コメの需要が減少するなか、炊いて食べるだけでなく、加工することで用途を広げようというビジネスがあります。ベンチャー企業が開発した、米こうじを加工した甘味料や、米菓メーカーが発見した乳酸菌など。コメの可能性が広がります。
コメから甘味料 ハチミツぐらい甘い
安藤隆キャスターが訪ねたのは、4年前に設立された東京都内のベンチャー企業「アグクル」。この会社はコメから「甘味料」を開発しました。
試食した安藤キャスターは「はっきり甘いです。おコメからというのは、言われなかったら分からないです。おいしいですね」と話します。
甘さはハチミツと同じくらいで、料理などに使うことができます。
新しい需要づくりに挑む25歳ベンチャー代表
開発した代表の小泉泰英さん(25)は、大学の農学部在籍中に大学発ベンチャーとして起業。コメ農家で研修する中で、どうしたらコメの需要が伸びるか考えたといいます。
ベンチャー企業 代表 小泉泰英さん
「全く新しい需要を切り開くような商品であれば、農家のためにもなる」
みそ醸造所が製品化に協力
製品化に協力したのが、栃木県日光市にある創業120年のみそ醸造所「神保栄三久商店」です。
製品化するために使うのが、蒸したコメにこうじ菌を加えて発酵させた「米こうじ」です。加える水の量や温度など何度も試行錯誤を重ね、米こうじが本来持っている甘みを最大限引き出すことに成功しました。
みそ醸造所の神保和功さんは「甘酒を極めて水分が少ない状態に、超高濃縮型にもっていった。市販の(甘酒)では、まずありえないつくり方をしている」と説明します。
材料のコメには古米も活用することができて、むだになりません。
この甘味料は体にやさしいとして、給食に導入した保育園もあるといいます。また砂糖よりカロリーが抑えられているといい、若い年代を中心に広がっているそうです。
ベンチャー企業 代表 小泉さん
「いろいろな飲食店やホテル、食品メーカーの商品の中に、この甘味料が使われていく未来を目指している」
コメから「乳酸菌」 米菓大手が研究
米菓の大手メーカー「亀田製菓」も、コメの成分研究をする中で新たなコメパワーを見つけました。
見つけたのは整腸作用があるとされる「植物性乳酸菌」です。玄米の表面にいろいろな種類の乳酸菌がいることを発見し、その中から活性の高い菌を独自の方法で分離して、培養し、増やしています。
乾燥した粉末には1グラムあたり1兆個の乳酸菌が含まれているといいます。
このメーカーは乳幼児向けのお菓子などに配合して、今後さらに商品開発に力を入れたいとしています。
米菓の大手メーカー お米総合研究所 内山公子さん
「何にでも混ぜられて、味は変わらない。どんな利用方法もできる。健康機能をずっと研究し続けて、みなさんにお届けできるようにすることを目指している」
健康志向が高まる中、日本で開発されたこうした技術で、コメの新たな可能性が広がることが期待されます。
【2022年11月21日放送】
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