世界で一番危ない波の怖い気持ちを自信に

五十嵐カノア

サーフィン #やっぱ好きだなぁ

五十嵐カノアにとって、オリンピックは特別な舞台だ。
初めてサーフィンがオリンピックに採用された東京大会。銀メダルを獲得した五十嵐は、その影響力の大きさに驚いたという。

「周りの家族や親戚にメダルを見せて、みんなの幸せな顔を見ることができて、これが本当のオリンピックのパワーだと感じた。東京オリンピックのおかげで世界にサーフィンを見せることができた」

すでにパリオリンピック出場を決めた五十嵐が次に目指すのは、金メダルだけ。
その舞台となるのは、南太平洋に浮かぶ島、タヒチだ。

世界有数の大きな波が生まれるスポットとして知られるタヒチのチョープー。実は五十嵐が10代前半から、毎年訪れてきた思い入れのある場所だ。

危険と隣り合わせのこの場所で、みずからの成長のために何度も波に挑んだ。

「タヒチは世界で一番怖く、危ない波。無理やり自信が出るように何回もタヒチに行った。怖い気持ちを自信に変えることができた。いつか大切な日があると信じていたが、それがパリオリンピックだった。本当に子どもの時にいっぱい行っておいてよかった」

しかし、その会場で今、心配なことがある。
環境への影響の懸念から、地元でオリンピック開催への反対運動が起きているのだ。
ISA=国際サーフィン連盟は「自然環境を保護しながら大会を運営するための共通の合意を見つけるため、すべての関係者と協力することに全力を尽くす」と声明を発表。五十嵐も自身のSNSに「地元の生態系にダメージを与えない解決策に至ることを願う」と投稿した。

思い入れのあるタヒチで、特別な舞台であるオリンピックの頂点に立つために。五十嵐の中には明確な答えがある。

「自信を持って毎日、メダルのことを考えてそのために準備をする。何をやれば金メダルに近くなるかを毎朝考えて、寝る前にきょう目標に近づいたか自分に聞いて『近づいた』と答えられればよく寝られる。パリ大会までにコントロールできることは何でもやって準備を100%する」

準備を積み重ねていくことこそが五十嵐の目指す金メダルへの道筋だ。

「10年、15年と練習してきた経験をパリオリンピックに持って行く。オリンピックが近づいてから練習しても遅い。もう準備はできているので、パリオリンピックでいつもどおりのことをやりたい」

サーフィン #やっぱ好きだなぁ