能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市では、防潮堤や海沿いの岩礁がおよそ4メートル隆起したことが専門家の現地調査で確認されました。
能登半島の北側では過去に大規模な地震が繰り返してできたとみられる階段状の地形があることから、専門家は「4メートルもの隆起はめったにないことで、数千年に1回の現象だ」と指摘しています
地震 被害の全体像は 復旧は いまわかっていること 【17日】
令和6年能登半島地震の発生から2週間あまりとなりました。
石川県内では被害の把握やライフラインの復旧は進んでいるのか。
被災地の現状を県の発表などをもとに時系列で読み解きます。
(最新の数字は、いずれも17日午後2時時点のものです)
【「数千年に1回の現象」も】
「数千年に1回の現象」防潮堤や海沿い岩礁約4m隆起 石川 輪島
【各地で地盤が隆起】
輪島市の西側の海沿いにある門前町道下地区の漁港周辺では地盤がおよそ4メートル隆起し、一帯の海底が露出していました。
津波にのまれ一命とりとめ「申し訳ない」【被災地の声 16日】
こうした甚大な被害が各地で見られた今回の災害。
被害はどこまで把握できたのか、復旧は進んでいるのか。
石川県のデータなどから、いま分かっている被害の全体像をお伝えします。
【道路の復旧】
国土交通省によりますと、能登半島で緊急復旧を終えた道路の区間は
▽主要な幹線道路がおよそ9割で
▽このうち沿岸部を通る国道249号はおよそ8割で緊急復旧を終えているということです。
一方で、半島北側の沿岸沿いの国道を中心に大きな被害が集中したエリアはいまだ復旧せず、地震が相次ぐ中、土砂崩れなどを警戒しながらの作業が続けられています。
【孤立】
8日のピークには合わせて3300人あまりが孤立状態となっていて、その後は大きく減少したものの、少なくとも7つの地区の56人の孤立状態が依然、解消されていません。
このほか、孤立状態は解消されたものの、道路の状態などが不安定だとして引き続き支援が必要な「要支援集落」が多くあるということです。
【死者】
16日から10人増えて、あわせて232人の死亡が確認されています。
死者数の推移
自治体別には
▽珠洲市で99人
▽輪島市で98人
▽穴水町で20人
▽能登町で7人
▽七尾市で5人
▽志賀町で2人
▽羽咋市で1人
となっています。
「災害関連死」の疑い
死亡した人のうち「災害関連死」の疑いは、あわせて14人となっています。
9日に珠洲市で6人確認され、その後、能登町と輪島市でも確認されました。
内閣府によると、「災害関連死」は地震の揺れや津波などによる直接的な被害で亡くなるのではなく、その後の避難生活などで病気などが悪化したり、体調を崩したりして命が失われるケースを言います。
災害関連死を防ぐ避難所の運営方法 ポイントをまとめて
避難所で持病の薬が不足 心臓病など「災害関連死」増える恐れ
【重軽傷者】
重症者と軽傷者は、県内で合わせて1045人にのぼっています。
13日になって輪島市で500人近く報告されるなど、今後も被害の把握がさらに進むにつれて増えるおそれがあります。
【住宅の被害状況】
全壊、半壊、一部損壊の被害を受けた住宅の棟数です。
県内ではあわせて2万2495棟が確認されています。
住宅の被害把握の推移
七尾市が7276棟と最も多いですが、被害が大きい▽輪島市、▽珠洲市、▽能登町では調査中で全体状況が把握できていないということで、被害は今後さらに増え、実態はより深刻であると見られます。
このほか、▽志賀町では床上浸水が6棟、床下浸水が5棟、確認されています。
【避難】
石川県内の市や町が設ける避難所では、あわせて1万5283人が避難生活を余儀なくされています。
4日をピークに減少傾向にありますが、その半数が2週間がたった今も避難所などで厳しい生活を続けています。
2次避難
災害関連死を防ぐとともに、当面の落ち着いた生活環境を確保するため、ホテルや旅館などに移ってもらう「2次避難」。
10日以降、増え続けていますが、県が確保した3万人分に対して、1528人にとどまっています。
眠れず 暖取れず…避難所で死者も なぜ2次避難は進まないのか
被災地の2次避難や集団避難 分かれる判断 離ればなれの家族も
【断水】
厳しい状況が続いています。
合わせておよそ5万900戸で断水が続いています。
▽七尾市、▽輪島市、▽志賀町、▽能登町、▽珠洲市、▽穴水町では発災以降、ほぼ全域で断水が続いています。
【停電】
およそ7800戸が停電となっています。
全体として減少傾向となっていますが、輪島市ではピーク時の約半数で停電が続くなど、依然各地で厳しい状況が続いています。