20歳なので“大人のサッカー”を

久保建英

サッカー

東京オリンピック世代、24歳以下の日本代表の強化合宿中の6月4日、久保建英は20歳の誕生日を迎えた。

「最近は幸運なことに代表で誕生日を迎えられているので、毎年続けばいいなと思いつつ、『代表に選ばれただけで喜んでいる時間は終わったよ』って、自分に言い聞かせるようにしていますね」

そして、その決意を聞かれると、迷わず答えた。

「20歳なので、もう1段階ギアを上げて“大人のサッカー”、“大人の自分”をピッチ内で見せて行けたらと思います」

久保が言う「大人のサッカー」とは。日本代表の先輩が背中で見せてくれたものだという。
24歳以下の日本代表の一員として、誕生日の前日3日に行われた年齢制限のない代表との「兄弟対決」。
0対3で敗れた試合だが、オーバーエイジ枠として参加し、ドイツ1部リーグでプレーする遠藤航が試合終盤に途中出場し、攻守でチームを活性化させたことに大きな刺激を受けた。

「遠藤選手が入って試合が落ち着いた。どういうプレーをするか、しっかり頭に入れてピッチに入っている。チーム全体を俯瞰してゲームを見て、流れや時間帯を考えて余裕を持ってプレーしている。ああいうのが大人ということなのかなと思いましたね」

日本サッカー界の将来を背負う逸材として、常に注目を浴び続けた10代を過ごした久保だが、昨シーズンはスペイン1部リーグで苦しんだ。ビリャレアルとヘタフェという2チームで出場機会に恵まれなかったのだ。
それでもヘタフェではチームの1部残留がかかった5月のリーグ戦で、値千金の決勝ゴールを決めた。この半年間、逆境の中でも居残り練習などでシュートの技術を磨き続けてきたことが実を結んだ瞬間だった。

「『終わりよければすべてよし』とまでは、言えないかもしれないけど、あのゴールがあって少しほっとした自分がいるのも確かですし、いい流れには乗っているのかなと思います」

「ボールを持ったときに違いを出せる選手になる」と言う久保。
24歳以下の日本代表の中では攻撃の中心選手として風格すら漂う。東京オリンピックのメンバー選考に向けて最後の試合となった6月12日のジャマイカ戦では相手4人のまたを抜く技ありのシュートで先制点を決め、存在感を改めて示した。

苦しいシーズンで鍛え上げた自分のサッカーを”大人のサッカー”に昇華させて日本を導くその時を静かに待っている。

「個人としてできることはやったつもりだし、あとはメンバー発表を待つだけ。(東京オリンピックに) いろんな声がある中で開催されたときのために準備をするのが選手の義務だと思います。結果はどうであれ、自分たちができる最善のプレーをするためにいい準備をしたいと思います」

サッカー