限界を決めるのも諦めるのも自分自身 諦めなければ夢はつながる

長友佑都

サッカー #苦しいとき

去年のワールドカップカタール大会。
4大会連続出場となった36歳のディフェンダー、長友佑都はフィールドプレーヤーでは最年長ながら4試合すべてに先発した。

豊富な運動量で攻守に貢献し、ピッチの外でもチームをもり立てた。
目標のベスト8には及ばなかったが優勝経験のあるドイツやスペインを破って決勝トーナメント進出を果たした日本の躍進を支えた。

「すべてをかけてきた」というワールドカップを終えたあと、みずからの心の内をSNSにこう記していた。

「心が空っぽになった」
「サッカーのことは忘れ、ゆっくり休みたい」

このとき長友は現役を続けるかどうかも迷っていた。
自分の正直な気持ちと向き合おうとあえてサッカーから距離を置き、トレーニングもしなかった。
しかし、テレビで目にしたワールドカップの決勝に大きな衝撃を受けたという。

「これだけ国も世界中も1つになるような注目を集められる大会はなかなかない。当事者として戦っていると、それを感じづらくなったり、ちょっと疎くなったりするけど、テレビを見てワールドカップの大きさ、サッカーの偉大さというものを再確認できた」

もう一度、あの最高の舞台を目指したい。
すぐに長友はSNSに思いをつづった。

「凄まじいエネルギーをもらった」
「辞められないよ」

それから1か月足らず。
長友はFC東京のキャンプ地、沖縄で再びユニフォームに袖を通していた。
今の目標はチームをJ1初優勝に導くこと。
開幕ゲームでは先発メンバーから外れたが、ベンチから誰よりも大きな声を出し、雰囲気を盛り上げた。

後半から途中出場し、サイドを一気に駆け上がってシュートを打つ。
惜しくも外れたものの変わらぬ存在感を印象づけた。
視察に訪れた日本代表の森保監督も「サッカーをやりたいという情熱がほとばしっている」と表現したほどだ。
3年後のワールドカップは39歳で迎えることになるが「現役である以上は目指したい」と明言する。

これまで5大会連続でメンバー入りした日本選手はいない。
フィールドプレーヤーとしても史上最年長となるが、そんなことは気にしていない。
年齢による衰えを心配する声や批判をすべてエネルギーに変えてみずからの道を切り開いてきた長友。その経験を踏まえてことばに力を込めた。

「ロシアワールドカップのあと、4年後のカタール大会を目指すとなったときに『36歳では無理だろ』『厳しいだろ』という声は聞こえてきたけど、自分を信じて貫けば道はつくれるということを学んだ部分でもある。年齢はただの数字であって、限界を決めるのも諦めるのも自分自身。諦めなければ夢はつながる」

そして、カタール大会で成し遂げられなかったベスト8に向けて、ことし30周年を迎えるJリーグで、さらに自分自身を磨いていくつもりだ。

「僕はJリーグに育ててもらって今の自分があると思うので大きな恩返しはしたいという強い気持ちがあるし、Jリーグの発展が日本サッカーの発展につながる。今回のワールドカップで日本はベスト16で敗れてしまったが、その先に行くためにはJリーグが盛り上がらないといけない。自分自身、使命感を持ってJリーグで戦いたい」

サッカー #苦しいとき