1. トップ
  2. コラム ママの感じる孤独の正体は④

コラム ママの感じる孤独の正体は④

こんにちは、このサイトを担当している記者の大窪奈緒子と岡田真理紗です。 ひとりぼっちの夜にそっとお届けする、「ラジオのようなサイト」になっていきたい、ということで、頂いたご意見を単に紹介するのではなく、二人でラジオのように読ませて頂きながら、話した内容をコラムにする試みをしております。
対談の最初からお読みになりたい方はこちらです。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/kosodate/article/article_190621.html

今回のテーマは「孤独」。この「孤独」の一連のシリーズは今回でいったん終了です。

岡田
まずはこの「ひとりの人間さん」。東京都、20代の方です。

ひとりの人間さん (20代・東京都)
現在3ヶ月の息子と生活しています。実家は遠方のため頼れず、義実家は近郊だが、祖父母の世話や地域のボランティアで忙しく頼りづらい。義実家では気を遣って結局休まらないという私の事情もあります。
夫は都内の大学病院に勤務しており多忙な上、仕事関係の飲み会も多く、休日昼夜問わずほぼ不在。ママ友もおらず、常に一人で育児と家事を行なっています。
妊娠中に退職したため、助産師の仕事も現在はお休み中。助産師として産後ケアに従事していたにも関わらず、孤独なワンオペ育児に正直心が折れそうで、夫に理解と協力を求めても多忙ですれ違い夫婦関係も破綻しそうです。
社会は今まで女性を母親の大義名分で搾取していたといっても過言ではないと痛感しています。新しい時代でこれらは終わりにすべきだと確信しています。産後の死因第1位の自殺、今ではすぐそこまで足音が聞こえます。

大窪
「休日昼夜問わずほぼ不在」って、旦那さんの激務、心配ですね・・・。そして夫婦関係にまで影響が出そうと書いてらっしゃいます。
この方は助産師をされていた。そんな方でもやはり、たった一人での育児はつらいものなんですね。

岡田
もうちょっと男性にも余裕ができるといいんですけど・・・
力の配分が今、男性は仕事に寄りすぎている人が多いと思うので、育児のマンパワーがもうちょっと男性と女性とバランスよく、0か100か、じゃなくて50:50でできるようになると、育児の孤独感は全然違ってくると思うんです。

大窪
男性は仕事でいっぱいいっぱいで、なかなか当事者意識を持てないですよね。

岡田
まず前提として、長時間労働や残業を減らしていかないとですね。
男性に参加してもらおうと思っても、長時間労働で疲れ切っているときに、子育てもやるのは難しいでしょうから。そこは企業の姿勢、国の制度をもっと変えていってほしいですね。

大窪
そうですね。
こちらの「ゆっかさん」も、夫の激務について書かれていらっしゃいます。

ゆっかさん (30代・埼玉県)
夫が激務で、平日早朝に出て夜遅く帰ってきます。休日も出勤しているため、家族の時間がもてないです。ゴールデンウィークもほぼワンオペでした。
支援センターで、休日何するのー?とか、家族で出かけたという話を耳にすると落ち込みます。夫に子どもを預けて息抜きーなんて夢のまた夢。育児家事が100パーセントのしかかっているので、保育園に預けて働きに出るということも難しいです。
両実家遠く、また実母は育児の口出しがすごいため、正直あまり会いたくないです…。 ほぼ毎日24時間1歳の娘と一緒。曜日感覚もおかしくなります。
同じ環境の人がなかなかいないため、この話をするのもしんどいです。
ただ私の場合、母子ケアマネさんがいい人で行政に掛け合って下さり、週一で一時保育の利用ができています。これも最初はテンプレートのような言葉で断られました。ここまでくるのに市役所、ファミサポ、いろんなところに問い合わせをして、話をして、やっとやっと一時保育利用の許可がおりました。もしこのまま終わりの見えないワンオペ生活を続けていたらと思うとゾッとします。会社は小さい子どもがいる従業員を定時で帰してほしいです。子どもは可愛いですが、いつもギリギリの綱渡りのような気持ちで毎日を過ごしています。

岡田
私これすごく切ないなと思って。支援センターでお話しされるお友達はいらっしゃると思うんですけど、「夫に子供預けて息抜き」とか「家族で出かけた」っていうのがまぶしくてキラキラして。ご自身はずっとワンオペだから、すごく悲しかったんだろうなって。
まずは旦那さんがもうちょっと、本当にもうちょっと育児に携われるようになったらいいですよね。

大窪
そうですよね。でも、私、この方すごいなあと思ったのが、「ヘルプを出し続けているところ」がほんとにすごいなと思って。
ケアマネさんに相談して、断られても、市役所、ファミサポ、いろんなところに問い合わせをして話して。やっとやっと一時保育の利用許可が下りて週一で使えるようになったって。「辛い」って伝え続けたこと、ヘルプを出し続けたことが素晴らしいなって。でも、言い続けるのって大変なことです。

岡田
1回断られてしまうと、モチベーションというか、気力を保ち続けるのは大変ですよね。

大窪
「1回テンプレートのような言葉で断られた」ら、それだけで心が折れてしまうと思うんですけど。怖がらずに次もきちんと言うって、すごく強い精神力だったのかなと。言い続けるのがやっぱり大切なんだなって感じました。

岡田
それを当事者に求めるのが・・・本当は、当事者がそういう風に頑張らなくてもいいようにしてほしいですよね。

大窪
そうそう、ここまで言わないと動かないっていうことでもありますもんね。

岡田
ご意見寄せて下さった方、共働きの方もいらっしゃいましたけど、専業主婦をされている方のお声が多くて。「逃げ場がない」、「保育園にも預けられない」っていうお声が多かったです。保育園だと、どうしても、もともと就労されている方が優先的に入っちゃうので、どこにも頼れないお母さんがどうしても構造的に生まれてしまう。

大窪
「毎日24時間1歳の娘と一緒で、曜日感覚もおかしくなります」と。

岡田
1歳の相手って、1対1だと本当に疲れますよね・・・うちも1歳7か月なのですごくわかります。といっても、私も出産前は全然わかりませんでした。
多分育児をやったことない人は「子供と一緒にいるだけじゃん」って思うかもしれないんですけど、「自分の親が認知症になって、24時間1人で世話をする」という状況を思い浮かべてもらうと、近いかもしれません。
言葉も通じないし、いろんなものをひっくり返すから常に目が離せないし、トイレも自分で行けないし、食事も自分で取れない、という意味では介護と同じような世話が必要で。(もちろん介護と育児は違う点もたくさんありますが)
それがいかにストレスかというのを、その人の立場になって考えてみてほしい。

大窪
本当ですね。そしてそれが「ストレスなんだ」って「言う」ことを許してほしい。「ストレス」なんて言ったら母親失格だとか、「みんなやってるじゃないか」とか言わないで、「私は辛いんだ」、「助けてほしいんだ」って言った時に、否定せず反応してほしいですよね。

岡田
「孤独」について4回、お伝えしてきましたが、お母さんたちの「孤独の正体」はなんだったんでしょうか。

大窪
やはり、辛いことを辛いって言えないこと、言う相手がいないこと、言ってもわかってもらえないことじゃないでしょうか。

岡田
「共感」してくれる相手がいないことですかね。ベースとして、育児の大変さが理解されていないことも含めて。

大窪
まさにそうですよね。あと、「つらいって言ったら母親失格だ」という呪縛のようなものも感じました。そのせいで、言えなくて孤独になっている。

岡田
私たちは専門家でもなく、みなさんのところへお邪魔して赤ちゃんの世話を手伝うことができるわけでもないのですが、少しでも役立つ情報を探してきてご紹介したり、こうしてご意見を読ませて頂きながらご紹介したりしていきたい。
「1人じゃないよ」ってことを伝えて続けていきたいですね。

大窪
そうですね。先ほど、「ヘルプを出し続けた」ことで一時預け先が見つかったという方の声をご紹介しました。私たちも、「声を伝え続ける」ことで、子育て環境や社会が少しでも変わっていくはずだと信じ、今まさに困難を抱えていらっしゃるお母さんお父さんたちの声を丁寧に、そしてしっかりと、伝え続けていきたいと思っています。

今回で、「孤独」のテーマはいったん終わります。
孤育てから、「みんなで子育て」を目指していくこのサイト。
まだまだ手探り状態ですが、みなさまからのリクエストやご質問等、引き続きお待ちしております。お相手は、大窪奈緒子&岡田真理紗でした。

トップページに戻る

コラム ママの感じる孤独の正体は③

ひとりぼっちの夜にそっとお届けする、「ラジオのようなサイト」になっていきたい、ということで、頂いたご意見を単に紹介するのではなく、2人でラジオのように読ませて頂きながら、話した内容をコラムにする試みをしております。 今回のテーマは、前回、前々回に続き「孤独」です。

続きを読む

コラム ママの感じる孤独の正体は②

ひとりぼっちの夜にそっとお届けする、「ラジオのようなサイト」になっていきたい、ということで、頂いたご意見を単に紹介するのではなく、2人でラジオのように読ませて頂きながら、話した内容をコラムにする試みをしております。 今回のテーマは、前回に続き「孤独」です。

続きを読む

コラム ママの感じる孤独の正体は①

こんにちは、このサイトを担当している記者の大窪奈緒子と岡田真理紗です。 先日、ラジオ第一で放送している「Nらじ」で、野村正育キャスター、黒崎瞳キャスターと、産後ケアについて解説させて頂きました。

続きを読む