自宅前の道路崩落「ドア前がすぐ崖に…」【被災地の声 23日】

「道路が、ない」

能登半島からは少し離れた石川県津幡町の一角。

地震の後あわてて戻った自宅は、家の前の道路がなくなっていました。周囲は大きな被害のない家も多く、ギャップを感じています。

「周りがふつうなのが、よけいにしんどい」

避難生活を続ける男性が、思いを話してくれました。

津幡町 自宅の様子を見に行くと…

石川県津幡町の金田博之さん(61)は、町の福祉センターで避難生活を続けています。

1月1日、金田さんは金沢市内で仕事をしている時に被災しました。

急いで津幡町まで帰り、一緒に暮らしている父と弟、娘と合流し、避難所になっている町役場で一夜を明かしました。

翌2日、自宅の様子を見に行った時、思わず息をのみました。

「道路が、ない」

右側手前が金田さんの自宅

沈みかけていた道路が、そのまま崩れ落ち、崖のようになっていたのです。

金田さん
揺れた瞬間は亀裂が入っていたくらいだったそうですが、その後の余震などで崩れたのでしょう。

ローンも、生活費も、いくらかかるのか…

道路のへりは、さらに下がり続けているように感じたといいます。不安は的中し、数日後、残っていた道路が崩落。

金田さんが撮影した画像では、ドアの前がすぐに崖のようになっているのがわかります。

自宅は避難指示が出ていて、帰ることはできません。

今後、支援を受けるため、り災証明書をもらおうとしましたが、町役場の担当からは。

「現在進行形で、地盤が下がり続けて被害がどこまで拡大するかわからないので、もう少し待ってほしい」

もう一度、自宅で暮らせる日が来ることを望んでいますが、見通しは立っていません。

現在は、みなし仮設住宅への入居を希望し、手続きを進めています。

自宅は5年前に購入したばかりで、高齢の親のためにバリアフリーに改築しました。

ローンもまだ20年ほど残っています。

金田さん
道路を直してもらうにも、役場の担当者の言い方だと1年以上はかかる。ローン支払いなどもあるし、みなし仮設住宅に住むためのものをそろえないといけない。いったいどのぐらいかかるのか。お金ないからどうするんかって話ですよね。

局地的な被害…複雑な思いも

人口約3万7000人の津幡町では、今回の地震で1人がけが、住宅975件に被害が出ました。(20日現在)

避難指示が出ているのは22日現在で20世帯で、28人が避難生活を続けています。

避難所の様子

金田さんは大きな被害が出た能登半島に親戚もいて、多くの人が大変な思いをしていることに心を痛めています。

一方で、局地的な被害となった地域の情報が正しく伝わらないことに、もどかしさを感じることがあると言います。

金田さん
今、津幡町では、ほとんどの人が普通に生活している。周りは普通なのに、しんどいなっていう感じですよね。奥能登に比べればライフラインは無事なので、何も言うことはできないと感じています。ただ、なんかなあと、さみしいものがある。能登がクローズアップされているので、それ以外は静かなのかなと思われているかもしれないけども「そうじゃないよ」と。

※NHKの情報提供窓口「ニュースポスト」に寄せられた声をもとに取材しました。

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