君たちだって何でもできると感じてほしい

マット・スタッツマン

パラアーチェリー

パラリンピックを象徴する選手の1人、アメリカのスタッツマン。アーチェリー、ロンドン大会の銀メダリストは、生まれたときから両腕がなく、足で弓を引くスタイルで知られている。

ふだんの生活から足をたくみに使って歯ブラシを小刻みに動かし歯を磨いたり、割り箸を足の指でグリップしてすしを食べるなど、足の握力はすさまじい。こうした生活を過ごせるようになったのも障害をみずからの個性として受け入れ、さまざまな努力と挑戦を積み重ねてきたからだ。

「生まれ変わっても今の体で生きていきたい」

そんなスタッツマンが「自分に成し遂げられないことはない」と2大会ぶりにメダル獲得を目指した東京パラリンピック。

男子個人コンパウンドの決勝トーナメント3回戦は高得点をマークしたが、相手の選手が10点を連発した。

「今までで最低だ、自分のパフォーマンスがベストではなかった」

悔しい結果に終わった。それでも今大会での自分の姿を見た人たちに何を感じてほしいか尋ねると、スタッツマンはいつもの笑顔に戻りこう答えた。

「アメージングを感じてほしい。ここで戦っていることで何か感じてほしい。君たちだって何でもできると感じてほしい。僕だって矢を放っていい成績を残せることもあるんだから、君たちだって自分たちのしたいことを何だってできるさ」

メダル獲得はならなかったが、その姿とことばは人々の心にしっかりと刻まれた。

パラアーチェリー