ていきますか?

僕の今のイメージのまま、大学時代に戻れないから。でもこのまま戻れるんだとしたら・・・「大きな船には乗りたくないな」と思うかもしれない。

大きな船ですか?

今回のコロナで、そもそも地球とか国とかどうなるか分かんないじゃん。この船に乗ったから安心とか、そんなのは全くないと思う。

だってコロナで国の経済が止まるなんてほとんどの人は知らなかったと思うし、国も経験したことがなかったと思う。ここで下す決断が、正しいかは分からない。

そうですね。

僕は会社に入ることは悪くないと思うけど、大きな会社小さな会社どちらにせよ、自分がこれからする意思決定がこれでいいのかどうか。

世の中のいろんな環境を見ながら、しっかり判断して自分なりの答えを出していく必要があるなと強く思っている。

その意思決定がさらにほかの人に、どう役に立つかってことだよね。

めちゃくちゃ勉強になりますね。

そんな質問されたことなかったから正解かどうか分からないけど・・・。

自分で正解は作んなきゃいけない。でも未来永劫、それは、正解とは限らない、正解じゃないという事も分かっておかないといけないと思います。

僕の方が就活生

では、最後にこれから社会に出て行く全ての学生へ一言お願いします。

これかな。自分への問いでもあるんです。僕も同じなんですよ。常に仕事探しをしてると思ってるんで。

何ができるんだろうっていうのは、常に考えています。そういう意味では僕は皆よりもっと就活というか、仕事探しをしてる自信がある。

常に僕は誰かの役に立つように何かしていかなきゃいけなし、続けなきゃいけないじゃないですか。それができる場を探し続けるのが就活生でしょ。就活(仕事探し)が終わりとかよく分からないよね。

〈取材後記〉

取材のあと後藤コーチからこのようなエールが届きました。

「遠いところ、グラウンドまでお越し頂きありがとうございました。生きているとこれからもたくさんの困難や壁にぶつかることがあると思います。でも、その困難の壁が高いほど、乗り越えた数が多いほど、深みのある魅力的な人になれるんだと思っています。この先、荒波が待っていると思いますが、皆さんなら全て乗り越えて行くんだと思いました!皆さんの将来を心から楽しみにしています!」

編集:松井晋太郎

 

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