世界一の力持ちになる

村上英士朗

ウエイトリフティング

ウエイトリフティング男子109キロを超えるクラスの日本記録を持つ村上英士朗、24歳。
東京オリンピック出場を目指し、2020年春に三宅宏実が所属する企業に入社。地元の富山を離れ、東京で新生活を始める予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大によって東京オリンピックは1年延期に。さらに東京の練習場の利用が制限されたことから富山にとどまってトレーニングを続けている。

練習拠点としているのは知り合いの家のガレージ。母校の滑川高校から支援を受けるなどして練習環境を整えた。

「バーベル1本あれば鍛えられるので、いろいろな種目ができるように考えながらやっている。
試合もないので、とにかく目先の目標をクリアして少しずつ積み上げていくしかない」

東京オリンピックを目標に、みずからの体と向き合いこれまでも様々な工夫を凝らしたトレーニングを続けてきた村上。大好きなウエイトリフティングの魅力を多くの人に知ってもらおうという思いも強く SNSの発信にも力を入れている。「ご家庭で出来るお手軽エクササイズ」と題して動画を投稿。米袋や石を担ぐといったウエイトリフターならではの迫力の内容だ。

「ウエイトリフティングが好きなんで、好きなことを仕事にさせてもらっているんで楽しみながらやっている。今の時期は、ジムにいってトレーニングすることもできない人が多いので、そういった人の励みになったり、おもしろいなと思って笑ってもらったりしたらいいと思う。やっぱりまだまだウエイトリフティングはマイナー競技なので、SNSを通じて見てくれる人が増えるとうれしい」

東京オリンピックで実施されるウエイトリフティングの男子の階級は「7」。日本は開催国枠を含めて各階級1人、最大で4階級しか出場できない。最重量級の109キロを超えるクラスの日本記録を持つ村上は、自分の階級だけでなく、ほかの階級の選手以上の実績をあげなければならない。 しかし2019年の世界選手権は12位で、オリンピックは“瀬戸際”の状況だ。それだけに、いまの苦境に負けず全力を尽くすと誓っている。

「(オリンピックが)1年間延びたので、この1年間でできるだけ記録を伸ばして、世界との差を縮められるように、ある意味チャンスだと捉えてやっていきたい。 最近の僕のキーワードは、世界一の力持ちになるっていうこと。最重量級なので、(オリンピックは)本当の世界一を決める戦いだと思っている。そういった意味でも世界一になりたいと思っている」

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