目指せ!時事問題マスター

1からわかる!南海トラフ巨大地震(番外編)備蓄ってどうすればいいの?

2022年05月24日
(聞き手:白賀エチエンヌ 本間遥)

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いつ起きてもおかしくないと言われている南海トラフの巨大地震。「備えあれば憂いなし」とまではいかなくても、せめて、最低限、必要なものはそろえておきたいところです。でも、何をそろえれば良いのかよく分からない…。そんなギモンにこたえる「番外編」です。

防災対策ってどうすればいいの?

学生
白賀

僕は一人暮らしをしているですが、防災グッズを備えていません。防災対策、何から始めるべきですか?

まず、知っておいて欲しいのが、防災対策は「不意打ち前提」であるということです。

島川
デスク

学生
本間

不意打ち前提?

現在も地震に関するさまざまな研究が進められていますが、いつ、どこで、どのくらい揺れるのかを特定する「予知」ができるまでには至っていません

地震の予測はどこまで可能なの?「1からわかる!南海トラフ巨大地震(3)予知はできるの?」で詳しく説明しています。

ただ、南海トラフの巨大地震は、本当にいつ来てもおかしくない状況だと言われています。

だから、「不意打ち」で地震が来ることを前提に対策を進めておく必要があるということなんです。

教えてくれるのは、社会部・災害担当の島川英介デスク。各地の災害現場で取材を続け、現在は災害ニュースや緊急対応の取材指揮を担っている防災・減災報道のスペシャリストです。

水や食料が必要だということは想像がつきますが…実際、何をどれくらい用意すればいいんですか?

国は1週間分の備蓄をと呼びかけています。

大地震が起きたら、なかなか救援物資は届かないし、避難所にいっても必要とする食料などが足りていないことが想定されます。

だから、個々の家庭であらかじめ、備えておくことが必要なんです。

1週間分の水や食料を、と言われるとちょっとハードルが高いかも…。

そうですよね。

ローリングストックってことば聞いたことありますか?

ローリングストック??

ふだんから、食材や加工品をを少し多めに買っておくんです。

それを、備蓄したままではなく、定期的に消費しながら、常に、非常食を確保しておく方法です。

ただ備蓄しておくのではなく、食べて消費して、それをまたちゃんと買い足しておくんです。

これなら、気付いたら賞味期限切れ、なんてことも減りそうですね。

そう。飲み物やレトルト食品、缶詰など、ふだん使うものをちょっと多めに買って、使って…。そういうサイクルをつくるんです。

こういうふうにすれば、ちょっとは備蓄のハードルが下がりますよね。

これだったら、できそうな気がします。

マストなアイテムは?

ちなみに、これだけは絶対備蓄しといた方がよい、というものはありますか?

は、やっぱりないと困りますよね。

飲み水としてだけではなく、トイレや洗濯をする時にも必要となりますから。

電気・ガス・水道などのライフラインが絶たれた時にどうするかっていうことが、必要な備蓄を考えるうえでのポイントになります。

停電と断水になると、トイレは使えませんよね。我慢すると、体調を悪化させて深刻な事態につながることもあるので、携帯トイレは重要です。

なるほど。

もちろん、家族構成によっても必要なものは変わってきます。

たとえば、小さい子どもがいたらミルクをどうしよう、ということになりますよね。

粉ミルクだったら水が必要ですが、温めようとするとコンロも必要になってきます。

ですので、液体ミルクを用意しておくと便利かもしれません。

たしかに…。

あとは、お風呂に入れないことを想定して、体をふくウェットタオルとか、水のいらないシャンプーなど。

携帯電話が使えなくなるおそれがあるので、情報収集のためのラジオもあると便利ですね。

ほかにも、モバイルバッテリーなど、少し考えてみたら「あったらいいな」「ないと困りそう」というものがたくさん出てくると思います。

起きた時をイメージして、自分に何が必要かを考えることが大切なんですね。

どういうものが必要なのか、こちらの記事にも詳しく載っています。

「災害に遭う前に 生活のために備蓄しよう」はこちらから

そうですね。災害が起きた時をイメージするための手段として、「防災小説」という取り組みがあります。

防災小説?

自分を主人公にして、災害が起きてから避難するまでを物語で書いていく取り組みです。

いろいろなやり方があるんですけど、例えば「助かる」という前提で、自分の家から避難所までの道のりを想像してみてください。

この道は、崩れていて危ないから通れない。

ここの住宅密集地では、火事が起きるかもしれない。

避難所には、食料がないとか、冬だと寒いだろうとか、さまざまなことが想像できると思います。

たしかに、いろいろなことが思い浮かびます。

大地震が起きたときに、自分の身に何が降りかかるか、イメージして書き出してみる。

そうすると、今の自分にとって必要なものとか必要なことが分かってきますよね。

日頃からの意識が大切!

また、ふだんからのちょっとした心がけによって、地震の被害に遭うリスクを下げることもできます。

どうすればいいんですか?

モノを、地震の揺れで落ちるようなところに置かないとか。

これ、小さなことように見えますが、大地震では、棚から落ちてきたものに当たって、けがをするケースも結構あるので、大事です。

また、家具の対策も重要です。

寝室の家具が自分たちの寝ている場所に倒れないようにするとか、出入口をふさがないようにするとか、ちょっと、家具の配置を見直すだけで、リスクがかなり下がるケースもあります。

また、倒れそうな家具はぜひ転倒を防ぐための器具を取り付けて欲しいです。

なるほど。

南海トラフの巨大地震では、広い範囲で震度6弱や6強といった激しい揺れになります。

こうした地震が起きた時に、タンスなどの下敷きになってもなかなか救助は来ません。

また、棚やものが散乱して出られなくなると、津波や火災などからの避難ができなくなることもあります。

自分の暮らしている場所を日頃から確認しておくことが大切なんです。

こうした取り組みは、そんなにお金をかけなくてもできますね。

はい。特別なことをして備えるというよりは、まずは、普段のちょっとしたときに、自分や家族の大切な命を守るためにどうしたらいいかを考えることから始めてもらえれば良いんだと思います。

常日頃から、防災について考えておくことが大切だということですね。

自分の防災意識を見直すきっかけになりました。ありがとうございました。

編集:岡野宏美 撮影:石川将也

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