どういう結果になってもマイナスに捉えずにプラスに捉えてほしい

奥原希望

バドミントン

リオデジャネイロオリンピック、バドミントン女子シングルスで日本初の銅メダルを獲得した奥原希望。東京大会で悲願の金メダルを目指し努力を重ねてきた。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で大会は1年延期。さらに開幕まで3か月を切った5月になっても、開催について世論の反応は厳しい。こうしたなか、彼女は2回目の緊急事態宣言の前、ひときわ力強い言葉で大勢に呼びかけた。

「オリンピックが開催されるのであれば、それはコロナを乗り越えられたということになります。開催されなかったならば国民の安全を第一に考えたということなります。私自身は、どちらの結果が与えられても納得できますし、それに従うしかありません。物事の捉え方というのは本当にいろいろな見方があると思っています」

さらにこう付け加えた。

「どういう結果になっても、皆さんマイナスに捉えずにプラスにとらえてほしいです」

奥原は困難の中にあってこそポジティブな気持ちが大切なことを身をもって経験してきた選手だ。
2017年の世界選手権、奧原は日本の女子シングルスとして初優勝した。
その歓喜の直後、膝の痛みが限界を迎えた。コートを一時離れざるおえなくなった奧原が「なんでこのタイミングなのだろう。いつもいいときにケガをする」と悔し涙を流した姿は忘れられない。

ただ同時に印象に残っているのが、その後に「ケガを乗り越えてさらに強くなって戻ってくる」と前を向いて約束を語った姿だった。
奥原はその後、2019年には世界ランキングで自身初めての1位に立ち、2020年秋から2021年にかけては出場した2つの国際大会と全日本総合選手権をいずれも優勝するなど、目標としてきたオリンピックの金メダルへ向けて、あの時の約束を果たし続けている。

「アスリートは、その時、その一瞬にベストを尽くしています。コロナ渦で皆さんも毎日本当に苦しい生活をされていると思うのですけれど、そんな中でも小さな幸せだったり、少しずつでも前を向くことをしていけば必ず乗り越えられると思っています。誰かの言葉に左右されるのではなく、自分たちが感じることをよりポジティブに感じながら生活してほしい」

オリンピックはいまも揺れ続けるが、彼女の心はぶれない。

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