もやしの値上げ、なぜ?家計への影響は?

家計の味方の代表的な食材「もやし」が、原材料費の高騰に直面しています。納入先のスーパーと値上げ交渉を始めた生産者も出てきています。

10年間安定した価格だったが…

茨城県小美玉市にあるもやし生産工場では、毎日およそ20万袋のもやしを生産して首都圏のスーパーに出荷しています。

もやしは工場で大量に栽培できるため、安定した価格で提供されてきました。

もやしの標準的な1袋200グラムの価格は、2010年に31.42円、21年に30.66円と、この10年間ほとんど変動してきませんでした。

種が値上がり その理由は?

しかしいま生産者を悩ませているのが、もやしの種「緑豆」の値上がりです。

これまでは大半を中国からの輸入でまかなってきましたが、中国ではとうもろこしなどへの転作が進み作付面積が減少してしまったのです。

輸入する商社は中央アジアのウズベキスタンなどまで調達先を広げていますが、十分確保できていないのが現状です。

小美玉市のもやし生産工場を運営する「旭物産」では、緑豆の仕入れ価格が21年に比べ2割ほど上がり過去最高の水準に迫っています。

林正二社長

「昔みたいな安い値段で緑豆はまず手に入らない。(値段が)どこまで上がっていくかちょっと見えない。そういう怖さがある」

原油高騰が追い打ち

さらに追い打ちとなっているのが、ウクライナ情勢の悪化によって加速する原油価格の高騰です。

もやしは20度以上の環境で栽培され、ボイラーで重油を大量に使って暖められます。燃料費は21年に比べ月およそ150万円、4割以上も上がっています

値上げを受け入れるスーパーも

会社はついに取引先へ納入価格の改定を申し入れ、4月から10%程度の値上げを受け入れてもらったスーパーもあるといいます。

これまで1円単位でコストを切り詰めてきましたが、企業努力では対応できない限界にきていると感じています。

林社長

「ギリギリのところで安い値段で消費者の皆さんにお渡ししていたのが現実。値上げが厳しいという思いを持っているスーパーもたくさんあるので、これからの交渉をあきらめずにしっかりと続けていく。これしかない」

もやしを巡っては生産者から値上げを言い出しにくい雰囲気もあるということですが、そうした中でも値上げ交渉を行うということは、それだけ状況が厳しいということでもあります。

消費者としては安い方がありがたいですが、近所のスーパーに行く時には生産現場のことも想像しながら、もやしの値段をウォッチしていきたいと思います。

(経済部 記者 大江麻衣子)

【2022年3月28日放送】