教えて先輩!スープストックトーキョー副社長 江澤身和さん【前編】

主婦志望 フリーター経由 副社長

2020年04月20日
(聞き手:佐々木快 田嶋あいか 西澤沙奈)

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全国に60店舗以上を展開するスープストックトーキョー。江澤身和さん(38)は実は大学卒業後、4年間フリーターとして過ごしたあと就職し、副社長まで昇進した異色の経歴です。会社勤めが想像できなかったという学生時代から、どのようにステップアップしたのでしょうか。(※新型コロナウイルスの感染拡大前に取材しました)

将来の夢は「主婦」

学生
西澤

よろしくお願いします!

学生
佐々木

副社長としての、今の仕事内容はどういったものでしょうか。

そうですね、2019年4月から副社長兼店舗営業部の部長になったので。売り上げに対する責任も負ってるし、予算も立てています。

江澤さん

売り上げが良い店、不調な店に対して、どうやって価値を上げていきますかっていうのを、店長たちと一緒にやっていますね。

スープストックトーキョー副社長 江澤身和さん

学生時代のことについて教えてください。

中高と私立の女子校に通っていて、年度の終わりに将来やりたいこと、進路を毎年聞かれたんですけど。

特にやりたいこと、夢とか成し遂げたいことがずっとなくて。毎年何となくで「主婦」って書いていました。

将来の夢が主婦ということですか。

自分の母親も専業主婦でしたし、父親も自営業だから、あんまり会社勤めするというのは身近じゃなくて。

なので、いつか自分は主婦になるんだと、漠然と思ってました。

大学に行ってからも変わらなかったんですか。

短大の2年間、あまり勉強が得意ではなかったので、アルバイトのほうが断然楽しくて、そればかりやっていました(笑)

私、一回も説明会行ったことなくて、リクルートスーツ自体を買ってないんですよ。

周りが就活していて焦らなかったんですか。

それが、全然焦らなくて。

卒業したらどうするのとか聞かれても、特にやりたいこともないからフリーターになるかなって言ってました

実際になりました(笑)

フリーターはどのくらいの期間やってらしたんですか。

卒業してから4年間くらいですかね。

けっこう長いですね。

さらに、途中、半年ぐらいニートになってしまって

バイトもしない、ちょっと友達と旅行に行ったり遊んだりばかりしてる。

それでいて、何か特に思い悩んでるとかでもなく。

学生
田嶋

その間はどういうことを考えていたんですか。

ニート生活の最後、友達と京都に旅行に行ったんです。

旅行先で30代の若いご夫婦がやっているゲストハウスに泊まって。

その若いご夫婦と「どこ行くの?」とか、「ここおススメだよ?」というのを、ガイドブックじゃなく直接コミュニケーションをとっていたんですね。

そのご夫婦の仕事のしかたとか生活とか、本当に生まれて初めてなぐらい、「あー羨ましい、こういう事をしてみたい」って思ったんです

旅行に行って、自分で見たものが影響したんですね。

そうですね。

やりたい事がちょっと見えてから、得なきゃいけないものって何だろうと思ったら、経営とか運営を学びたいって思って。

だとしたら飲食業の店長という仕事から学べるかもしれないと思いました。

当時、友達が今の会社(スープストックトーキョー)でアルバイトしていて、「だったら、うちでバイトすれば?」って言われて入社したんです。

人の成長がやりがい

アルバイトで入った当初から就職というビジョンはあったんですか?

ここで社員になるという考えは、当時は本当に思ってなくて

同級生が店長、私がアルバイトで働いた時に、その子から「うちで社員になってみれば?」って言われて、はっとしたんです。

アルバイトから社員になって 店舗で働いていたころの江澤さん

社員になってからはどんな感じだったんですか?

今思えば生意気ですけど、「早く店長やらせてください」ってずっと言ってて、すごい積極的でした。

社員になって、2、3か月ぐらいで、お店の店長を任せていただきました。

認められたということなんですね。

店長の仕事がとにかく楽しくて、自分がもともと学びたいと思ってたことでもあったし。ただ、やってみたら難しかったんです。

チームみんなをまとめなきゃいけない。しかも、みんなが社員ではなくアルバイトだったりと立場が違って。

まとめながら、ひとつのお店を運営して、どうやったらお客様に喜んでもらえるかなって。

店長として働く中で、どこに一番やりがいを感じていましたか?

やっぱり人の成長が見れるところですかね。

最初は何も分からなかったメンバーが、働く中でちゃんとできるようになっていく過程を見たり、その人が次の後輩を育てているの見られるのはうれしいです。

ただ、商売なので、ちゃんとひとつのお店として価値や利益を出せるかはこだわってたところですね。

店長を務めたあとは本社に?

当時は法人営業部という部署があって、冷凍スープをいろんな販路で販売する部署に異動しました。

そのあと人材開発部という部署ができて、その部署の部長を任されました。

2016年にスマイルズという会社の一事業から、「スープストックトーキョー」というブランドが会社になったので、そのタイミングで取締役になりました。

そして、去年(2019年)の春、副社長になりました。

すごい、ドラマみたい。

天気予報も大事な情報

お忙しいと思うのですが、一日のスケジュールはどのような感じですか。

江澤さんの ある1日のスケジュール

出社をしたらまずは前日の全店の売上をウェブで確認して、メールチェックして、経営会議とかプロジェクトごとに動いているミーティングに参加する。

あわせてお店の巡回と店舗のメンバーとのミーティングですね。

情報はどのように集めていますか。

情報収集はもうとにかく「ながら」が多くて、出勤しながらとか。

一人で集中して何かをやる時間ってあまり取れてないんですよ。

移動しながらとか、とにかく電車の中が多いです。けっこう携帯見ているかもしれません。

どういったニュースを中心に見ますか。

基本的に世の中のニュースを見るんですけど。

いろんな企業のニュース、働き方とか企業が行っている新たな取り組みを注目しています。

あとは気候によって私たちの業態は売り上げが左右されるので、天気はもう毎日見てます。

天気!? 初めて聞きました。

例えば台風とか雪とかがひどいと、お店に商品を届けてくれる納品の人たちが、車が動かないから来られなくなるんですよ。

確かにそうですね。

あとは、気温がぐっと下がると、スープ食べたくなりませんか?寒い日はいつもより多くお客様がいらっしゃいます。

だから、ずっと寒いよりも、ちょっと暖かかった時から下がったタイミングが、一番お客様が増えるんですよね。

だから、寒暖差が大きそうな時は、店舗に事前に連絡を入れます。

現場にもけっこう行かれるんですね。

お店ももちろん当たり前に行きますし、社員と話したり交流したりする時間は何よりも大事にしています。

優先度が、私はぐっとそっちのほうが上がってしまうので。

逆に会議とかにちゃんと出てくださいって言われるくらい、何かあると現場が大事と思ってしまいます。

管理職になったら、社員さんとあまり関わらないのかと。

私の場合、社員ひとりひとりと話すのがモチベーションになるんですよね。

だから、意図的にでも予定を調整して話しに行くんです。

編集:加藤陽平

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