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コラム ママの感じる孤独の正体は③

こんにちは、このサイトを担当している記者の大窪奈緒子と岡田真理紗です。
ひとりぼっちの夜にそっとお届けする、「ラジオのようなサイト」になっていきたい、
ということで、頂いたご意見を単に紹介するのではなく、二人でラジオのように読ませて頂きながら、話した内容をコラムにする試みをしております。

今回のテーマは、前回、前々回に続き「孤独」です。

岡田
「くぼ」さん、東京都、30代の方からです。

くぼさん (30代・東京都)
第一子(4ヵ月)の子育て中です。私達夫婦の実家は地方で両親は仕事があり日常的なヘルプは望めません。なので、早くに自分たち二人で子どものいる生活を回せるようにしようと話し合い、里帰りせず都内の自宅で生活しています。 私は育休中で来年の復帰に向けて最近保活を始めました。 家事育児に加えて保活、子どもの授乳時間を考えながら行動し、泣き声やぐずりで周囲の迷惑にならないか気をはって過ごしているせいか心身共に不調を感じています。 でもそのことは誰にも話せません。健診や児童館で話しても「多かれ少なかれ皆そうだ」と言われたからです。苦しいのは当たり前と言われてそれでも話そうと思えますか? 夫は産後3週間休みを取り、その後も授乳にあわせて朝早く出勤したり仕事のやり方を見直して夜の残業を減らし早く帰宅して家事育児ができるよう努力してくれています。が、先日上司から「早く帰れるようなら仕事を増やす」と言われたそうです。夫は会社のシステム部門で仕事をしています。慢性的な人員不足は解消されず、時代の流れや働き方改革でIT化が進みシステム部門はどんどん業務量が増えていきます。頼れる親族はいない、気軽に会えて気持ちを打ち明けられる人もいない、その上夫ともすれ違いの生活になったとしたら...子育てどころか自分を保てるか不安です。 甘えですか?覚悟が足りませんか? 男性の育休取得義務化や働き方改革、保育無償化など様々な話題がのぼりますが全て遠い世界のことに思えてなりません。

岡田
せっかくつらい気持ちを打ち明けても「多かれ少なかれみんなそうだ」と言われてしまったという体験です。「みんなそうだ」という言葉は、「みんな我慢しているんだからあなたも我慢しなさい」というふうに聞こえて、「だったら言わなきゃよかった」って感じちゃうなあと思いました。

大窪
否定されているような感じがしますよね。

岡田
ですよね。確かに産後のお母さんは似たような悩みを抱えていることが多いから、助産師さん保健師さんは聞き慣れてこう言っちゃうのかもしれないですけどね。

「みんなそうだよ」っていうのも、「その悩みは誰でもぶつかるものだから、あなたの育児が下手だからとか、そういうことじゃないんだよ」っていう意味だったらいいと思うんですけど。追いつめる言い方をしないようにしてほしいですよね。

大窪
言い方なんですかね?それとも考え方?
子ども、それぞれに発達が違って、性格も違って、育てやすさも違ってて。 それに合わせてお母さんの負担も絶対違うわけで。「みんなそうよ」って、ひとくくりにされた時点で、辛いって思っている自分がおかしいのかな?って否定された気分になってしまいますよね。

岡田
その通りですよね。

大窪
私、本当に辛い時、「夜泣きで眠れない→つらい→でも誰もわかってくれない→結局自分ががんばるしかない」というサイクルにはまっていたので。なんて言ってもらえるといいんですかね。こういう時。共感は嬉しいんですよね。

岡田
共感してもらえるのは嬉しい。

大窪
「そういうこと、あるわよねー」、までは嬉しいですよね。

                   

岡田
たとえば睡眠不足だったら「赤ちゃん預かってくれて、お母さんも休めるサービスがあるわよ」とか、解決策を教えてもらえたら嬉しいと思いますし、その他のことだったら、とにかく否定しないでほしいですよね。辛さを受け止めてほしい。

大窪
共感してもらって、かつ具体的な手段を教えてもらえたらいいですね。 「みんなそうだから頑張って」ではなくて。

岡田
さっきの大窪さんの話、はっとさせられて。そもそもお母さんは辛いのが当たり前って言うのを肯定していいのか?って思いました。

「辛いものだから=でも親ってそういうものだから我慢しようね」、ではなく、「辛い→だったらその原因を取り除こう、だからこういう支援メニューを使おう」、そっちの方向に考えられないといけないのかなって。

大窪
そうですよね、「辛い」って打ち明けても、「みんなそうだから」ってばっさり切られてしまう、「だから我慢しなきゃ」ってますます言えなくなる悪循環。解決策にたどりつかないまま、ずっと我慢するっていうのが、みんな追い込まれていく原因なのかなぁと思います。

 

岡田
今回、50代の方とかからも投稿頂いていて「とむたま」さんのお声もそうなんですけど。

とむたまさん (東京都・50代)
5人の子供も末っ子が高校生になり、ようやく一息ついたところです。昨今の虐待や産後うつ等、自分の身にも起きていたかもしれないと、振り返ります。下の3人が幼い頃、6歳、4歳、0歳の子供を連れての通院は、大変疲れた記憶があります。夫に今日は3人を連れて病院へ行くのが大変だったとこぼしても、悪気なく「あ、そう」とだけの返事。専業主婦の私には、当然の仕事のようで、労いの言葉もない態度に、私は孤独感がいっぱいになりました。実家は遠く北海道。それでも上の子たちが幼い時には、飛んできて手伝ってくれた母も高齢になり、だんだんできなくなりました。民間のベビーシッターは高額で、そうそう頼めません。こんな時に少しでもお母さんの孤独感を和らげてくれる場があれば、どんなに助けになることでしょう。助産師、保健師、保育士などの資格がなくても助けになるなら、もっと広がるのではないでしょうか。

小さい頃3人連れて小児科に行った時に、夫に大変だったって伝えても全然共感してもらえなかったことが今でも辛い記憶としてあるという体験です。 子育てがある程度終わって、夜泣きに悩まされなくなったからもう辛くないのかといったら、そんなことないんだなと。つらい記憶は今でもつらい。

大窪
50代60代になって子育てを振り返ったときに、「辛かった」って言う記憶になってしまうことが、果たしていいのかってことですよね。それは決してよくはない。

岡田
お母さんの我慢の上に成り立っている感じですよね。 これも旦那さんが共感してくれれば全然違うと思うんですよね。

大窪
「ねぎらいの言葉もなく孤独感でいっぱいになりました」、この「パートナーの無理解」が孤独感をどんどん深めているっていうのはいろんな方からお声で伺いますよね。

岡田
「大変だったね」「つらかったね」と言ってくれるだけで、ああ、言ってよかった、私は一人じゃない、と思えますよね。

今回はここまでです。
もしよろしければ、引き続き、ご意見を紹介していきたいと思います。
みなさまからのご意見、体験、お待ちしています。
投稿フォームへはこちらから。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/kosodate/index.html#form

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