2019年03月19日
(聞き手:土井湧水)
真っ暗な夜空に降り注ぐ流れ星…。今回の先輩は「世界初!人工流れ星」の事業を手がけるベンチャー企業「ALE」の代表取締役、岡島礼奈さん。「誰もやったことのないことに挑戦したい」という岡島さんのアイデアの源は何なのか、学生リポーターの土井が迫りました。
学生リポーターの土井です。
よろしくお願いします。
岡島さんはどんなお仕事をされているんですか?
「流れ星」をつくっています!
宇宙が好きで、大学院では天文学で博士号を取ったんですが、「科学を社会につなぐ」ということに非常に興味があって。
流れ星を人の手で流すことができれば、エンターテインメントとしてみんなに楽しんでもらえる。
すると、普通に科学を紹介するよりも、たくさんの人に届くかなと。
流れ星は、現在、白・緑・青・オレンジ色が可能で、最長10秒間も光らせることが可能。
人工衛星はすでに打ち上げられ、2020年に広島・瀬戸内で最初の実験を行う予定だそうです。
流れ星を通じて宇宙を身近に感じてくれる人や興味を持つ人を増やして、どんどん人間が地球の外に行くような未来をつくたいというのが目標の一つです。
「科学を社会につなぎ、宇宙を文化圏にする」ことが私たちのミッションですね。
なぜ流れ星に注目したんですか。
学生の時、鳥取砂丘で見た「しし座流星群」の美しさに感動したんです。
そして友人と流れ星の仕組みについて話していた時に、「これは人工的にできるんじゃないかな」と。
流れ星を見たことがきっかけで新しい宇宙エンターテインメントをつくりたいと思いました!
やりがいはどんなところでしょうか。
今まで誰もやった事がないことに挑戦するところに非常にワクワクしながら仕事してます。
先にやっている人が誰もいないところをどんどん開拓していくというのがすごく楽しいですね。
ところでこの流れ星、どうやって流すのか気になりますよね。
計画では、小さな人工衛星におよそ1センチの特殊な球を400個搭載して宇宙に打ち上げます。
そして計算した場所でこの球を放出することで、地球に落ちてくる間に、大気圏で燃え尽きて光を放ち、「流れ星」となるそうです。
岡島さんはALEの設立前に証券会社に入社しましたが、1年で退職されたのですね。
もともとは基礎科学分野に資金を流したいなどと思って、資金の流通を学ぶためにゴールドマン・サックス証券に入社しました。
在学中にやっていた研究では結果を出すには5~10年はかかります。
ですが、ビジネスでは数か月で結果を出す必要があり、大きな企業に所属してルーティンの中で働くことが苦手だと再認識して1年で退職しました。
その後、新興国へ進出する企業を支援するコンサルティング会社に参加しましたが、出産して子育てをする中で、時間が限られ、自分の好きなことをしたいと思うようになりました。
そして、ずっとあたためていた流れ星の事業に舵を切ったんです。
(「流れ星」の事業を始め)独創的なアイデアを実現するために必要な情報は何ですか。
私の場合はオンラインで、よくフェイスブックとかツイッターを使っています。
特にフェイスブックは理系の話題をたくさん提供してくれる研究者の知り合いが多くて、その人たちが投稿する、彼らが興味を持ってる記事がすごく面白いので、それをよく見ていたりします。
それをどう役に立てているのですか。
まず、科学の発展でこんな新しいことができているのかとか、こんな世界になっているんだという事が分かってきます。
今、私たちは流れ星の会社ですが、将来的にはもっと宇宙を舞台にした科学というものをたくさんやりたいので、業界のトレンドを知っておく=自分たちの事業の将来像、未来を描くために情報を得ているんです。
ほかには情報活用などで意識されていることはありますか。
例えば私たちって、いろいろな会社の人と会って自分たちの会社の説明とかをする時に、そもそも、宇宙の事知らない人とお話をするんですね。
宇宙業界ってこうなってるんですなど、そういうトレンドとかはニュースで仕入れています。
例えば、「先月、宇宙業界でこういう話があってですね」みたいな話をしたりとか「外国の企業がこんな実験に成功した」とか。
そういう情報は、自分たちを紹介する上で大事なんです。
多分その話を聞いてくれてる人たちは、知識が乏しい人よりも「最近のトレンドこうなんですよね」みたいな話をできる人のことを信頼するっていうのはあるかなと思っています。
信頼を得るための情報の入手で、取捨選択はどうしていますか。
情報、特にオンラインって玉石混合ですよね。
ファクトが書いていなくて、感想だけ述べているものはあまり読まないようにしています。見出しでは判断せずに中身を読むんですよね。
ただ、筆者の話ばかりになっているものは途中で読むのをやめます。
客観性を持った物を読みむようにしてます。
なるほど。情報の取捨選択で、学生にも活用できることはありますか。
学生さんに特に意識して欲しいのは、一次情報に当たること。
ツイッターとかでバズる情報って、真実に対して人が見て言っている事を、別の角度からまとめているものですよね。
以前あったキュレーションサイトみたいなもの。
それは見ないようにしています。
人に会う時に、例えば自分が学生だったとして、就活するとしましょう。
その、相手先の会社の事を中途半端に調べて行って、突っ込んだ質問しようとしてボロが出ることはありそうじゃないですか。
でもわたし、すぐ都合の悪い事を忘れるので、何かうまくいったことしか覚えてないんだけど(笑)
先ほど、「未来を描くために情報を得る」とおっしゃっていましたが、就活生にもそういう視点って大事だなと思いました。
そうですね、やっぱり就活生にとってもすごく大事だと思います。
例えば、今、大手のIT企業はすごく人気ですけど、人気になる前の20年前にあなたなら入りましたか、という話ですよね。
トレンドを意識していたら20年前に入ってるはずなんですよ。
この先、世界がどうなるかを見据えて就職先を選ぶというのは、もしかすると大事かもしれないです。
ただ、もちろん自分がやりたいことやればいいだけ。
ただトレンドって変わっていくので、今、人気な企業はピークなだけだ、というのを頭に入れたうえで、今後どうなるかは考えておいた方が良いですね。
総合格闘技!?(笑)
今まで身に着けたスキルを総動員して、日々それをアップデートしながら全部使っていますという意味です。
あ、でも大丈夫かな?会社のブランドイメージを気にしています、今(笑)
この「人工流れ星」の事業もその結集ですか?
そうですね、私たちは、資金調達や技術を駆使しながら、全方位にすごく難易度の高いことをやっています。
私ひとりではなく、チーム戦で「総合格闘技」だと思っています。
世界を股にかけて、人工の流れ星をつくるお仕事で活躍されている岡島さんの夢のあるお話を聞いて、すごくわくわくしました!
日々進化する科学の発展の裏側には、多くの方々の努力があって、そこには様々な情報も深く関わっていることを改めて実感しました。
今後、流れ星を通じて人間が地球の外に行くような未来が来ると思うと楽しみです!