2020年03月05日
(聞き手:井山大我 勝島杏奈)
今回の先輩は、初登場のジャンル・・・、3Dアバターの「イトッポイド」さんです。人手不足の昨今、「アバター」で働くことが注目されつつあります。「バーチャル販売員」として、様々な企業の商品PRを手がけるカリスマ店員の「イトッポイド」さんの神髄に、学生リポーターは迫れるのでしょうか?
こんにちは!私の名前はイトッポイドちゃんです!
!!!
…(絶句)
アバターとは自分の分身となるキャラクター。
遠隔地にいてもネットを通じて、身振り手振りを織り交えて会話することもOK!
人手不足解消の手段の一つとして、実は、接客業を中心に導入がはじまっています。
イトッポイドさんもそのひとりなんですよ!
イトッポイドさんは、3月7日(土)(24:35~25:35)放送予定のNHK総合「テンゴちゃん」に出演。
アバターで仕事するってどういうことですか?
メリットは、遠隔でコミュニケーションができること。つまり、場所に縛られないし、外見に縛られないということ。この2つがめっちゃ大きいの。
例えばいきなり新商品の売り込みに「九州でやって」と言われても、すぐにはできないよね?
はい。
でもね、すぐに行けなくても、アバターだったら、画面に映して遠隔で売り込みがすぐできるんだ。
それと、例えば、ちびっこ向けのコーナーに大人の売り子が立っていたら、ちびっこは威圧感を感じるよね。
それはわかります。
でも、それがクマさんのアバターで「こんにちは~」、「どこから来たの?」って会話ができれば、売り場にちびっ子を繋ぎ止めることができる。
そこにお母さんが来たら、新商品を買ってくれる可能性があるよね。
そっかぁ。
アバターは、ビジネス的に考えたり、面白いことを仕掛けたりしたいと思ったときに、すごく有益。
人間ってやっぱり基本的に顔があった方が、コミュニケーションが取りやすい生き物だから。
ちなみに、イトッポイドちゃんは何歳なんですか?
この体になってから1年だね。
1歳!?
乳幼児でいうとちょっとずつ言葉を覚え始めたタイミングだよね。
1歳のわりにすごくしゃべれますね…
エプロンを着けているのはなんでですか?
最初は遊びだったんだけど、“バーチャルティッシュ配り”とかトラックで試供品を配る“バーチャル貨物トラック”とかお仕事をするようになって。
エプロンをしていると売り子だって初めて見た人にもわかるようにするためだよ。
エプロンかわいい!
こういうデザインでみんなに「買ってくれ!」って言ったりするためにこういう格好をしているんだよ。大我くん、分かったかな?
めっちゃ分かりました。
大我くんの理解力はすごいねー。
そもそもなんですけど、アバターってなんですか?
調べると出てくると思うんだけど、「代わりの肉体」的な意味もあるし、映画「アバター」のような意味もある。
なるほど。
それと、ツイッターのアカウント自体がアバターという言い方も正しいよね?
え・・・ごめんなさい。ど、どういうことですか?
ツイッターのアイコンは何にしてる?
風景です。
それっぽい。
私は自分の昔の写真です。赤ちゃんの頃の。
なんで自分の昔の写真にしてるの?
かわいく写っているから。
うんうん。かわいらしさを踏まえた上で発言を投稿したいし、みんなにそう見せたいから、そのアイコンにしてるわけじゃん。
まあ、そうですね…
じゃあ、私がこのかわいく写っているアバターを使って、こうしてしゃべっていることと何か違いはある?
そういうことか…
今は、誰でも特別な専門知識がなくても、自由にアバターを作ることができるよ。
すごい!
アバターを作るのにどれくらい時間がかかるの?
アバターを作るのは簡単で、それこそスマホアプリとかですぐにできちゃいます。しかも、無料で!
無料!?
そう。でも無料だからと言って、みんながやるかというと違うよね。
例えば、最近筋トレ流行ってるよね。無料ですぐにできるし、やったほうがいいっていうのもわかってる。
なのに大我はなんでやらないのかな?
え…、家でゴロゴロしていたいからですね(笑)。
やれ!!!!
は、はい…
大我は怠け者だからね。ちなみにイトッポイドもまだ筋トレできてないよ。おそろいだね。
アバターも同じで、これからだんだん普及してくると思うよ。
(笑)
みんながアバターを持つ時代は来るんですか?
うん、イトッポイドは来ると思っている。確信的に。
確信的ですか…
簡単に言えば、みんなスマートフォン持ってるじゃん。それと同じ枠かな。
iPhoneが初めて出てきた時って、「俺、iPhone買っちゃったんだ!お前、まだガラケー?」ってギャップがあったのね。そういうレイヤーの話ね。
なるほど。
ただ、その波はおそらく海外から来ると思うよ。
え!それはなんでですか?
具体的に言うと、フェイスブック社が「アバターを用いたコミュニケーションサービスをリリースする」と宣言しています。
はい。
で、フェイスブックもツイッターもグーグルも、全部アメリカ発祥だよね。
これまでも結局、日本はそのサービスに飲み込まれてる。だから、アバターもおそらく同じ感じになると思うの。
なるほど。
ただね、一つポイントがあるとすれば、向こうのノリだと3Dキャラクターが彫りが深い外人になるかもしれないわけ。
マイケルみたいな?
そう、ジョン、ボブ、ケリーみたいに。
それは嫌だ…。
ツイッターのアイコンにこんなにもアニメ、イラストとか、キャラクターを設定しているのって、たぶん日本くらいなの。
キャラクターに対する造形と愛がすごく深いし、独自のカルチャーが育ってる。世界に誇れるものだと思うの。
確かに。
だから、海外からそういうムーブメントが来る前に、日本発のアバターがこんなにいっぱいあるんだよってなっていれば、向こうも対応せざるを得ないと思うんだ。
イトッポイドがアバターとして活動しているのは、日本が誇るキャラクターのカルチャーを、未来につなげたいっていう理由もあるの。
でも、アバターと対面でのコミュニケーションはちょっと違う気がするんですが・・・。
もちろん。でも、このインタビューも実際アバターを通して話ができているよね。
イトッポイドは、コミュニケーションにおいて『何を伝えたいか』っていうミッションだけかなえられればいいと思っている。
難しい…。
今のは本質的な話で、もうちょっとね、チャラい話をすると、人と人のコミュニケーションってすごくいろいろな情報を出しているの。
でも、アバターの場合、動きが単調で、そこまで表情がつかない。ってなると、情報量が少ない。言い換えると、余計なものは隠せるの。
つまり…
写真を撮られるからオシャレしなきゃとか、女性だとメイクしなきゃとか。生身の人間って情報量がとっても多い。それをすべてコントロールするのは、やっぱり大変。
それがダルいって時もあるでしょ?でも、アバターを使えば、ざっくりしたキャラクターでやり取りできるから、そういう問題は解決できるの。
アバターであれば「なりたい自分」になれるってこと?
うーん、それは違うかな。「なりたい自分になれる」わけじゃなくて、「見せたい自分にできる」って思ってる。
実際にできるかどうかは、その人の能力やセンス次第だから。ツイッターだって投稿しても、みんなバズるわけじゃないよね。でもうまくやればできる。それと全く同じ。
いいキャラを選べば自分と別人になれるわけじゃない。自分をどう見せたいかコントロールしやすくなるのが、ポイントだと思うよ。