引退する時にあの時もうちょっとこうしておけばよかったと後悔したくない

堀江翔太

ラグビー #迷っているとき ラグビーワールドカップ2023

初夏の宮崎でのインタビュー。
このあとに続くテストマッチに向けて意気込みを問われた36歳の堀江翔太は、冗談交じりにこう言った。

「おじさんでも元気にラグビーしている姿を見せられればいい」

ことしの堀江は、リーグワンの試合ではベンチスタートが多かったが、勝負どころで投入され、力強いスクラムやラインアウトでの正確なスローインでチームを勢いづけた。

「おじさん」とはほど遠い、その圧倒的な存在感からついたあだ名は“ラスボス”。
ゲームなどで最後の敵となって主人公に立ちはだかるボスが転じたもので相手チームにとっては絶望的な強さを誇る切り札であること意味する。
そして、チームをリーグワンの初代チャンピオンに導きMVPにも選ばれた。

「僕が若いころって35歳、36歳は引退するような年齢だったし、うっすらそういうイメージがあった。それが36歳でこういう賞がとれたというのは非常に価値があるのではないかと思う」

ただ、余韻に浸ったのはその瞬間だけだった。

授賞式から1週間もたたないうちに行ったインタビューでは
「今の時点ではMVPをとれてよかったという思い出ぐらいの感じ。そこまで覚えていない」と話した。

これまで数々の栄光を手にしながら決して満足することなく「もっと成長したい」とラグビーに取り組んできた姿は今も変わっていない。

長年、二人三脚で歩んできたトレーナーのもとで「30歳の時よりも体が動くようになっている」と話す堀江。

一方で、みずからの引き際は「あと数年」だという。
だからこそ、なのかもしれない。
堀江は後悔のないようにラグビーに打ち込み続けると決めている。

「ワールドカップの出場は年齢的に最後になると思うし、そこに出る、出ない、結果を出す、出さないで大きく人生が変わると思う。しっかりコンディションを整えてワールドカップを目指したい。まずは目の前のことを悔いなくやっていきたいと思っている。
引退するときにあの時もうちょっとこうしておけばよかったと後悔したくないから」

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