どんなに打ちのめされても、心底、体操が好き

内村航平

体操

4大会連続のオリンピックとなる東京大会の代表に内定した体操の内村航平。
内定を決めた2021年6月6日の全日本種目別選手権、鉄棒の決勝。ミスが出るなど納得のいく演技ができず、直後は笑顔が見られなかった。

「いい演技で代表を勝ち取りたかった。だめです。ほかの選手の演技を見ていなかったので、演技を終えた瞬間は、“終わったな”と思った。代表を争っていた米倉英信選手に申し訳ない思いだ。これでは“キング”とか“レジェンド”とか言えないし、もっともっと練習しないといけない。きょうは運しかない。最後は運が味方をしてくれた」

4月から始まった東京オリンピックの代表選考。多くの栄光を手にしてきた王者にとってもそれは簡単な道のりではなかった。

「非常に難しかった。米倉選手もすごくいいプレッシャーをかけてくれていたので、感謝している。前向きに捉えると、オリンピックで完璧な演技を出すための試練だったと思う。完璧な演技が先に出てしまうとオリンピックでそれを超えるのが難しかったかもしれない。ミスのあったほうが強い気持ちで練習していける」

4回目のオリンピックとなる東京大会へどんな思いを抱いているのか。

「過去に3つのオリンピックに出てきたが、自分の生まれ育った国で開かれ、延期もあったオリンピック。特別だという以外に言いようがない。オリンピックがあるかないかは置いて、冷静にとらえると“特別”以外のことばが見つからない」

「本当によく続けている。本当に体操が好きなんだろうなと思う。どんなに打ちのめされても心底、体操が好きで、体操を追求しての繰り返しだった。4大会もオリンピック行くとは思っていなかった。自分自身でも考えられない、すごいなと思う、冷静に」

東京オリンピックの舞台。そこに内村が追い求めるものがある。

「僕の中では練習でもっと理想に近い演技を何回か出したことがある。それを試合で出すことの難しさを改めて感じている。練習と試合は違うと分かっているし、1種目に専念したことも難しさを何倍にもしている。進化というより、練習でできていることが何で試合でできないのか、追い求める姿勢が大事だ。完璧が出ることはないと思っているが、そこは求めないといけないし追い求めた先を見てみたい。結果や点数よりそっちを追い求めたほうが、毎日の練習が楽しくなるという信念がある。昔から変わっていないことを今なお、強く思っている」

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