手応えつかんだ2022年シーズン
リーチ選手は前回、2019年の日本大会まで3大会連続でワールドカップに出場し、このうち2大会でキャプテンを務めました。
日本ラグビー界の顔とも言える存在です。
前回大会では日本を史上初のベスト8に導き、国内にラグビーブームを巻き起こし、フランス大会が開催されることしを充実した状態で迎えています。
(リーチ マイケル選手)
「個人としてはすごく体がいい状態で、パフォーマンスも今までに比べていいものを出し続けられています。それはかなり自分の中で自信につながっていますし、今ラグビーやっていて一番楽しいです」
昨シーズン、世界ランキング2位のフランス、3位のニュージーランド、5位のイングランドなど強豪とテストマッチを行った日本。リーチ選手によれば、個人のタックルやボールタッチの回数などは、不調時に比べて3倍近く増えているというデータがあるということです。
34歳にして「すべての試合で成長できた」と語るように、いま絶好調とも言える状態だというのです。
引退も考えた地獄を乗り越えて
「不調時」とはいつだったのか。
それはけがに苦しみ続けた時期でした。
2019年に股関節を痛め、なんとかワールドカップに出場したものの、その後も股関節やひざ、足首など、体のあらゆるところに痛みを抱えていました。
そのときの状態はみずからの進退を考えるほど深刻なものでした。
(リーチ マイケル選手)
「2019年のワールドカップは、けがしたままなんとか出られたんですけど、その次から2020年、2021年と本当に最悪でした。引退を考えていました。どんな状態かというと、練習をどうやってサバイバルするかという感じ。練習や合宿で痛みと闘ってどう生き残るだけを考えていました。横断歩道の青信号が点滅するじゃないですか。急がなきゃいけないのに走ることができない。本当に地獄でした」。
その後、手術やリハビリなど時間をかけて現在の状態に戻したリーチ選手。
「地獄を感じたからこそ今がすごく楽しい」
どん底を乗り越えて動けるありがたみを実感しています。
課題はフィジカル面
復活を果たしたリーチ選手は今、フィジカル面の強化に特に力を入れています。
きっかけは11月に行われた強豪、イングランドとのテストマッチです。
この試合、日本はボールを持っても鋭いタックルを受けて前に出ることができず、相手の攻撃も止めることができませんでした。
ワールドカップの1次リーグでも対戦する相手に13対52と大敗しました。
突きつけられた圧倒的なフィジカルの差を地道に埋めていくしかないと痛感しました。
(リーチ マイケル選手)
「世界トップの試合ではフィジカル面で勝っているチームが試合にも勝っている。強いチームはフィジカルがベースにあってゲームプランがある。ボールを持ったときにいかに前に出ていけるか、相手が攻めてきたときに勢いを止められるか、そこを修正していかなければいけません」
12月、所属チームの練習を終えたリーチ選手は、グラウンドに居残ってひたすらタックルを繰り返していました。
疲労が重なっても強く激しく当たり続けられる体を作ろうとしていたのです。
タックルしては起き上がり、そして立ち上がると再びタックルを仕掛ける。
誰よりも苦しい練習を愚直に続ける姿が印象的でした。
自身4回目のワールドカップ原動力は
年齢による衰えは「感じていない」と話すリーチ選手。
ワールドカップに向けて厳しい練習でさらに状態を上げていきたいと考えています。
原動力を聞くと、けがを乗り越えたリーチ選手ならではの答えが返ってきました。
(リーチ マイケル選手)。
「頑張れる理由は『頑張れるから』。それだけです。あちこち痛くてできない時もあったから、治った今はどんどんキャパを広げていきたい。またすぐどこかでけがしてしまうかもしれないし、元気な今のうちにどんどん練習をやり込みたいです」
日本はことしのワールドカップで前回のベスト8を超えるベスト4を目指します。
リーチ選手はその目標に向けて「いけない理由はない」と自信をのぞかせます。
自身4回目となる大舞台は、感謝の思いを示す場、そして大きな目標を達成する場にしたいと考えています。
(リーチ マイケル選手)
「引退しようと思っていたが、いつも応援してくれている高校の先生や監督、チームの仲間だったり、代表の仲間、コーチ、スタッフがずっと自分の背中を押してくれました。手術でいろいろ手伝ってくれたリハビリの先生だったり、ファンの方もたくさんいる。今年はそういった人たちに恩返しがしたいと思っています。僕の中ではワールドカップで優勝したいという思いが強いです。やっぱり目指さないと次のステップにいけないと思うので、そこは自分の中では優勝のつもりでやっていきたいと思います」