この記事へのコメント

前回から続いて「遺産分割協議書」の作成と並行して、新年は「法定相続情報一覧図」というものの作成からスタート。これがまたとんでもない苦労で・・・。

この記事の最後に、私が専門家や行政に取材してまとめた「相続手続きの一覧表」を掲載しました。ぜひご活用ください。

「法定相続情報一覧図」とは?

金融機関の口座解約の手続きや、相続税の申告などをするときには、

①亡くなった人の、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本と、
②相続人全員の戸籍謄本が必要だ。

「法定相続情報一覧図」とは、これ1枚で手続きのたびに、①②の戸籍謄本を揃えて持って行かなくてもいいというもので、2017年に制度が導入された。

法務省のサイトで配布している「法定相続情報一覧図」の例

「法定相続情報一覧図」の作成は、自分で法務局のホームページ(NHKのサイトを離れます)からダウンロードして必要事項を記入すればOK。

必要な書類を揃えて法務局に提出すれば「法定相続情報一覧図」の写しが一週間ほどで交付されるという。「結構簡単かも…」と、そのときは思った。

【相続手続き・生前に「ファミリーヒストリー」を聞いておきましょう!】

なぜ生まれてから死ぬまでの戸籍謄本が必要なのか。法務局の担当者に聞くと「相続する際に、他に相続人がいないかを確認するため」とのこと。例えば、本人も知らないきょうだいがいるなど、現在の家族のほかに相続する人がいる場合もある、ということ。

父の場合は生まれたときの戸籍は隣の町の役場にあったので、母に取りに行ってもらいすぐ入手することができましたが、遠方の場合は郵送してもらうため、入手するまでに時間がかかります。

またどこで生まれたのか、そして今住んでいるところの前に転居した過去を知らないと、「生まれてから亡くなるまでの戸籍」を集めるとき、現在の戸籍から順に探っていくことになって手間も時間もかかるので、元気なうちに「ファミリーヒストリー」を聞いて記録しておくといいと思います。

結局これだけ書類が必要でした

■2021年1月19日(火)

パソコンで作成した「法定相続情報一覧図」と必要書類を揃えて、いざ法務局へ!

これまでの苦い経験から、念のため出かける前に法務局に電話して必要書類を確認すると、一覧図に住所を記載する場合は、相続人全員の住民票も必要なことが判明。

法務局へ行く前に母と弟から委任状をもらって、それぞれが住む自治体の役所に行って住民票を取ってから法務局へ。

しかし…!父が生まれてから亡くなるまでの戸籍は「除籍謄本」だけでいいと思ったら、「すべての戸籍謄本」が必要だった。いきなりやり直し。

さらに作成した一覧図で住所の欄に「15-5」と記入したら、

住民票どおりに「15番地の5」と記入しないとダメです

と、こちらもやり直し。よく見たら「住民票のとおりに記載」と書いてある…(涙)。

ちなみに父の生まれたときの戸籍を見ると明治23年からのもので、びっくり。曾祖父が「戸主となりたる原因」が「前戸主の隠居」で、その前戸主は天保生まれで、当時は続柄が戸主の妻以外は「妻」ではなく「婦」だったり。
また親戚の人たちも「こういうつながりだったのか!」とわかるなど、まさにファミリーヒストリーで面白い!でも肝心の手続きは進まない(汗)。

「天保」の文字が

■2月9日(火)
久しぶりの平日休みなので「法定相続情報一覧図」のリベンジ申請に行こうと思い、提出する書類をもう一度確認したら、「被相続人名義の不動産の有無」という欄を発見。

「有り」の場合は、「不動産所在事項、または不動産番号が必要」とあるので法務局に電話したら、やはり記入が必要とのこと。土地も番地まで正しく記入しなくてはならないので、今日行くのはあきらめる(1回目の書類チェックで気がつけばよかった…)

■3月1日(月)
父が亡くなって半年。仕事で新年度の準備などに追われていたらあっという間に3月。
年度内に相続手続きを終わらせるために、久しぶりの平日休みは「法定相続情報一覧図」再提出のため法務局へ(2回目)。

「今度こそ完璧!」と思ったらまた書類確認で父の、結婚して作った際の戸籍が抜けている、と指摘される(涙)。

また別の日に法務局に来るのは嫌なので、その足で実家のある役場へ行って、抜けていた分の戸籍を取り、再び法務局へ(3回目)!

ようやくすべての戸籍を書類の不備もなく受け取ってもらえた!

うれしかったので法務局の前で記念写真

結局、父の「生まれてから亡くなるまでの戸籍」は4通だった。戸籍を見て「途中が抜けてる」とはなかなか気づかない。書類の記入や不備で役所に3回行かなきゃいけないのは負担が大きい。なんとか変えていきたい。

■3月5日(金)
郵便受けに「法定相続情報一覧図」が法務局から届いていた!

3回法務局に行ってようやく手に入れたので「三顧の礼?」と突っ込みを入れたくなるが、ようやく魔法の一枚「法定相続情報一覧図」の写しが手元にきた。

これで金融機関に提出する、出生から死亡までの戸籍謄本、全員分の戸籍謄本の代わりになる。やったー。

これが「法定相続情報一覧図」だ!

【相続手続き・これだけは】
「法定相続情報一覧図」の写しは何通でも無料で発行してもらえるので、手続きする金融機関などが多い人は、あらかじめ多めにもらっておくといいと思います。

「遺産分割協議書」ついに完成!

■3月6日(土)
「法定相続情報一覧図」が届いたので、金融機関での相続手続きの準備を進める。

手続きに必要な「遺産分割協議書」の作成に取りかかる。遺産分割協議書には、預貯金、有価証券、投資信託のほか、土地、建物などの所在、面積の記入が必要なので、弟に実家にある登記を見てもらって書類は完成。あとは母と弟に実印を押してもらえばOK。

■3月13日(土)
すっかり週末恒例となった相続手続き。この日は作成した「遺産分割協議書」に実印をもらいに行く予定だったが、私の運転免許の更新が間に合わず、レンタカーが利用できないので断念。

銀行や金融機関ごとの相続書類をダウンロードして、実家に行ったら一度に実印を押してもらえるよう準備する。苦労して取得した「法定相続関係一覧図」が役立つ日も近い。

■3月14日(日)
「遺産分割協議書」をプリントアウトし、母と弟に実印を押印してもらい完成!
11月に取りかかってからここまで4か月…。

■3月15日(月)
勤務前の時間を利用して相続手続き。証券会社に手続き申請書類の送付を電話で依頼する。株はすぐには解約できず、いったん被相続人の口座を開設する必要があり(!)、来店が必要とのこと。19日(金)に午前休を取って予約。

このあと銀行や信用金庫にも口座や投資信託の相続・解約手続き用の書類を送ってほしいと電話をかける。金融機関によって投資信託の解約が一度でできるところもあれば、二度手続きに行かなければならないところもあった。

信用金庫は投資信託の解約は一度でできず、まず相続人の誰かの口座を作って、そこに移したあと解約の手続きが必要で、2度窓口に行く必要があった。

証券会社もそうだが、なぜ解約するのに口座をわざわざ作って、その解約のためにまた窓口に行かなければならないのか。決まりとはいえ、その非合理さに怒りがわいてくる。

思えば父は定期預金が満期になったりすると、営業の人から勧められて投資信託にお金を預けていた。高齢者向けの資産運用、契約はすぐできるけど、大事なのは解約のしやすさかも。契約する際には、解約はどうしたらいいのか聞いてみてほしい。

お年寄りが利用しやすい手続きに!

JAバンクに連絡すると、去年11月に相続手続きに関する書類を母に渡したとのこと。

地元の金融機関の手続きは母に任せていたが、高齢な母には申請書類をもらってもどこに何を書けばいいのか、記入は一人では難しく、必要な戸籍などの書類を揃えて窓口に行って提出するという手続きはさらに困難だった。

高齢化が進む中で、配偶者を亡くした高齢者がこうした複雑な手続きをするのは難しい。マイナンバーで、ワンストップでさまざまできるようになればと痛感。

せめて金融機関ごとに違う相続手続きの申請用紙をネットでダウンロードできるようにしてくれたら、いちいち郵送を依頼して送ってもらう手間がなくなり、記入も楽になると思う。

【相続手続き・これだけは】
印鑑証明は各金融機関ごとに必要なので、足りなくなると改めて取りに行かなければならないため、その分取得しておくとよいでしょう。

■3月19日(金)

午前9時半から証券会社で、相続手続きのための口座開設の手続き。

ついに、ついに「法定相続情報一覧」「遺産分割協議書」を使う日が…

自分で作成して手続きも自分でやっていますと伝えると驚かれる。ある程度の資産がある人は司法書士などが代行して手続きできるが、そうでない人は大変だという話になる。

ユーザーファースト、実際はユーザーラスト?

某銀行に「まだ相続届けの申請書類が届かない」と伝えたところ「東京の相続センターから送るので時間がかかる」とのこと。電話はつながらないし郵送の時間はかかるし、ユーザー視点、サービスという点ではどうかと思う、と伝える。

また信用金庫に残高証明の申請は郵送でできるかと聞くと、「原則来店だが、郵送も認めるので書留で送ってください」というので、他のところは郵送でOKなのになぜ書留で送る必要があるのか質問するが、「決まりだから」との返事だった。理由がないならユーザー目線で、利用者の負担が少なくなるように変えていってほしい。

JAバンクからは、「遺産分割協議書の『JAバンク』の表記は『農業組合』と記載しないとダメ」とのこと。せっかく実印押してもらった遺産分割協議書、訂正して印刷し直して、また3人分の実印を押し直さないといけない…(涙)

金融機関から相続手続きの書類を取り寄せたときに同封されているのが「相続手続き代行します」のお知らせ。

仕組みを複雑にしておいて、金融機関が代行サービスで高いお金(100万円とか)を取るのはおかしくないだろうか?

証券、投資信託などを解約するにはいったん相続する人の口座を作らないといけない。わざわざ解約するのに、口座開設するのは無駄ではないだろうか?次々に疑問がわいてくる。

死亡や相続に関する手続きの負担については政府も把握していて、「手続きの漏れや必要書類の不備によって手続きを何度も何度も繰り返す負担が生じている」として、負担軽減についてデジタル庁で検討が進められている。金融機関の「書面、押印、対面」についても見直しが検討されているが、こうしたことこそ急いで進めてほしい。

9枚の書類に同じ内容の記入が必要!

■3月20日(土)
「来店して窓口での手続きが原則」と言われた地元の信用金庫に、「窓口に行く前に書類だけでも送ってください」と交渉した結果、書類が郵送で届いた。

届いた解約のための書類は計9枚。支店ごとに、預金、投資信託、出資金と3種類の「解約依頼書」があって、9枚それぞれに相続人全員の住所、氏名などの必要事項を記入した上で実印を押す必要があった。

これは何かの罰なのか…と思う。金融機関の中には解約手続きは1枚の書類に支店名と口座を書けばいいところもある。書類を記入するのも大変。利用者の負担について考えてもらいたい。でもなんとか3月中に終わらせたいので、がんばる。

■3月22日(月)
信用金庫から「相続用残高証明発行依頼書」は支店別に提出する必要があると連絡あり。郵送ではなくFAXでダメか聞いたらOKだが、原本は後日郵送することが条件だった。

ここで一難去ってまた一難。依頼書は郵送でできても、残高証明3通発行のための費用440×3=1320円は、窓口に持参するか信用金庫のATMで振り込みが必要と言われる。信用金庫のATMは名古屋にはないから、結局窓口に行かないと残高証明の発行はできない(涙)。

■3月24日(水)
弟に信用金庫の残高証明の費用を、支店窓口に行って支払ってもらう。
母からは、印鑑証明書を取りに行きたいが「印鑑登録カード」が見つからないと連絡あり。実印を持って役所に行き、紛失届と同時に作り直してもらうことに。

■3月25日(木)
銀行に相続手続きの書類を提出に行こうと思うが予約取れず。

どの支店でもいいということで、空いていそうな支店に開店前の8:50から並んで一番で受け付けてもらい9:30に終了。これでようやく2つ目の金融機関の手続き終了。

ついでに郵便局に寄って、銀行から返してもらった印鑑証明などを入れて信託銀行の相続手続きを投函。

■3月26日(金)
地元の信用金庫から、残高証明を書留で送るとの電話連絡あり。(ようやく・・・)

■3月29日(月)
なんとか年度末、3月中に金融機関の手続きを終えたいと、実家近くの信用金庫とJAバンクで手続き。印鑑証明は金融機関ごとに提出するので足りなくなり、区役所で取得してから実家へ向かう。

JAバンクは郵送で送ってもらった書類で、残高証明と相続手続き、解約が一度に終了。(ついでに自分の使っていない口座も解約した!)

信用金庫では投資信託の解約のために、いったん母の特別口座を開設したものの、実は別の支店に口座が存在していたことが判明し(←「あるはず」と伝えたのに「ない」と言われていた)、閉店後に母と店舗に戻って書き直し。

後日、解約は別の支店へ、とのこと。この信用金庫は支店どうしの情報共有はできていないのだろうか?

無事に別の支店での解約も終えて、なんとか3月中に金融機関すべての相続手続きを終えることができた!

ほっとしていたら銀行から電話が。また不備かと思ったら「相続したお金、運用しませんか?」と。その迅速さ、相続手続きサービスにお願いしたい。

相続税の申告も自分でやってみる

■4月5日(月)
金融機関の手続きが終わったら、次は亡くなってから10ヶ月以内に行う相続税の申告。

ネットで調べても本を読んでも「税理士さんに頼まないと無理」と書かれているのでちょっと弱気になって知り合いの税理士さんに相談したところ、費用は相続税の申告だけでも、遺産額にもよるが「40万~、平均で50万から70万円」とのこと。でもここまで自分でやったら申告も自分でやってみたら、とのことで相続税申告までやってみることにする。

今は相続税申告書を作成するための無料のソフトがあるので、ダウンロードして税務署に申告する書類の作成を始める。このソフトに必要な情報や相続する財産の情報を入れていくと自動で計算してくれるので便利。

でもこれでいいのか不安なので、相続税を申告する税務署に相談の予約をする。

■5月19日(水)
相続税を申告する税務署を訪れ、フリーソフトで作成した相続税の申告書類を見せて、これでよいか相談。路線価の見方が違ったので計算し直し。説明はとても親切だった。

提出書類も、これまで作成した「法定相続一覧」「遺産分割協議書」それぞれの「印鑑証明」でよいとのこと。ネットなどでは「相続税申告は自分では無理」とあったけど、なんとかできそうだ。

■5月24日(月)
相続税の申告、なんとか10ヶ月以内にできそうと思っていたら、母より「手続きやってもらってありがたいが、わからないところがあるので説明してほしい」と連絡あり。手続きを早く終わらせることに必死になるあまり、確かに説明が足りなかったと反省。

母には相続手続きがわかりやすくまとまった本を送って読んでもらうことにする。相続の手続き、家族みんなが納得して行うこと大事!

■5月31日(月)
母も本を読んで納得したとのことで、相続税の申告書を税務署で提出。親が亡くなったら、また、亡くなる前に何をしておけばいいいのか。この経験を放送につなげたいと思う

ついにミッションコンプリート!

■6月1日(火)
税務署からもらった振込用紙で昼休みに郵便局から相続税を納入し、相続手続きすべて完了!ついにミッションコンプリート!!

父が亡くなってから9ヶ月に及んだ相続手続き。仕事をしながらの手続きは、必要な書類集め、金融機関や届け出先に平日行かなければならず、また記入する書類も複雑で、届け先も多岐にわたり、「家族を亡くしたあと、こんなに大変なんだ」と驚きました。

同時に、高齢の母だけだったらできなかったので、子どものいない高齢の方や、経済的に厳しく、代行を専門家にお願いできない人たちはどうしているんだろうと思いました。

家族を亡くしたばかりの遺族が役所の中をいくつもの窓口を回っての手続きは、特に高齢の方には負担が大きいため、役所の中には「おくやみ窓口」を設けてワンストップで手続きをしているところも増えています。

また金融機関でも相続手続きの負担を減らそぅと、銀行や信用金庫、JAが書類を統一して、枚数を削減する取り組みを行っている地域もあります。

記入する書類や取得しなくてはならない書類も種類が多いうえに難解な用語も多く、書類や手続きの見直しも必要だと感じます。

デジタル庁には、死亡や相続手続きのオンライン化・ワンストップ化を急いで実現してほしいと思います。

2024年4月からは、土地や建物の相続登記が義務化されます。令和4年度版の男女共同参画白書では、単身世帯が増えるなど家族の形が変わるなかで「もはや昭和ではない」、と、昭和のままの政策や制度を見直す必要性が指摘されました。

ぜひ相続に関する手続きも、それぞれの現場でアップデートしていってほしいと思います。

「相続手続きの一覧表」つくりました!

最後に、相続に関する手続きの一部を一覧表にまとめました。参考にしていただければと思います。手続きは、人によって必要なもの、揃える書類も異なりますので、お住まいの市町村役場や年金事務所、利用している金融機関にご確認ください。

名古屋税理士会と自治体への取材をもとに作成しました

何かお気づきの点や、相続手続き、こんなところが大変だった、おかしいと思った、などありましたら、引き続き取材しお伝えしていきたいと思います。「お聞かせください あなたのもやもや」から、ぜひお知らせください。

名古屋放送局で記者とデスク、そして解説委員(ジェンダー・男女共同参画担当)をしています。休日の「昼ビール」が何よりの楽しみ。

みなさんの声

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