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NISA拡充

「NISA」恒久化、無期限に

NISAは個人の資産運用を後押しするために作られた税制の優遇制度で、購入した株式や投資信託などの売却益や配当金が一定の範囲内で非課税となります。

現在は、株式や投資信託が購入できる「一般NISA」と長期の運用を想定して投資対象を一定の投資信託に限定した「つみたてNISA」があります。いずれも期限付きの措置で資産の購入額に上限が設けられています。

「一般NISA」は投資期限が2028年までで非課税で保有できる期間は最長5年間となっています。年間の購入額の上限は120万円。非課税で保有できる投資総額は最大600万円です。

一方、「つみたてNISA」は投資期限が2042年までで非課税で保有できる期間は最長20年間。年間の購入額の上限は40万円で非課税で保有できる投資総額は最大800万円となっています。

この制度はどちらか1つしか選ぶことができません。

今回まとまった新たな制度では、長期の積み立てを目的に投資信託だけを購入対象とする「つみたて投資枠」と、上場企業の株式などを購入できる「成長投資枠」を設けます。新制度は2024年1月からスタートし、どちらも利用できるようにします。

そのうえで、制度は恒久的なものとして、非課税で保有できる期間も無期限とします。

年間の投資の上限額については、「つみたて投資枠」が120万円、「成長投資枠」は240万円、合計で360万円とします。さらに、非課税で保有できる資産の限度額は、2つの枠の合計で最大1800万円とし、株式などの枠はこのうち1200万円以内に抑えることとしています。従来の「一般NISA」や「つみたてNISA」で投資をしている人も、新たなNISAは、上限額まで利用することができます。

例えば現在の「一般NISA」で上限の600万円の資産をすでに保有している人も、これとは別に新制度のNISAで1800万円まで非課税で保有できます。

政府は、「資産所得倍増プラン」の実現に向けた具体策として、NISAの投資額を今後5年間で56兆円と、現在の規模から倍増させる方針を示していて、NISAの大幅な拡充でプランの実現につなげたい考えです。

専門家はどうみる

今回の税制改正大綱について、政府税制調査会の委員で税制に詳しい一橋大学の佐藤主光教授に聞きました。

Q.NISAの拡充はどう評価する?

A.政府としては、家計にたまってる1000兆円を超える現預金を、いかに投資に回すかということに腐心していることはわかる。

ただ、累計の限度額が1800万円となったことについては、金持ち優遇という批判は免れない。

本来の拡充とは、金額ではなく、利用者の拡充であるべきだ。今回の改正で、勤労世帯の低・中所得者の間でNISAが浸透するかどうかは今後、検証が必要だ。